河川性の湿地に生育する多年生草本種である絶滅危惧種タチスミレは,現在国内の生育地が非常に限られている。その原因は生育地の管理放棄や自然遷移,河川開発であるとされているものの,生育地の環境条件に関する研究はほとんど行われていない。本研究ではタチスミレはどのような立地環境・植生管理手法の場所に多く出現するのかを成長段階ごとに明らかにすることを目的とし,タチスミレの密度や個体高,環境条件(光環境・土壌水分率)の調査を行った。その結果,実生密度は明るい環境で大きく,光環境の改善には火入れによる植生管理が有効であることが示唆された。また火入れした場所では刈り取りした場所より個体高が小さくなる傾向がみられた。