日本緑化工学会誌
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「河川における生物多様性に配慮した堤防植生管理」 チガヤ型植物多様性ホットスポットに侵入したセイタカアワダチソウの影響評価
根本 正之山田 晋
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2016 年 42 巻 3 号 p. 433-436

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抄録

利根川中流域の堤防法面には前報で山田らが指摘したように築堤履歴や種類組成からチガヤーツリガネニンジン型群落9) と認められる草地が点在している。チガヤーツリガネニンジン型群落は 1960年頃から全国的に進められた農地の大規模整備による表土の攪乱を免れた場所に残存する草地で,通常の管理では外来種は侵入しにくいと考えられている 9) 。ところが利根川中流域には,築堤履歴からチガヤーツリガネニンジン型群落と言える草地内の全面にセイタカアワダチソウ Solidago altissima L.が分布する場所がある。当該場所のセイタカアワダチソウは個体サイズにばらつきがあり,またセイタカアワダチソウ個体が集中する箇所が認められた。本報では上記のチガヤ型植物多様性ホットスポット (以下,チガヤ型ホットスポット) に出現したセイタカアワダチソウの生育を抑制し,在来種多様性を維持・管理する視点から,その代表的な堤防法面で,全面 (長さ 20 m × 幅 15 m) を 1 mメッシュで細分化し植生調査を行った。また同じ場所のセイタカアワダチソウ個体の生活史についても解析した。さらにチガヤ型ホットスポットを構成している優占種のタイプ別に,構成種の草高と被度に基づく群落構造図を作成,セイタカアワダチソウが当該チガヤ型ホットスポットの植物多様性に及ぼす影響程度を評価した。

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