2017 年 39 巻 2 号 p. 142-145
背景.超音波ガイド下経気管支針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)が普及することで,縦隔・肺門リンパ節の病変を低侵襲に診断できるようになった.今回,EBUS-TBNAを用いて,肺内リンパ節である区域気管支周囲リンパ節を穿刺し,歯肉癌転移と診断した1例を経験した.症例.歯肉癌に対して下顎亜全摘の既往のある69歳の男性に,右下葉区域気管支周囲リンパ節のみの転移を疑った.この病変に対してEBUS-TBNAを行った.区域気管支周囲リンパ節にエコープローベを当てて確認すると,気管支径が細いことによってスコープをしっかりと固定でき,病変も鮮明に描出できた.安全に穿刺が行え,得られた検体より歯肉癌転移と診断した.結論.肺内リンパ節である区域気管支周囲リンパ節に対しても,EBUS-TBNAは低侵襲で有効な診断方法である.