2005 年 27 巻 2 号 p. 103-
本学会誌におけるミニ特集もスタートから1年以上が経過して,かなり定着してきたように思われます.今回3月号のミニ特集の企画を依頼されましたので,「肺門,縦隔病変の診断」を組ませて頂きました.縦隔病変の診断に関しては長田先生がすでに26巻5号で縦隔鏡に関して,その歴史から適応,手技,効果まで非常に幅広い論文を集めた大きな特集を組まれており,これを読んで頂けると縦隔鏡の必要性は良く理解頂けると思います.しかし,縦隔鏡はあくまでも全身麻酔下に呼吸器外科医が行う検査であり,手術の枠をつぶして検査してもらわなくてはならないなど,呼吸器やリンパ腫などの診断と治療を行っている多くの内科系の医師にとって,その必要性は理解できても,気軽には依頼しにくい状況にあるのも現状かと思います.肺門,縦隔の病変の多くは気道あるいは食道に接している場合が多く,その内腔から針を出して生検すれば比較的容易に診断ができるはずですが,その針先の適切な確認方法が乏しく,あまり積極的には行われておりません.しかし,最近は内視鏡の周辺機器が整備されてきており,縦隔鏡でのような大きな組織の採取は無理ですが,細胞診や微小な組織の採取は可能になり,縦隔鏡を依頼する前に,まず外来で検査することができるようになりました.肺門,縦隔に至る経路としては気道と食道があり,針先の確認方法としては超音波,CT,X線透視があり,検体の採取器具としては吸引針のほかに極細の生検鉗子も開発されています.今回はこれらをうまく組み合わせて生検を行っている,それぞれのスペシャリストの方々に,その具体的な方法や,コツ,成績などを披露して頂きました.皆様方の施設での機器の整備状況や,検査システムの相違などもありますので,どこでもすぐに行うというわけにはいかないかもしれませんが,これらの論文を参考にされて,今後是非取り入れるとともに,更に新しい,より安全で確実な方法を開発して頂きたいと思います.