気管支学
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重症肺炎による急性呼吸促迫症候群におけるメチルプレドニゾロン大量投与の経験
片上 信之西村 尚志岡崎 美樹藤井 宏高倉 俊二長谷川 幹石原 亨介梅田 文一
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1998 年 20 巻 7 号 p. 558-565

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抄録

重症肺炎の急性期にメチルプレドニゾロン(MPS)を大量投与することがacute respiratory distress syndrome (ARDS)の改善ないし進展阻止に有用か否かを検討した。全例に確定診断のための気管支鏡下肺胞洗浄(BAL)を行った。MPSは点滴静注で500mgをday 1-3に, 250mgをday 4-6に投与した。急性期と亜急性期に血中とBAL液中のサイトカイン(TNFα, IL-1β, IL-6, IL-8, PDGF)を測定した。1996年2月から1997年6月までに12例が入院し, 11例が基礎疾患を有した。平均年齢は64±9歳, 入院時の平均PaO_2/FiO_2は182±68 Torrであった。10例でレスピレーター装着下にBALを施行した。病原微生物は細菌性肺炎9例(敗血症2例), カリニ肺炎+サイトメガロ肺炎2例, カリニ肺炎1例であった。血中, BAL中のTNFα, IL-1β, IL-6, IL-8は急性期に著増し, 治療後は低下した。10例(83%)でARDSは治癒し, 9例(75%)が救命された。急性期からのMPSの大量投与は重症肺炎に起因するARDSの治療に有用であることが示唆された。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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