2017 年 43 巻 2 号 p. 375-381
冷温帯域で降水量が少ない内陸性の気象条件下に位置する上信越自動車道の太郎山トンネル西坑口において, 1993年に切土法面の修景緑化を目的とする先駆樹種と遷移中後期樹種 (ヤマモミジ・ガマズミ) の混播によるモデル施工が行われ,エアー方式の厚層基材吹付工が適用された施工区について 22年間の追跡調査を行った。その結果,導入した先駆樹種は施工 19年後にはほぼ衰退し,22年後には平均樹高約 6mのヤマモミジ群落が形成された。モデル施工により,播種工でヤマモミジによる切土法面の修景緑化が可能で,ヤマハギ,コマツナギ,アキグミが優占した先駆樹種群落からヤマモミジが優占する遷移中後期樹種群落への移行に約 10年 (8~13年) を要することが確かめられた。