日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
Print ISSN : 0916-7439
ISSN-L : 0916-7439
論文
クラゲ由来混合タンパク質を用いた気生微細藻類による壁面緑化の基礎的研究
阿部 克也古川 和弥小野 擴邦
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 36 巻 3 号 p. 423-430

詳細
抄録

クラゲ由来混合タンパク質を用いた気生微細藻類による壁面緑化の基礎的研究を行った。まず,本学八王子キャンパス内において乾燥したコンクリート壁面,樹皮( スギ製棒杭),石像,スチール製看板塗装面などの表面から気生微細藻類の緑色コロニーを採集した結果,緑藻綱に属するElliptochloris reniformis(E. reniformis)を単離することができた。また,東京湾の夢の島付近から採取したミズクラゲからコラーゲンやムチンなどを含むタンパク質を抽出することができた。E. reniformis は,ミズクラゲ由来混合タンパク質(ムチンなど)を有機窒素源として取り込むことで増殖することが分かった。さらに,そのタンパク質が藻細胞による壁面緑化の初期段階において栄養の供給源の一つになったものと考えられる。したがって,クラゲの有効利用方法および抽出されたタンパク質が気生微細藻類による壁面緑化の助長材料として初期段階において利用可能であること,気生微細藻類の持つ基物着生能力に着目した壁面緑化が可能であることが分かった。

著者関連情報
© 日本緑化工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top