2000 年 22 巻 6 号 p. 439-444
症例は69歳男性で, 左主気管支内のポリープ状扁平上皮癌にて当科紹介となった。左肺全摘除術も可能と判断されたが, 本人への十分な説明の下に放射線治療が開始された。64Gyの外照射後に残存腫瘍の減量を目的にNd-YAGレーザーによる腫瘍の焼灼, Co-60による腔内照射15Gy, さらに光線力学療法が施行された。治療部の瘢痕狭窄が認められたため約6ヵ月後にバルーン拡張術が施行され, 狭窄の改善がみられた。自覚症状が比較的軽度であったため以後は外来で経過観察となった。当科初診から約3年後の現在, 局所再発の兆候はなく自宅での自立生活が可能な状態である。気管支内病変に対する非観血的治療にはいくつかの方法があり, 場合によっては併用することで治療成績の向上が期待される。しかしあくまでも肺機能の温存が基本であり, 有害事象には注意しなければならない。