2019 年 44 巻 4 号 p. 591-595
気候変動で台風による風倒木リスクが増大し,迅速な被害把握が重要になっている。日本列島に上陸した台風21号により2018年9月4日に風倒木が発生した万博記念公園(大阪府吹田市)の自然文化園の森を調査対象とした。台風前は2018年7月11日,台風後は2018年9月26日に撮影したデータをSfM(Structure from Motion)により処理することで得られるDSM(Digital Surface Model)を2時期で比較することで,台風により発生した風倒木ギャップを抽出することができた。ギャップパッチ面積と現地調査により計測したギャップパッチ内の胸高断面積合計および本数との相関は,胸高断面積合計の方が全体的に高かった。DSMの2時期の差が6 m以上で倒木により形成されるギャップを抽出できた。台風により形成されたギャップパッチ面積の合計は6,926 m2で,同じ範囲内で2000年から2017年の17年間に人工的に造成されたギャップ面積の約64%であった。UAVで定期的に撮影しておくことは森林モニタリングに有効である。