2000 年 22 巻 1 号 p. 8-13
ヒアルロン酸(HA)は多彩な生物学的作用を持つが, 急性肺障害の病態においては肺を防御する作用を示すと言われる。今回我々は急性呼吸不全を呈したびまん性肺疾患患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)中のHAの測定を行った。BALF中HAは, 対照群に比べて有意に高値を示し(p=0.0225), 基底膜障害を反映するIV型コラーゲン7Sと正の相関を示した(r=0.91, p=0.0001)。また, BALF中好中球分画とは正の相関を認めた(r=0.67, p=0.0228)が, 肺障害スコアとは有意な関連は認めなかった。BALF中HAは, 肺障害の程度を示す有用な指標の1つとなり得る可能性が考えられ, また, 肺障害における重要な役割を担っていることが推測された。