日本緑化工学会誌
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学会賞受賞寄稿
特集「OECMで活きる!現行自然共生サイトの現状と新制度」
技術報告
  • 中西 奈津美, 石山 麻子, 市川 徹, 菊川 楓月, 中島 拓
    2025 年 50 巻 3 号 p. 263-269
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー
    昨今,都市域の緑地は,生物多様性保全の観点から重要視されている。JR大阪駅近くに位置する大阪梅田ツインタワーズ・サウスでは屋上緑化地を設け,近隣の山系・水系に分布する在来種を中心に植栽している。本報告は,この緑化地の鳥類による利用実態を明らかにするものである。ここには多様な鳥類が飛来し,植栽種の果実やここで発生する昆虫類を餌資源として利用していた。また,樹木で遮蔽された場所で鳥類の記録数の多いことが明らかとなった。一方,留鳥に加えて渡り鳥の一時的利用も多く,大都会に創出された緑地が,渡り鳥の中継地として機能していることが示唆された。さらに生物技術者との連携のもと,植栽管理者が行う日常的なデータ蓄積が重要な役割を果たし,生物のモニタリング手法として有効であることが分かった。
  • 本橋 篤, 宮﨑 希如子, 藤本 穣彦
    2025 年 50 巻 3 号 p. 270-274
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー
    ブナ科植物と日本の食文化の間には多様な関わり合いが存在する。その1つにブナ科堅果(ドングリ)を食料として利用していた文化がある。しかしながら,現代ではドングリを食する機会はほとんどないであろう。現在,ドングリ食文化はどのような仕方で残っているのだろうか。ドングリは身近な緑化資源であるにも関わらず,食べることからドングリにアプローチする視点は十分ではないように思われる。本研究では,明治大学政治経済学部での講義「食料経済学」を受講する学生に対して,仮説生成のためのwebアンケートを実施した上で,東京都多摩市で活動する「多摩どんぐりの会」にて,ドングリの採集,調理実践,レシピ化を行った。さらに多摩市永山地区に存在する新しいドングリ食文化として「永どんエール」の商品開発調査を行った。身近な緑化資源であるドングリについて,食文化の観点からの再発見とその価値創出の方法について実施した調査結果を考察した。
  • 本橋 篤
    2025 年 50 巻 3 号 p. 275-278
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー
    先行研究においてブナ科堅果の形態的研究は主に森林帯で行われてきた。一方で都市に植栽されている個体についての研究はほとんど行われてこなかった。本研究では,都市に植栽されているブナ科堅果を対象に研究を行った本橋(2021)の調査地域で報告されていなかった,東京都武蔵野市におけるスダジイおよびクヌギを採集し,形態学的特徴を記載した。また,本橋(2021)で収集された個体の堅果についても再度収集を行い,形態的特徴を記載した。その結果,樹種間で形態的な特徴について有意差があり,さらには2020年と2021年で同一個体の堅果の形態についても一部の樹種及び項目において有意差が確認された。今後は,継続的な調査の継続を行い,既存研究で報告されている堅果の形態へ環境要因が及ぼす影響を調べることで,都市における生態系維持に向けた緑化管理に応用できる可能性がある。
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