背景.無気肺に対し気管支鏡での送気が有効であった報告があるが,安全性に関しての十分な検討はなされていない.症例.72歳,男性.右下葉肺癌に対して右下葉切除後1か月の外来で中葉無気肺を認めた.気管支鏡検査では中間幹膜様部に隆起を認め,中間幹は背側に屈曲し閉塞していた.送気による改善を試みたが困難であった.検査後胸部単純X線にて右気胸を認め,無気肺の原因検索と気胸を改善する目的で手術を行った.中葉は含気良好な上葉のS3に押されるように背側に位置し,無気肺となり周囲と癒着を認めた.癒着を剝離して中葉を授動し気管支鏡による送気を行うことで,中葉支の屈曲は戻り含気が得られるようになった.リークポイントは上中葉間の胸膜欠損部であり,これを修復して手術を終了した.結論.無気肺に対して気管支鏡による送気を行う際は,気胸の発生に十分な注意が必要である.