気管支学
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極細径気管支鏡を使用し菌塊を証明した肺放線菌症の1切除例
大内 政嗣井上 修平花岡 淳五十嵐 知之手塚 則明尾崎 良智寺本 晃治
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2008 年 30 巻 1 号 p. 41-45

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抄録

背景.肺放線菌症は肺癌,肺抗酸菌症や肺真菌症との鑑別に難渋することがあり,確定診断の困難な疾患の1つである.症例.69歳女性.喀血を反復するため当科紹介入院となった.胸部CTで右S^6に気管支拡張を伴った径約1.5cmの空洞性病変とその周囲に浸潤影および散布影が認められた.極細径気管支鏡下に観察すると,右B^6ciiβに白色塊状物を認め,病理組織検査および洗浄細胞診検査で,菌塊と硫黄顆粒を認めたため肺放線菌症と診断した.アモキシシリン内服を開始し9カ月後のCT上,周囲の浸潤影は軽快したが,空洞性病変は残存し,また血痰が認められたため抗生剤治療を行った後に手術療法を行い,その後血痰の再発は認めていない.結論.喀血で発症した肺放線菌症に対して極細径気管支鏡を使用し,白色の菌塊を観察することが可能であった.症状を有する病巣が抗生剤治療後も残存する症例では,十分な抗生剤投与を行ったうえでの手術療法が有用であると考えられた.

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© 2008 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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