気管支学
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受傷 52 年後に喀血に至った気管支異物(手榴弾片)の 1 治験例
塚田 久嗣長田 博昭小島 宏司竹内 茂島田 厚山手 昇
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キーワード: 気管支内異物, 喀血, 開胸
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1998 年 20 巻 2 号 p. 139-142

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抄録

症例は75歳男性。喀血を主訴に近医を受診した。胸部写真で右肺内異物を指摘され, 摘出目的で入院となった。異物は右B^2入口部に嵌頓した鉱物性異物で, 52年前に中国で被弾した手榴弾片であった。気管支動脈造影を施行したところ, その著明な増生とともに, それが肺動脈に交通している所見が認められた。気管支鏡下の異物摘出では出血の可能性が高い事, 気管支動脈塞栓術では再喀血の可能性がある事, 更に異物末梢側の肺に既に2次的変化が見られる事を考慮して肺葉切除術を施行した。気管支異物の除去方法として多くの場合, 気管支鏡が第1選択であるが, 気管支鏡下の操作が困難であったり, 出血が懸念される場合には外科的摘出を選択する方が良い。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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