1980 年 2 巻 2 号 p. 169-174
気管支壁内病変および壁外より気管支壁への浸潤の診断について検討した。Xerotomogramでとらえた気管支の内径対外径の比が、0.6以下すなわち気管支壁の肥厚像を認める例では、気管支壁に病理学的に癌浸潤や炎症所見を認める例が多く、肺癌の気管支壁内病変の診断に役立つことが判った。気管支壁外よりの浸潤の診断には、区域解剖に則った断層写真の読影により血管影以外の陰影(異常影)を発見することが重要であり、その読影をさらに確実にするためにxerotomography、斜位断層撮影、Computed tomography (CT)およびBronchialarteriography (B.A.G.)が有用である。気管支病変の局所診断は単一の検査法にのみたよるのではなく種々の検査法より得られた検査所見を総合的に解釈し診断を下すことが臨床上最も重要なことと考える。