気管支学
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症例
誤嚥による食物残渣が誘因となった器質化肺炎の1例
山本 高之杉本 幸弘中野 浩文中里 未央髙山 昌紀
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2018 年 40 巻 2 号 p. 168-172

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抄録

背景.抗菌薬治療抵抗性のconsolidationに対して気管支鏡検査を行い,脂肪性の気道異物が原因の器質化肺炎と診断した1例を経験した.症例.81歳男性.2017年2月,近医にて肺炎の診断で抗菌薬を投与されたが改善しないため,当院紹介受診した.胸部CT検査で左S9に類円形のconsolidationを認め,気管支鏡検査を実施した.検査時,左下葉底幹入口部に気道異物を発見し摘除した.摘出標本の成分解析は中性脂肪が98%以上であった.また,左B9末梢よりTBBを施行し,肺の組織学的所見では器質化肺炎の診断を得た.結論.気道異物は98%以上が中性脂肪の食物残渣であり,誤嚥するも気づかずに放置されており,器質化肺炎の原因となったと考えられた.気道異物を契機に発症した器質化肺炎の報告は稀であると考えられたので報告する.

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© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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