1997 年 19 巻 7 号 p. 569-572
膿胸を合併した悪性腫瘍は比較的稀とされているが, 気管支鏡検査が誘因と考えられる急性膿胸を併発した原発性肺癌の1切除例を経験した。症例は66歳・男性。胸部異常陰影の精査目的で気管支鏡検査を施行。気管支鏡下肺生検と気管支洗浄を施行した。2日後より急性膿胸を併発。ドレナージを施行し, 炎症所見の軽快後, 急性膿胸を合併した扁平上皮癌の診断で左肺全摘術を施行した。肺癌の臨床経過における膿胸の併発, 気管支鏡検査の合併症として術後の膿胸発生も念頭におくべきと考えられた。