気管支学
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従来経験した気管支カルチノイド 3 症例とその文献的考察
粟田口 省吾
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1981 年 3 巻 2 号 p. 191-199

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抄録

従来経験した気管支カルチノイド3例((1)18才男、(2)26才女、(3)33才女)について述べた。(1)(3)は肺切除術が適応され、各々1年余、12年以上再発をみない。(2)は経気管支鏡的腫瘍の剔出が行われた。7年後に再発しカルチノイド症候群を呈して肺切除術を施行軽快したが、4年後にクッシング症候群を起して死亡し剖検した。太い気管支のカルチノイドの気管支鏡所見はピンク色の硬い桜桃のようで一般肺癌の気管支鏡所見と区別し得られ、発育が遅く、初期には殆ど症状がないので、肺癌より良性と思はれるが、その母細胞は粘膜腺にある神経分泌細胞(Kultschitzky cell)で、ときにはホルモン産生悪性腫瘍となり、カルチノイド症候群やクッシング症候群などの重篤な疾患を併発するため、本症の治療は専ら肺切除術が適応される。

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© 1981 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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