気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
肺血栓塞栓症における^<99m>Tc-MAA SPECT(<ミニ特集>核医学による最新呼吸器診断学)
小須田 茂
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 29 巻 3 号 p. 144-148

詳細
抄録

背景.わが国では急性肺血栓塞栓症は増加傾向にあり,^<99m>Tc-MAAによる肺血流SPECTにて欠損区域枝数を半定量化することは慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTPH)への移行を早期に把握する上で有用と考えられる.目的.急性肺血栓塞栓症患者における肺血流SPECTによる繰り返し半定量検査の意義を検討すること.方法.2002年から2006年の5年間にわたり,急性肺血栓塞栓症と診断され,肺換気・血流スキャンもしくは血流スキャン(全例,肺血流SPECT施行)を2回以上(6か月〜1年毎)施行し得た26患者を対象とした.最終診断はCTA,肺動脈造影検査によった.結果.血栓溶解療法で改善した症例は26例中18例(69.2%)であった(平均欠損区域枝数は6.75から2.80へ減少改善).血栓・塞栓が完全消失し血流が正常に復帰した症例はわずか4例(15.4%)のみであった.一方,悪化もしくは不変例は26例中7例,改善後悪化した反復例は1例であった.したがって,30.8%は血栓溶解療法にて肺血流の改善がみられなかった.結論.急性肺血栓塞栓症例の^<99m>Tc-MAA肺血流SPECT繰り返し検査による半定量化は,治療後の経過およびCTPHへの移行を早期に把握できる点で有用性が高いと思われた.

著者関連情報
© 2007 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top