気管支学
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肺の癌性リンパ管症を初発症状として発症した結腸癌の1例
松尾 潔頼 冠名藤原 慶一米井 敏郎佐藤 利雄
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2008 年 30 巻 6 号 p. 383-387

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抄録
背景.肺の癌性リンパ管症は原発巣として胃癌,乳癌,肺癌が多く大腸癌が原発巣となることは稀である.症例.63歳,男性.2ヵ月ほど前から乾性咳嗽,労作時呼吸困難を自覚し,胸部単純X線写真にてびまん性の陰影を認め当科へ紹介となった.胸部CTにて全肺野に著明な小葉間隔壁の肥厚,気管支血管周囲間質の肥厚など広義間質の肥厚を認めた.癌性リンパ管症を疑い原発巣を検索した結果,上行結腸に陥凹性の潰瘍を認め,リンパ管侵襲を伴う結腸癌(中分化型腺癌)と判明した.また気管支肺胞洗浄液の細胞診にてCytokeratin(CK)7陰性,CK20陽性,Thyroid transcription factor-1(TTF-1)陰性の腺癌細胞の集塊を認め,肺病変は結腸癌による癌性リンパ管症と診断した.化学療法を施行するも呼吸不全は進行し,初診時より48日間の経過で永眠された.結語.両側肺の癌性リンパ管症を初発症状として発症する大腸癌は非常に稀であり,免疫組織学的に結腸癌による肺の癌性リンパ管症と診断し得た.
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© 2008 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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