抄録
近年の法面緑化では,堆肥化,チップ化した現地発生木材の基盤材としての活用が行われているが,植物の生育阻害などの問題が懸念される場合があり,導入技術には検討の余地がある。また,緑化目標の達成度は植生調査のみから測られることが多く,基盤や他の生物について経年変化を調べることは少ない。自然回復緑化への施工法の変化に対応するには,基盤や土壌生物の変化について調査し,物質循環系の形成や生物相の多様化といった観点から,法面緑化地を評価することが有効であろう。そこで,膨軟化処理を行った木材チップを施用した法面緑化の特性を,植生,植栽基盤および土壌生物について施工後6 年目までの変化を定量的に把握することで検討した。結果として,施工後5ヶ月でC/N 比が平均約40 から約30 まで下がり,植生被度は施工後15ヶ月で平均70% を超えた。本工法では少なくとも施工後4 年で植物量,C/N 比は安定したが,施工後3ヶ月間の植物量が少ない期間に,窒素溶脱が確認された。微生物活性は施工後一定の値で維持され,植物の増加に伴う物質循環系の形成が推察された。ミミズの増加と基盤の理化学性や植生状況の関係は説明できなかった。