2011 年 33 巻 5 号 p. 306-310
背景. 医療の発展に伴い集学的治療や挿管管理を必要とする患者は増加している.挿管チューブの形態や材質の改善にも関わらず喉頭肉芽は気管挿管の晩期合併症として知られている.症例. 腹部大動脈瘤置換術を全身麻酔下に受けた66歳の男性.手術1か月後より進行性の呼吸困難を自覚するようになり,近医の耳鼻科を受診し喉頭肉芽と診断された.気管支内視鏡生検にて炎症性肉芽と診断し,ステロイドの全身投与にて肉芽はほぼ消失した.しかし,肉芽消失の1か月後に再発したため,感染症の関与を考慮して,抗生剤投与と吸入ステロイドで再度加療を行ったところ肉芽は消退しその後も再発を認めていない.結論. ステロイド投与で一旦改善を認めたものの早期に再発を来した炎症性気管肉芽の1例を経験した.