背景. IgG4関連硬化性疾患という新しい概念が提唱されているが,その臨床病理学的特性は十分には明らかにされていない.症例. 79歳男性.胸部CT検査で右上葉に,周囲に網状影を伴う結節影と縦隔リンパ節の多発性腫大を認めた.気管支鏡検査では確定診断に至らなかったが,その後,黄疸が出現し血清IgG4高値を示す自己免疫性膵炎と診断された.気管支鏡検査で得られた肺組織を免疫染色で再検討し,著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を認めたため,肺病変は自己免疫性膵炎を合併したIgG4関連肺炎症性偽腫瘍,リンパ節症と診断し,ステロイド治療を開始した.結果.膵炎,肺偽腫瘍は速やかに改善したが,リンパ節症のみが改善が乏しかったため,超音波内視鏡ガイド下肺生検(EBUS-TBNA)を施行し,リンパ節にもIgG4陽性細胞を多数認め,IgG4関連リンパ節症と確定した.病変により治療反応性が異なることが示唆された.