2004 年 30 巻 1 号 p. 169-174
ヨシ(Phragmites australis(Cav.)Trin.),ツルヨシ(Phragmites japonica Steud.),ガマ(Typha latifolia L.),エゾミソハギ(Lythrum salicaria L.)等の湿生植物は,近年の水域緑化に多用されている。本研究では上記4種の発芽特性を種子間の他感作用から検討し,湿生植物の播種時に配慮すべき事項について提起することを目的とした。シャーレ内での発芽試験の結果,ツルヨシ種子はヨシ種子と置床した際に発芽率が有意に低下し,ガマ種子はヨシおよびツルヨシ種子と置床した際に発芽率が有意に高くなった。一方,ヨシおよびエゾミソハギ種子は他3種子と置床した際にも発芽率に有意な差異は認められなかった。以上から,湿生植物の種子間において発芽を阻害または促進させる他感作用が示唆された。従って,水域緑化等で湿生植物種子を混播する際には,種間の他感作用に配慮する必要もあると考えられた。