気管支学
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心疾患患者の気管支粘膜下血管所見(気管支鏡所見の実際)(第 7 回日本気管支学会総会特集)
田垣 茂大道 光秀岡田 春夫片岡 賢治小場 弘之常松 和則名取 博浅川 三男鈴木 明数井 暉久草島 勝之
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1984 年 6 巻 4 号 p. 483-488

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抄録

気管支循環系と肺循環系は静脈性に密接に交通しており, 心肺血行動態の変化(特に左房負荷)は気管支血管にも反映される可能性がある。そこで我々は気管支-肺病変を有しない心疾患患者11例に気管支鏡を施行し, 気管支粘膜下の血管変化に着目して観察した。11例中10例に非拍動性の粘膜下血管拡張を認めた。血管拡張像は主に気管支の長軸方向に強く, 両側主気管支遠位部に最もよく認めた。6例の僧帽弁狭窄症例の検討では, 右心カテーテル法による肺動脈楔入圧の高いものほど血管拡張像は高度であった。また3症例に手術前後で内視鏡像を比較しえたが, 術後左房負荷の軽減とともに血管拡張像は改善していた。左房負荷症例で観察される気管支粘膜下の拡張血管は, 気管支-肺循環の血行路から考えて気管支静脈と推測された。心疾患における気道出血の原因の1つとして, 左房負荷の結果拡張した気管支静脈の破綻を考慮すべきと思われた。

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© 1984 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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