抄録
気管支の分岐異常には, 気管支が本来の分岐位置から離れて分岐する転位気管支と, 正常の気管支分岐に加えて過剰な気管支が分岐する過剰気管支とに分類される。また, 正常変位とは, 分岐の生理的変化の内, 両側B^6の亜区域支の単独分岐とした。対象は, 転位気管支15例, 過剰気管支1例, 正常変位3例, 合計19例である。全例, 断層写真, 気管支鏡あるいは手術により確認した。これらについて, CTの描出能を検討した。その結果, 転移気管支の15例中12例と, 過剰気管支の1例がルーチンCTで認められた。一方, 正常変位の内, 左B^6が単独分岐した1例はルーチンCTで認められたが, 2例は高分解能薄切CTでのみ認められた。これらの存在を知ることは, 気管チューブの挿入, 気管支鏡, 手術等の事前情報として重要だが, さらに必要なことは肺野末梢のみならず中枢気道を含めた詳細な読影がなされたか否かである。