気管支学
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気道異物症例の臨床的特徴 : 摘出に難渋した症例に関する考察
高佐 顕之中山 雅之坂東 政司中曽根 悦子水品 佳子平野 利勝右藤 智啓中澤 晶子鈴木 恵理間藤 尚子中屋 孝清細野 達也山沢 英明杉山 幸比古
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2012 年 34 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

背景.気道異物は窒息や肺炎などの合併症を引き起こすことがあり,正確な診断と迅速な摘出が求められる.しかし時に通常の気管支内視鏡操作では摘出に難渋する症例も経験する.方法.当科で経験した気道異物15症例の臨床的特徴をまとめ,摘出に難渋した症例を中心に検討した.結果.平均年齢58歳,男性8例,女性7例.基礎疾患として認知症を4例認めた.誤嚥のエピソードを10例で認め,異物の種類は歯科関連異物が9例(60%)を占めた.胸部単純X線写真で11例(73%)は異物を確認でき,胸部CTでは全例異物とその嵌頓部位を確認できた.嵌頓部位は右中間幹,右底幹が多かった.摘出には8例で鰐口型把持鉗子,4例でバスケット鉗子を用い,2例は鉗子にバルーンカテーテルを併用した.3例(20%)は初回の手技で摘出できず,器具の変更や気管切開術,外科的肺切除術が必要であった.この3例で摘出に難渋した要因は,鋭的異物の長期間嵌による肉芽が異物周囲に形成されていたこと,認知症による不穏,また気管切開術後の気管狭窄であった.結語.気道異物周囲に肉芽が形成された症例,安静を保てない症例や,気道狭窄を認める症例では,異物の摘出に難渋することがあり,摘出手技や器具の工夫が必要と考えられた.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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