日本緑化工学会誌
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最新号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
特集「東アフリカ・ジブチ共和国における東京農業大学の乾燥地研究の30年」
特集「地域性種苗を用いた自然再生・緑化の研究動向と社会実装」
論文
  • 江連 万実, 伊藤 直也, 志村 怜音, 原田 芳樹
    2026 年51 巻4 号 p. 395-404
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/23
    ジャーナル フリー

    バイオ炭は持続可能な農業を実現するための土壌改良剤として注目されており,増収と窒素溶脱抑制を両立させるためには,幅広いバイオ炭の混入量を検証し,最適な量を特定する必要がある。本研究はローム質の黒ボク土にバイオ炭(0,50,100,150,200 t/ha)と有機肥料(100,200 kg-N/ha)を混ぜ,実験室内でリーフレタス(Lactuca sativa var. crispa)を2作(各4週間)栽培し,収量と窒素溶脱量を調べた。施肥量によらず1 作目の窒素溶脱量はバイオ炭混入量150 t/ha 以上で減少し(p < 0.025),施肥量200 kg-N/ha ではバイオ炭混入量50~150 t/ha において収量が維持された。2作目収量は,いずれの施肥量でもバイオ炭混入量100~150 t/ha で対照群より高かった(p < 0.025)。この結果から,緑色葉野菜の栽培における収量の維持・向上と窒素溶脱抑制を目的とし,有機肥料200 kg-N/ha とバイオ炭150 t/ha の施用が推奨される。今後は土壌,作物種,肥料の異なる長期実験で,バイオ炭が収量と窒素溶脱に与える影響を検証する必要がある。

  • 松岡 達也, 松岡 怜, 平野 尭将, 渡部 陽介, 大黒 俊哉
    2026 年51 巻4 号 p. 405-412
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/23
    ジャーナル フリー

    人工地盤上緑地では土壌乾燥化が懸念されるとともに,生態系保全の観点から在来植物の導入が望まれる。保水性改善に向け,生物資源を熱分解して得られるバイオ炭の導入が期待される。一方,バイオ炭の土壌混合が在来植物の生育に及ぼす影響は詳細に解明されていない。植物生育の観点からバイオ炭の土壌改良材としての有効性を確認するため,本研究では木材・竹材を原料とするバイオ炭と赤玉土の混合土壌を作成し,在来植物3種(キキョウ,チガヤ,ヘビイチゴ)の栽培実験を行った。その結果,チガヤでのみ木炭・竹炭を20%以上混合した際に非混合時よりも生育が良好に保たれ,植物種に応じてバイオ炭の土壌混合の効果が異なることが示された。

  • 瀬戸 智大, 小池 文人
    2026 年51 巻4 号 p. 413-421
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/23
    ジャーナル フリー

    外来げっ歯目による生態系への影響が懸念される小笠原諸島父島において,本研究はクマネズミ Rattus rattus の茎葉に対する嗜好性と採食圧を定量評価することを目的とした。ルートセンサスでクマネズミによる植物の茎葉への食害を調査し,植物種ごとの嗜好度を算出して固有種・広域分布種・外来種の嗜好度の分布を比較した。また場所の採食圧を,これより嗜好度の大きな植物種が食害を受ける閾値の嗜好度として求め,調査ルートごとに採食圧を算出した。その結果,固有種の中に特に嗜好度が高い植物種が存在することが明らかになった。植物種間の嗜好度の頻度分布の中央値は種群間で有意差はみられなかった。一方,固有種に嗜好度が大きい種が存在することで,植物種間のばらつきが固有種でより大きい可能性が示唆されたが,その傾向は弱かった。調査ルートの採食圧は高標高域で高い傾向があった。父島の高標高域に残存する乾性低木林には嗜好度の高い植物種が多いことから,植生タイプとクマネズミの密度の関連が示唆された。本研究は,海洋島における外来げっ歯目による植生への影響を定量評価したものであり,今後の保全・管理に資する知見を提供する。

  • 猪山 裕之, 久保 満佐子, 日置 佳之, 永松 大
    2026 年51 巻4 号 p. 422-427
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/23
    ジャーナル フリー

    島根県三瓶山麓にある西の原に自生するオミナエシの種子発芽力と当年生実生の発生および生残条件を明らかにすることを目的として,恒温機で温度を設定した発芽実験と,圃場で基質および光条件を設定した発芽実験を行った。恒温機では暗黒条件で25℃の恒温と,10℃と25℃を各12時間の変温(以下,10/25℃)とし,圃場では土壌およびリター,炭,真砂土,砂礫の5つの基質に2つの光条件(遮光率22%の明条件と51%の暗条件)を設定した。その結果,恒温機の25℃で種子は発芽せず,10/25℃で22.8%の発芽率であった。圃場では,実生の発生数は明・暗条件共に土壌と炭で多く,砂礫では発生しなかった。土壌と炭では,6月下旬の気温の上昇と継続的な降水を契機として一斉に発生した。発生数が最も多かった暗条件の土壌では発生率が27.3%あり,恒温機のシャーレ上での発芽率より高かったため,乾燥からの急激な水分変化が休眠打破となり発芽しやすくなった可能性がある。しかし,8月の日平均気温約30℃で無降水の27日間に,いずれの条件でも実生は枯死し,夏季の無降水期間がオミナエシの実生の生残に負の影響となった。

技術報告
  • 本橋 篤, 宮﨑 希如子, 藤本 穣彦
    2026 年51 巻4 号 p. 428-433
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/23
    ジャーナル フリー

    都市部に暮らす大学生を対象に,ブナ科植物の認識度や自然との関わりについて調査した。明治大学の講義内で事前アンケートと事後アンケートを実施し,事前アンケートではドングリに関する知識や経験を,事後アンケートでは自然との関わりに関する自由記述を収集した。結果,都市部の学生は代表的なドングリ(クヌギ Quercus acutissima Carruth.,コナラ Quercus serrata Murray,ブナ Fagus crenata Blume)を認識する傾向が強いことが示された。幼少期のドングリ遊びや食経験は認識度の向上に必ずしも結びつかず,都市化による自然との接触機会の減少が識別能力の低下に影響している可能性が示唆された。事後アンケートからは,「幼少」「公園」「祖父母」などの語が頻出し,幼少期の経験や家族との関わりが自然認識の形成に寄与することが示された。また,「環境」「保護」などの語も多く,自然体験が環境意識の向上につながる可能性が示唆された。都市部の学生に対しては,身近な自然を活用した環境教育の機会を提供することで,生物識別能力や環境意識を高めることが重要であると考えられる。

  • 小野 幸菜, 和田 悠登, 堤 公平, 内之八重 友典, 吉田 寛
    2026 年51 巻4 号 p. 434-439
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/23
    ジャーナル フリー

    本施工地は,岩盤斜面で急勾配かつ南向きという厳しい立地条件下に置かれた山腹崩壊地であり,斜面防災と景観に配慮し,常緑広葉樹と落葉広葉樹の混交林を緑化目標群落として,国内産在来木本植物を播種工で導入する長距離高揚程植生基材吹付工が施工された。施工7年4ヵ月後までの追跡調査の結果,主構成種の良好な生育が確認され,落葉広葉樹であるアカメガシワ,クサギが生育し,その林床にコマツナギ,ヌルデ,常緑広葉樹のネズミモチや自然侵入したカゴノキなどが生育する植物群落が形成されていた。また,本施工地の対岸と神戸市街地からの景観はいずれも周辺の森林環境と調和し,施工箇所の判別がつかない状態にまで植生回復が進んでいた。国内産在来木本植物を播種工で導入する手法は,景観保全上からも有効な方法といえる。

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