抄録
気管支瘻に対する保存的治療として, これまでに様々な充填剤を用いた気管支充填術が行われてきたが, いずれの方法も充填剤の喀出等のため効果が不確実であったり, 効果が持続しないことがしばしば経験される。我々は気管支瘻, 肺瘻, 難治性気胸等の症例に対し, 固形シリコンを用いた気管支充填術(BEUS)を考案し良好な治療成績をあげることができたので報告する。対象症例は難治性気胸4例, 外傷性血気胸1例, 肺癌術後気管支断端瘻1例, 有瘻性膿胸2例, 気管支腎盂瘻1例の合計9例である。全例に重篤な合併症もなく安全に行うことが可能で, 9例中7例において瘻孔閉鎖を確実に行うことができた。無効例は術後の気管支断端瘻の症例と広範囲に渡る多発性の瘻孔を有していたと思われる有瘻性膿胸の症例であった。本治療法は従来の気管支充填術と比較してより確実で長期間の充填効果が得られると思われた。