2004 年 30 巻 1 号 p. 181-186
マダケの葉量の季節変化,葉の形態,光合成速度に関する測定を行った。マダケの落葉と展葉は,4月から5月にかけて同時に起こった。齢の若い稈で多くの葉量を保ち,齢の古い稈では,少ない葉量を維持した。稈の齢が古くなるにつれて,古い葉を高い割合で残す傾向がみられ,葉替わりは緩やかになり葉の寿命が長くなると考えられる。葉の形態では,1年生の稈で最も大きく厚い葉をつけ,その後稈の齢の増加に伴い,より小さく薄い葉に変わっていた。光合成速度は,稈の齢が若いほど高かった。したがって,マダケでは稈の齢の違いによって,葉の寿命,あるいは葉の入れ替わりの早さと光合成速度の間には負の関係がみられ,トレードオフの関係のあることが示唆された。