症例.94歳,男性.20XX年2月,歯科治療中に歯冠を誤飲し,紹介医を受診した.胸部単純X線写真で気管支異物が確認された.異物除去目的に同日当院へ紹介となった.気管支鏡検査にて左底幹に歯冠を確認し,バスケット鉗子を用いて除去した.その際,気管に白色隆起性病変を多数認めた.再度気管支鏡検査を施行し,同部位から生検したところ気管気管支骨軟骨形成症(tracheobronchopathia osteochondroplastica:TO)の診断を得た.結論.高齢化の進行に伴い,誤嚥に起因する病態に遭遇する機会が増えている.気管支異物もそのひとつである.TOの病因は不明で諸説があるが,そのなかで慢性炎症説と弾性線維異形成説が有力視されている.誤嚥に伴う慢性炎症により,TOにも遭遇する機会は増加する可能性がある.