日本緑化工学会誌
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論文
  • 高橋 輝昌, 千葉 祥太, 小松 秀次
    2026 年52 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2026/08/31
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    緑地の炭素固定機能を植物の分解特性に基づき評価した。草地で刈り払いが行われる7月と,刈り払い後に植物が再生した11月の2回,植物を採取し合わせて1年間に発生する植物とした。採取した植物を土壌に混和して分解させ,植物からの二酸化炭素放出速度の経時変化を測定した。二酸化炭素放出速度の変化の反応速度論的解析により最終的に二酸化炭素にまで分解される炭素量を算出した。植物体の全炭素に占める二酸化炭素にまで分解される炭素の割合は約30%であった。短期間での緑地の炭素固定機能を定量的に評価するには,植物が固定した炭素量と,植物が分解作用を受けた後に有機物のままとどまる炭素量の割合を把握することが有効である。

  • 平尾 大貴, 山田 俊弘
    2026 年52 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    2050年カーボンニュートラルの達成に向け,炭素吸収源としての都市樹木への期待が高まっている。しかし,国内において都市樹木の炭素貯蔵量を定量的に評価した研究は極めて少ない。そこで本研究では,広島県東広島市西条町の街区公園164箇所を対象に,樹木の個体単位での炭素貯蔵量の推定および公園あたりの炭素貯蔵量の算出を行った。その結果,樹木が確認された公園1箇所あたりの平均炭素貯蔵量は691.5 kg-C(SD = 795.9,N = 37)であった。また,重回帰分析により,公園あたりの炭素貯蔵量の変動を最もよく説明する要因は植栽本数であり,樹種,胸高直径および公園面積も有意に寄与することが示された。

  • 楠瀬 雄三, 長谷川 匡弘
    2026 年52 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    西日本の太平洋側と瀬戸内海側におけるハマナデシコの開花フェノロジーの変異を調べた。現地調査の結果,瀬戸内海沿岸には6~7月に開花する初夏咲きが,太平洋沿岸には9~10月に開花する秋咲きが分布し,両者の開花期には約3か月の明瞭な差異が認められた。共通圃場試験においてもこの差異が維持されたことから,本形質は遺伝的に固定されていると推察された。開花フェノロジーの変異は夏季における瀬戸内海側の乾燥回避と,太平洋側の多雨環境の利用という,両地域の気候特性に対する適応の結果と考えられる。本種の開花フェノロジーの差異は変化に富む日本の気候によって生じた生活史分化の一例と言えるだろう。

  • 羽鳥 健太郎, 石山 信雄, 笠井 美青, 森本 淳子
    2026 年52 巻1 号 p. 19-24
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    生物多様性を高める都市公園の基本計画策定にあたり必要な科学的知見が乏しい。本研究では, 都市公園の林分構造と包括的な生物多様性の指標である樹木のマイクロハビタット(TreM)の関係を LiDAR SLAM で取得した 3D 点群データから明らかにすることと, 具体的な都市公園林分の基本計画を提示することを目的とした。3D 点群データによる林分構造指標とTreM の存在量の関係解析から,胸高断面積合計が大きいほど枯死部関連 TreM が増加し, 林冠が閉鎖し樹木が密集するとキツツキ関連 TreM が減少した。生物多様性に配慮した都市公園の基本計画として, 林冠が閉鎖しない程度に大径木を配置することが有効であると考えられた。

  • 勝田 真一, 加藤 顕, 瀬戸口 浩彰
    2026 年52 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    小笠原諸島の固有種で絶滅危惧種であるムニンノボタンは,自然更新が十分に行われておらず,結実および樹勢に影響を与える要因は明らかになっていない。本研究では,結実および樹勢に影響を与える要因について,3次元データから得られる個体の表面積データと,光および水分などの生育環境データを用いて解析した。その結果,結実の有無は,個体の表面積および光と正の関係を示し,水分とは負の関係を示した。結実数は,個体の表面積と正,水分と負の関係を示した。一方,樹勢は水分と正,光と負の関係を示し,結実とは異なる傾向を示した。以上より,生殖成長と栄養成長では資源配分のトレードオフの関係がある可能性が示唆された。

  • 藤原 玄基, 齊藤 翼, 中島 宏昭, 水庭 千鶴子, 髙橋 新平
    2026 年52 巻1 号 p. 31-36
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究は, 土壌内の換気処理の有無がコウライシバ(Zoysia matrella (L.) Merr.)の生育に与える影響を検証した。2024年7月~10月に実験用ポットを用いた生育実験を実施し, 無処理区と換気処理区で比較した。月1回の掘り取りを行い, 乾燥重量, 根長, 根系部の2次根数, 根の活性, 根系部グルコース量を測定した。その結果, 換気処理区では8月に乾燥重量が増加し, 根の活性も増加した。また, 換気処理区の根系部2次根数やグルコース量が無処理区と比較して増加した。土壌内の換気処理がコウライシバの根の活性を高め、夏季における芝草生育促進の効果が示唆された。

  • 宗岡 寿美, 神田 琢実, 山崎 由理, 小林 健嗣, 永井 晶, 中島 直久, 木村 賢人
    2026 年52 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    北海道十勝管内で張芝工2年目の外来草本植物の根系を含む高含水土の一面せん断試験を実施し,強度定数(粘着力c ・せん断抵抗角φ)に及ぼす根系指標の影響を検討した。その結果,茎葉部・根系の生育には立地条件や施工時期が影響しており,植被率は平地・北向き法面で高く,根系指標は9月下旬施工で良好であった。根系指標との関係をみると,立地条件・施工時期にかかわらず,粘着力増加量⊿cは原点を通過する正の相関があり,せん断抵抗角増加量⊿φでは原点を通過しない正の相関が認められた。以上より,⊿φを指標とした法面保全効果を発揮させるには土供試体内に一定程度以上の根量が必要であることが示唆された。

  • 田村 能聖, 岡 浩平
    2026 年52 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,能登半島地震の隆起よる砂浜の拡大により,飛砂害の増加の恐れがある輪島市の鹿磯海岸を対象にして,飛砂抑制が期待できる植物種の抽出とその効果の定量的評価を目的に行った。研究方法としては,地震から約2年までの期間に計7回の小型UAVによる空撮を行い,植生や砂面変動の分布図を作成した。地震後に陸化した砂浜と地震前から砂浜であった場所に共通して,海浜植物ではコウボウムギの分布面積が最も大きかった。コウボウムギの飛砂の抑制効果を評価したところ,3月~翌1月の期間に,周辺の裸地と比較して,5~10 cmの飛砂の抑制効果が推定され,今後の飛砂対策への植生の活用が期待された。

  • 植地 俊輔, 福井 亘, 木田 実里, 大田 萌楠
    2026 年52 巻1 号 p. 49-54
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    神戸市中央区4路線を対象に街路樹325本の毎木調査を行い,i-Tree Ecoにより樹木補償額,炭素蓄積・固定,大気汚染物質除去,雨水流出削減,年間総便益の6指標を推定した。さらに,通り別・主要樹種別の5データセットに対し再標本化シミュレーションを行い,必要調査本数と推定不確実性を検討した。その結果,推定値は樹種構成や樹木サイズ,樹冠状態等を反映して路線・樹種間で異なり,相対平均誤差10%を満たす必要調査本数は6〜39本の範囲で変動した。また,年間総便益では必要調査本数においても相対信頼区間幅が約48%残り,実務では評価目的に応じた調査本数の設定と不確実性の併記が重要である。

  • 小島 倫直, 岩崎 寛
    2026 年52 巻1 号 p. 55-60
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    臨床的な園芸療法では対象者の状態に応じたプログラム設計が行われているが,健常な就業者を対象とした園芸活動ではプログラムの設計手法が見当たらない。本報告は就業者に10種類の園芸活動からなる園芸活動プログラムを提供し,各園芸活動の内容評価と効果感を計測した。その結果,気分転換に関する内容評価が高い園芸活動は気分改善やストレス低減効果が高いなど,園芸活動の内容評価と効果感の間に関係が見出された。また園芸活動を内容評価に基づき主成分分析で分類した結果「五感刺激型」と「知識・成果物型」に整理された。これらの知見から,就業者対象の園芸活動プログラムでも就業者の状態に応じたプログラム設計の可能性が示された。

  • 笠原 真珠, 加藤 顕, 澤田 義人
    2026 年52 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,都市緑地の構造が背景音に与える影響を把握することを目的とした。都市緑地で録音データと点群データを取得し,主成分分析を行った結果,背景音の第1主成分は音量,第2主成分(PC2)は「人工音(0-2kHz)と生物音(3-10kHz)」と関係していた。背景音の構成は場所よりも季節変動の影響を強く受けることがわかった。緑地構造との相関分析では,音のPC2と空間の閉塞感の間に有意な正の相関があった。空間の閉塞感が人工音の遮蔽効果や生息適地を提供し,生物音を増加させたが,開放空間では人工音が優占していた。本研究によって,空間構造指標が環境音評価に有効であることがわかった。

技術報告
  • 大藪 崇司, 田村 和也, 塚田 伸也, 美濃 伸之
    2026 年52 巻1 号 p. 67-70
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本報告は,行政・指定管理者・市民団体の3者による樹林管理の合意形成プロセスと,その活動の実際について報告した。iPhoneの3D測量による作業量の定量化により5ヶ月間の実証実験で平均6名,4.5時間の作業により約100 m2の面的管理が可能であることが示された。安全性を確保しつつ面的管理を拡大する有効な知見となり,人員や予算不足に悩む他の都市近郊都市公園樹林管理の参考になるものと思われた。

  • 大西 竹志, 石黒 一弘, 根津 郁実, 石栗 太
    2026 年52 巻1 号 p. 71-74
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    都市緑地における炭素貯留手法としてバイオ炭の活用が期待されている。本研究では,バイオ炭および肥料の施用が緑化樹木の生存率と成長に及ぼす影響を評価した。シラカシとケヤキを対象とし,黒土およびマサ土にてバイオ炭(50%施用)と肥料の有無を組み合わせた試験区を設定した。試験の結果,マサ土でシラカシを栽培した場合,夏季以降に施肥区等で生存率が低下する傾向が認められたが,バイオ炭単独区では枯死が発生せず,生存率の向上に寄与する可能性が示唆された。成長面では,両樹種の樹高およびシラカシの根元径において,施肥による促進効果が認められたが,バイオ炭施用は成長に有意な影響を及ぼさなかった。 

  • 川又 奏太, 本名 亨野, 片方 聡太, 中島 宏昭
    2026 年52 巻1 号 p. 75-78
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    タマノカンアオイは常緑多年草であり,個体数の減少要因に二次林の管理放棄が挙げられる。本研究では林床の管理状況とタマノカンアオイの実生の定着に着目し,通年遮光する遮光区,5~11月まで遮光する半遮光区,遮光しない無遮光区を設定し,2024年5月~2025年4月まで地上部生存数と葉数を調査した。葉数は遮光区および半遮光区では8~12月に減少し,遮光区では2月以降増加した。無遮光区では7月に減少した。地上部生存数は遮光区で13個体,半遮光区で2個体,無遮光区で0個体となった。2年目に追加調査した強遮光区でも地上部生存数は半減したことから,実生の定着には適度な光環境を維持する必要があることが判明した。

  • 横井 竜馬, 中村 大, 矢尾板 晃弘, 佐々木 裕一, 菖蒲 哲也, 宗岡 寿美
    2026 年52 巻1 号 p. 79-82
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    近年,地球温暖化に伴う気温上昇の影響により,従来北海道の植生工に使用されてきた寒地型草本は,播種時期によっては生育が極めて困難となっている。そこで本研究では,暖地型草本と寒地型草本の混播による植生工の適用性について基礎的検討を行った。具体的には,植物根系が発達した土供試体に対し,自然環境下で凍結融解履歴を付与した後,低鉛直応力条件下における定圧一面せん断試験を実施し,地盤補強効果の評価を試みた。試験の結果,暖地型草本と寒地型草本の混播は,凍結融解履歴を受けた後も植生の維持に寄与する可能性が示された。また,越冬後の再成長により根系が発達した場合には,地盤補強効果が維持される傾向が認められた。

  • 手代木 純
    2026 年52 巻1 号 p. 83-86
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,オフィス環境で一般的に用いられるLED照明の色温度および照射条件が植物生育に与える影響を明らかにすることを目的とした。3,000 Kおよび5,000 KのLED照明と自然光条件下でテーブルヤシおよびコマツナを対象に生育実験を行い,さらに照射時間条件を変更した再実験により要因を検証した。その結果,テーブルヤシでは3,000 Kで生育進行が促進され,5,000 Kで葉の健康状態が良好であった。一方,コマツナは平日照射のみでは約3週間で枯死したが,連続照射により生育が回復し,5,000 Kで比較的安定した生育傾向が確認された。以上より,植物生育には照射時間による総光量の確保が最も重要であることが示された。

  • 山田 晋, 大島 瑠加, 森内 万尋
    2026 年52 巻1 号 p. 87-90
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    約7年間管理放棄された後に管理が再開された斜面草地にて管理継続時,放棄中,管理再開後の植生を比較した。管理停止に伴い出現種数は大きく減少した。管理再開に伴い種数は回復したが,管理継続時よりも種数は少なかった。林縁生と湿地生の種の種数は概ね回復したが,草原生,畑地・路傍生,樹林生の種の回復は緩慢だった。陽光地を好む種の消失には,管理継続時よりも再開後に斜面上部の高木による被陰が強まった影響が考えられた。一方,上部斜面からの被陰の影響が少ないトボシガラなどの消失種も認められた。ノアザミなど管理放棄時に消失したが管理再開後に確認された草原生種もあり,一部の種では速やかな再出現が望めることが分かった。

  • 伊藤 聡希, 有本 智, 中島 敦司
    2026 年52 巻1 号 p. 91-94
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    休耕水田へ再び湛水を行った初年度において,トンボが新規の水域に侵入・定着(コロナイゼーション)する過程を明らかにすることを目的として,個体数と水面植被率の調査を行い,27年前に造成されたビオトープ池群との比較を行った。確認された種は再湛水箇所において24種,ビオトープ池群で38種となり,新規水域にも一定の種が飛来した。6-8月の夏季においては,再湛水箇所,ビオトープ池群の両水域で水面植被率の上昇に伴いトンボの種数が減少する傾向が見られたが,特に再湛水箇所においてその傾向が強く見られた。また,植物の利用頻度については再湛水箇所とビオトープ池群の間で顕著な差を確認することができなかった。

  • 高林 裕, 寒川 達矢, 福井 亘, 小宅 由似
    2026 年52 巻1 号 p. 95-98
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    高松市中央通りではムクドリとスズメ,ハシボソガラスの3種がそれぞれ集団ねぐらを形成している。これによる糞害や騒音等が生じているが,現状は一時的な対策に留まっている。本報は,中央通りにおける鳥類の集団ねぐらの長期的・広域的な対策を講じる基礎資料として,中央通りの樹木における集団ねぐらの特徴と空間ごとの種による選好性の把握を目的とした。2023年6月から12月にかけて集団ねぐらが形成される時間帯に現地調査と周辺環境調査を実施した。その結果,ムクドリとスズメ,ハシボソガラスは棲み分けをして集団ねぐらを形成し,ムクドリは樹高が高いクスノキが植栽されている空間に集団ねぐらを形成する傾向が明らかになった。

  • 手代木 純, 鈴木 匠
    2026 年52 巻1 号 p. 99-102
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,ドローンを用いた樹冠温度測定による樹木健全性評価への適用可能性と,測定条件が結果に及ぼす影響を検討した。石川県能美市内の街路樹を対象に熱画像撮影および気象観測を行い,参照板を用いて樹冠温度を推定した。その結果,測定日によって温度分布に大きな差が生じ,日射,降雨,参照板設置条件および撮影タイミングの影響が確認された。測定条件を改善した11月6日には比較的安定した温度分布が得られた。一方,健全度との明確な対応関係は認められなかったが,異常高温個体を抽出できる可能性が示された。以上より,測定条件の統一が重要であり,一次スクリーニング手法としての活用可能性が示唆された。

  • 梅原 瑞幾, 岩崎 寛
    2026 年52 巻1 号 p. 103-106
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    近年,働き方の多様化やテレワークの普及により,勤務者が日常生活や職場で孤独を感じる状況が指摘されている。既往研究では,生活・居住環境における緑地の量等が住民の孤独感の低さと関連する可能性が示されているが,どのような緑との関わり方が孤独感と関連するか十分に明らかになっていない。本研究は,都市部のオフィス勤務者を対象としたオンラインアンケート調査を実施し,緑との関わりの種類と孤独感との関連を探索的に検討することを目的とした。探索的因子分析を実施した結果, 緑との関わりは5つのパターンに類型化された。相関分析の結果, 「自然や公園・緑地の利用」の因子が孤独感と有意な負の関連を示すことが明らかとなった。

  • 太刀川 翼, 越田 宗克, 藤野 丈志
    2026 年52 巻1 号 p. 107-110
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    植生基材吹付工の基盤材に,体積0,10,20,30,50%の竹パウダーを混合した植生基盤を作製し,これを用いてオオウシノケグサ(Festuca rubra L. var. rubra)の屋内栽培試験を実施することで,竹パウダーの混合が生育に及ぼす影響を検討した。その結果,最大草丈および生育後の乾燥重量は,竹パウダーを混合した全ての水準において,無混合区と比較して有意に低下した(p < 0.05)。植被率については,混合比10〜30%では有意な差は認められなかったが,50%では有意な低下が確認された(p < 0.05)。一方,発芽率は全ての混合比において竹パウダーの影響は認められなかった。

  • 大西 理玖仁, 加藤 泰造, 荒瀬 輝夫
    2026 年52 巻1 号 p. 111-114
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    長野県内では,ネナシカズラ属(ヒルガオ科寄生植物)の在来種ネナシカズラ(CJ)が分布する一方で,近年,帰化種アメリカネナシカズラ(CC)が広がりつつある。本報では,長野県内でネナシカズラ属の自生地を探索し,在来種と帰化種の分布概況と寄主植物を調査した。県の北部から南部にわたる7地点でCJまたはCCの自生地が確認され,うち4地点で2種とも存在していた。寄主植物は2種とも40種前後であった。CJは林縁部や高茎草本ののり面に多く,寄主植物としてクズが圧倒的で,木本への寄生も多かった。CCはより撹乱を受ける路傍や河川敷に多く,寄主植物はヨモギ,メヒシバ,ブタクサなどで,帰化植物への寄生も多かった。

  • 田中 淳
    2026 年52 巻1 号 p. 115-118
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    自然公園内にて実施される植生工では,生物多様性に配慮した植生工を行う。一方で一般的な緑化工事は,外国から輸入される種子を活用する市場単価方式に適応した種子を活用して行われている。この方式では,在来種と呼ばれる外国産在来種も使用される。本報告では、生物多様性に配慮した植生工を対象とし,適用する法面の土質環境に相当する市場単価方式の植生工との工事費の比較を行った。その結果,平均で1.53倍,3/4の工法が含まれるには約1.8倍のコスト増が見込まれた。自然公園内にて法面緑化対策を計画する際には,通常より1.8倍程度のコストをあらかじめ見込んでおくことが事業進捗時の自由度を高める上で大切である。

  • 大澤 啓志
    2026 年52 巻1 号 p. 119-122
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    ノハナショウブの種子発芽特性を把握するため,種子保管条件や採取年及び産地の異なる種子で発芽試験を行った。発芽率は最大でも平均60%であり,多くは平均40%前後であった。ただし,乾燥保管の種子,あるいは前々年産の種子で発芽率が低くなる場合も認められ,安定しなかった。発芽試験後の種子を用いた撒き出し試験で幾つか出芽が認められ,発芽試験の期間中には発芽しなかったものの発芽能は有している種子もあることが示された。前年に撒き出しをした種子が翌年の春季に出芽するのが認められ,少なくとも1年程度は埋土種子の状態で生残していることが示された。発芽後は1週間ほどで本葉を伸ばし始め,早い個体は30日目には草丈10 cm程度,60日目には20 cm程度にまで成長した。

  • 那須 守, 信田 幸大, 吉原 裕人, 荒井 菜穂美, 岩崎 寛
    2026 年52 巻1 号 p. 123-126
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    家庭でのミニトマト栽培が従業員のウェルビーイングに与える影響と,健康経営施策としての有効性を検討するために栽培実験を実施した。その結果,交流満足,心身の健康,心理的資源,就業意欲の全指標で有意な向上が認められた。54件の既往施策との比較では,多くの指標で効果量が平均値を上回り,有効性が示唆された。また双方向因果分析により,家庭の交流満足,心理的資源,就業意欲が高まる循環プロセスが推察された。これは,家庭での良好な状態が仕事へ波及し,その充実感が家庭へ還元される領域間の相乗効果を支持する。以上より,家庭領域からのアプローチが個人と組織の活性化を導く有効な健康経営施策となり得ることが示唆された。

  • 高橋 輝昌, 鈴木 紘平, 赤藤 惠司, 髙栁 伸次
    2026 年52 巻1 号 p. 127-130
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    性質の異なる土壌に様々な土壌改良材を体積比5%で混入し,ポットに充填して芝生を栽培し,1生育期(7ヶ月間)の芝草と土壌に含まれる炭素量の変化を調査した。土壌にはマサ土,黒ボク土,荒木田土を用いた。土壌改良材にはパーライト,バーク堆肥,牛糞堆肥,バイオ炭,腐熟堆肥を用いた。パーライトとバイオ炭は土壌炭素量を264~945g m-2増加させた。荒木田土ではパーライト混入による土壌炭素の増加量が多かった。バイオ炭によって芝草の炭素量は対照区よりも少なくなった。黒ボク土の試料や牛糞堆肥を混入した試料では土壌の炭素量が減少し,土壌微生物による土壌中の有機物や混入された堆肥の分解の影響と考えられた。

  • 中川 昌彦
    2026 年52 巻1 号 p. 131-134
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    帯広市東部と士幌町で常緑樹耕地防風林の現況を調査した。樹高7 m以上の耕地防風林の切れ目率は,トドマツが最も高く,次いでアカエゾマツが高く,チョウセンゴヨウで非常に低かった。樹高7 m未満の耕地防風林の平均欠株率は,アカエゾマツで非常に高く,次いでトドマツで高かった。文献調査から冬期乾燥害に対してアカエゾマツは非常に弱く,トドマツは弱く,チョウセンゴヨウはやや強い可能性があると考えられた。欠株率や切れ目率は樹種による冬期乾燥害への耐性を反映していると考えられた。チョウセンゴヨウ耕地防風林は切れ目ができずに成林する可能性が高い。切れ目ができた場合はチョウセンゴヨウの補植が望ましいと考えられた。

  • 宮本 脩詩, 福井 亘
    2026 年52 巻1 号 p. 135-138
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,京都市の街区公園を対象に,1.5 m 解像度の衛星画像で算出したNDVIによって,公園内の樹冠部がどの程度抽出されるか,再現率と適合率を算出し,傾向を把握した。また京都市の街区公園内の樹冠面積率について,公園の設置年代別や用地取得別の特徴を把握した。その結果,NDVIの閾値を0.35に設定すると再現率と適合率のバランスが良く,約4割5分の公園内樹冠部が抽出された。ただし,1,000 m2未満の小さな公園では再現率が3割を下回った。また,1,000 m2未満の公園の多くは1970年代以降の開発行為で取得されており,樹木が十分に成長しきっていないために,公園内樹冠面積率が低かった。

  • 浅井 俊光, 小林 玲斗, 武生 雅明
    2026 年52 巻1 号 p. 139-142
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    ヒナノハイゴケとエゾスナゴケの2種のPb集積能を評価するため,Pb濃度が10 mg L-1の溶液へ浸漬処理後,20日間の栽培実験を行った。さらに,植物体中Pb濃度,植物・培地(ろ紙)洗浄液中Pb濃度を測定し,溶脱率(%)を算出した。その結果,両種の植物体中Pb濃度は約3,500~4,000 mg kg-1と高く,処理区の溶脱率は最大で0.006%と極めて低かった。これらの結果から,両種はHyperaccumulatorを定義する植物体中Pb濃度の閾値(>1,000 mg kg-1)を大きく上回り,かつ体外への溶脱量も小さく,Phytoremediation用植物としての利用可能性が示唆された。

  • 福田 尚人, 中川 雄平
    2026 年52 巻1 号 p. 143-146
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    北海道羅臼町において2025年斜面方位と水分条件が異なる斜面の植生を調査した。その結果,当年夏季の高温によって南向き斜面は多くのイネ科植物が枯れていた。また植物種組成においても違いがあった,南向き斜面は植物種数が少なく植被率は小さく草丈も低かった。一方北向きや水分の多い斜面では,多様な自生種植物が認められた。

  • 福田 尚人, 中川 雄平
    2026 年52 巻1 号 p. 147-150
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    北海道羅臼町の整備7か年経過した斜面において侵入植物と周辺を含めた現況を調査した。その結果,風散布型種子の母樹や群落が施工地より高い位置に存在することが自然侵入の可能性が高い立地条件であり,とくに先駆樹種の自生種植物ケヤマハンノキでは種子散布範囲と稚樹の好適な生育条件との重なりが侵入域の形成につながったと考えられた。

  • 岩田 朋子, 立川 児太郎, 高橋 竜一, 鬼束 大平
    2026 年52 巻1 号 p. 151-154
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,高速道路インターチェンジランプ内緑地における草刈り作業の機械化の有効性を明らかにするため,肩掛け式草刈機,ラジコン型草刈機,自動草刈機の3手法を同一条件下で比較検証を行った。評価は景観およびコストとし,6,700 m²あたりの10年間のライフサイクルコストで経済性評価を実施した。その結果,肩掛け式草刈機に比べてラジコン型草刈機は約52%,自動草刈機は約37%のコスト低減を達成し,自動草刈機は通年の景観維持と作業員不要による高い安全性を両立することが確認された。緑地管理における機械化の有効性は明らかであり,現場条件に応じた複合的な管理手法の一つとして有効であることが示された。

  • 新井 恵璃子, 吉田 好男
    2026 年52 巻1 号 p. 155-158
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    エコロードガイドとは,高速道路の整備で改変を余儀なくされる自然環境へのインパクトの回避や最小限化を図り,地域環境との共生を目指すために必要となる技術的対応の要点を取りまとめた技術資料である。本書の改定にあたって,有識者およびNEXCO3社で構成される委員会を立ち上げた。委員会では,第1回で改定方針を決定するとともに,第2回と第3回で方針に沿った改定原案を作成し審議した。その結果,エコロードの必要性や国内施策における位置付け,環境保全措置に関する情報共有や継承の重要性,エコロードの維持管理に必要な対応,参考事例の更なる拡充,国立公園通過3路線の定期モニタリング結果等が追加・更新された。

  • 岸本 大地, 中島 敦司, 大西 智貴
    2026 年52 巻1 号 p. 159-162
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    厚層の覆土条件下で地域性種苗の発芽率が低下する要因を明らかにするため,発芽実験および土中酸素濃度の測定を行った。発芽実験では,荷重下でのチカラシバの発芽勢および最終発芽率の上昇が認められた。一方,ススキ,トールフェスク,オーチャードグラスでは荷重下で発芽勢および最終発芽率が低下する傾向を示した。土中酸素濃度の測定において,粒径2 mm未満の真砂土では,土深3 cmに比べ土深5 cmおよび10 cmでの酸素濃度の低下が確認された。加えて,注水後には酸素濃度が低下した。以上のことから,覆土に伴う荷重が発芽に及ぼす影響は草種特性に依存し,細粒土壌や高含水条件では酸素濃度が低下する可能性が示唆された。

  • 永渕 祐宜, 小野 幸菜, 吉田 寛
    2026 年52 巻1 号 p. 163-166
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    近年,法面緑化では生物多様性や地域生態系への配慮が求められているが,地域性種苗や国内産在来種を用いた事例報告は限られている。本技術報告では,施工地周辺で採取した現地採取種子と国内産在来種子を用い,植生基材吹付工法(工法名:斜面樹林化工法)を適用した事例について,既報に引き続き,施工7年5ヵ月後から16年4ヵ月後までの植生調査結果を集計した。その結果,施工初期には導入したアカメガシワなどの先駆樹種が優占しつつ,現地採取種子であるシラカシなどが成立し,16年4ヵ月後には遷移中後期種のネズミモチを主体とする群落への移行が確認され,緑化目標に設定した落葉広葉樹と常緑広葉樹の混交林が形成されていた。

  • 吉原 裕人, 信田 幸大, 荒井 菜穂美, 那須 守, 岩崎 寛
    2026 年52 巻1 号 p. 167-170
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    近年,勤務者の多くがストレスを抱えていると報告されており,健康経営の推進が企業の課題となっている。オフィスでの園芸活動がストレス緩和やコミュニケーション活性化に有用であることがわかっており,健康経営に園芸療法を取り入れることが注目されている。従来の取り組みは職場環境への導入が中心であるが,実装が困難な場合もある。そこで本研究では,より着手しやすい自宅での植物栽培に着目し,勤務者の精神的健康に与える効果を明らかにすることを目的として実証実験を行なった。その結果,日常生活における充実感やコミュニケーションのきっかけとなり,ネガティブな感情を緩和し,ポジティブな感情を向上させることが分かった。

  • 白川 一代, 吉田 好男, 浅井 可葉, 渡邉 梨々子, 森下 健太
    2026 年52 巻1 号 p. 171-174
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    東海環状自動車道の建設に伴い,掘削予定のトンネルに近接する農業用ため池に自生していた岐阜県唯一の個体群となるオグラコウホネを保全するため,生息域外保全と段階的再移植を実施した。これはトンネル掘削による地下水の変化等,生育環境が悪化した場合に備えた保全措置の一環として,域外保全施設を設置し育成管理を行ったもので,トンネル工事の竣工及び道路の開通後,3回に分けて当該池に再移植した。本稿では,5年間にわたって実施した本種の保全の一連の取り組みについて報告する。

  • 高橋 竜一, 岩田 朋子, 鬼束 大平, 立川 児太郎
    2026 年52 巻1 号 p. 175-178
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    高速道路切土のり面では,維持管理の低減に伴い侵入木の高木化が進行し,樹木の倒伏リスクや伐採管理の負担増大が課題である。本研究では,侵入木を枯死させずに伸長成長を抑制する植物成長調整剤を用いた管理手法について,現地実証試験により有効性を検証した。その結果,植物成長調整剤散布区では無散布区と比較して7年後の植生高が61%に抑制され,伐採作業時間および発生材量も大幅に低減した。さらに,ライフサイクルコストの試算から,中長期的な維持管理費用の縮減が見込めることが示された。本手法は,植生被覆を維持しつつ,切土のり面の安全性と管理効率を向上させる有効な管理技術であると考えられる。

  • 武田 一樹, 一戸 信之介, 吉田 和貴, 勝呂 尚之
    2026 年52 巻1 号 p. 179-182
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    ネイチャーポジティブの機運が高まる中,高速道路ビオトープにおいても生態系保全等の役割が求められる。本技術報告は,高速道路敷地内に整備した調整池ビオトープにおいて,生物多様性保全上の課題に対応するために地域協働で実施した取組とその効果について報告する。具体的には,特定外来種アメリカザリガニの抑制管理および個体数推定,地域固有種三浦メダカ等の生息環境整備および生息状況調査を実施した。その結果,三浦メダカの生息数は安定し,産卵や稚魚も確認できるようになった。本報告は,アメリカザリガニが定着した閉鎖性水域における生物多様性向上に資する技術的知見を示すものである。

  • 高橋 奈々, 本郷 悠夏, 石山 信雄, 揚妻 直樹, 森本 淳子
    2026 年52 巻1 号 p. 183-186
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    北海道胆振東部地震の斜面崩壊地で,生態学的遺産(レガシー)を用いた緑化試験地の一部を対象に,施工5年目の哺乳類の利用頻度を調査した。斜面崩壊後,手を加えていないコントロール区,鹿柵のみ設置した処理区,鹿柵と木柵を設置した処理区の3タイプ間で比較した。鹿柵として電気柵を使用し,木柵は震災で発生した倒木を現地で加工して使用した。確認された哺乳類種は,エゾシカ,アライグマ,タヌキ,ネズミ類であった。結果として,木柵の設置はバイオマス指数の増加に寄与するだけではなく,ネズミ類の利用頻度に正の影響を与え,木柵の構造自体がネズミ類にとって移動経路としての役割を有している可能性が示された。

  • 金 甫炫
    2026 年52 巻1 号 p. 187-190
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル フリー

    本報告は,都市公園や緑地の樹木管理や温室効果ガス吸収量把握等の機能評価に向け,LiDARを用いた樹木調査の精度と実用性を検証したものである。ウェアラブル型および背負式の2機種で都市緑地の3次元点群データを取得し,従来の毎木調査(実測値)と樹高,胸高直径,材積を比較した。結果として,胸高直径は両機種とも実測値と概ね一致したが,材積の算出ではウェアラブル型が高い相関を示した一方,背負式は精度にばらつきが生じた。本検証は,都市公園や緑地の樹木調査におけるLiDAR技術の導入と省力化に向けた重要な知見を提供する。

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