気管支学
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鎮静剤併用局所麻酔下でのEBUS-TBNA検査における苦痛度評価
高橋 亮中島 崇裕坂入 祐一新行内 雅斗板倉 明司松井 由紀子藤澤 武彦吉野 一郎木村 秀樹飯笹 俊彦
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2011 年 33 巻 2 号 p. 87-92

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抄録
背景.超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は低侵襲ながら高精度な質的診断が可能であり急速に普及が進んでいる.しかしEBUS-TBNAは通常気管支鏡検査と比較して検査時間も長く,局所麻酔下での施行は苦痛が大きいと考える施設も多い.目的.当科で施行している,鎮静剤併用局所麻酔下での気管支鏡検査における患者苦痛度を調査し,EBUS-TBNAと通常気管支鏡検査における苦痛度を比較検討した.方法.日本呼吸器内視鏡学会ガイドライン策定委員会が2008年9月から6か月間にわたり施行した気管支鏡苦痛度調査をもとに,当科において施行した患者調査票および診療録上の記載をretrospectiveに解析した.調査票の各項目は,visual analogue scale(VAS)を用いて評価した.検査では全例,スプレー喉頭麻酔後に,ミダゾラムによる鎮静を行った.結果.計108例が評価対象となった.EBUS-TBNA施行79例と通常気管支鏡29例を比較し,苦痛度については両者に有意差を認めず(p=0.9724),EBUS-TBNA平均苦痛度は5段階評価で1.95であった.検査の記憶については,検査時間はEBUS-TBNA群で24分と有意に長かったが(p<0.0001),ミダゾラム使用量も2.16mgと有意に多く(p<0.0001),検査を覚えている割合は19%と低かった.結語.適切な喉頭麻酔および鎮静剤を使用することで,EBUS-TBNAにおいても患者苦痛度を悪化させることなく,局所麻酔下での検査施行が可能であると考えられた.適切な喉頭麻酔および鎮静剤の選択が,苦痛度軽減に重要であると思われる.
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© 2011 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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