気管支学
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症例
右下葉切除後中葉無気肺に対して気管支鏡による送気で気胸をきたした1例
森 將鷹小山 倫太郎松宮 弘喜金山 雅俊平良 彰浩篠原 伸二桒田 泰治米田 和恵黒田 耕志田中 文啓
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2020 年 42 巻 5 号 p. 387-391

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抄録

背景.無気肺に対し気管支鏡での送気が有効であった報告があるが,安全性に関しての十分な検討はなされていない.症例.72歳,男性.右下葉肺癌に対して右下葉切除後1か月の外来で中葉無気肺を認めた.気管支鏡検査では中間幹膜様部に隆起を認め,中間幹は背側に屈曲し閉塞していた.送気による改善を試みたが困難であった.検査後胸部単純X線にて右気胸を認め,無気肺の原因検索と気胸を改善する目的で手術を行った.中葉は含気良好な上葉のS3に押されるように背側に位置し,無気肺となり周囲と癒着を認めた.癒着を剝離して中葉を授動し気管支鏡による送気を行うことで,中葉支の屈曲は戻り含気が得られるようになった.リークポイントは上中葉間の胸膜欠損部であり,これを修復して手術を終了した.結論.無気肺に対して気管支鏡による送気を行う際は,気胸の発生に十分な注意が必要である.

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© 2020 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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