気道内出血を合併した胸部大動脈瘤の2例を報告した。喀血を主訴とした2例とも入院時の胸部X線写真において肺内病変が考えられ, 気管支鏡検査を施行したところ, 気道内出血, 気管支壁の圧排および波打つような拍動性変化を認めた。これらの所見より血管性病変と考え, 胸部CT, 大動脈造影を優先させ, 胸部大動脈瘤と診断し外科的療法にて確診した。一般に血痰, 喀血例において気管支鏡検査は第1選択の診断法の一つとされている。しかしながら, 時に胸部X線写真上大動脈瘤との鑑別が容易でない場合があり, 肺内病変と考えて施行した気管支鏡検査において, 致死的な大出血をひき起こす可能性もある。したがって, 気道内出血を伴う大動脈瘤症例における気管支鏡所見の詳しい報告は重要と考えられ, 我々の2例の報告は気管支鏡学的にも示唆に富むものと考える。