2021 年 43 巻 2 号 p. 129-133
背景.多巣性微小結節性肺細胞過形成(multifocal micronodular pneumocyte hyperplasia:MMPH)は結節性硬化症(tuberous sclerosis complex:TSC)に伴う肺病変として知られているが,MMPHを契機にTSCと診断した報告は少ない.症例.46歳,女性.10年前から両肺野に多発するground glass opacity(GGO)を認めたが,数年間変化が乏しいため経過観察終了とされていた.他疾患の精査目的に施行されたCTで再度指摘され,気管支鏡検査でGGOが集簇する部位を生検した結果,II型肺胞上皮細胞の増殖を認めた.MMPHを想起し,身体診察と画像検査により臨床的にTSCと確定診断し,遺伝子検査にてTSC1遺伝子の変異が同定された.結論.多発GGOを契機にTSCの診断に至った1例であり,気管支鏡検査が有用であった.また,多発GGOの鑑別としてMMPHを想起することが重要である.