日本緑化工学会誌
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技術報告
施工後27年が経過したアクロス福岡の屋上緑化植栽基盤中の真菌相
大澤 啓志 吉岡 威能勢 彩美肥後 昌男
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2024 年 49 巻 3 号 p. 320-325

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抄録

施工後27年が経過したアクロス福岡の植栽基盤中の真菌相についての実態把握を試みた。DNA検出数は,担子菌門Basidiomycota及び子嚢菌門Ascomycotaがそれぞれ4割程度を占め,次いでケカビ門Mucoromycotaもしくはクサレケカビ亜門Mortierellomycotaの割合が多くなっていた。-10 cm,-30 cm,-50 cmの採取深度による真菌相の群集構造の差は必ずしも明瞭ではなく,有意差が認められたのは極一部の分類群のみであった。むしろ,採取階(採取地点)による群集構造の差がより顕著であった。有効態P,交換性Ca,全窒素,CEC,腐植含量で下層にいくに従い値が下がる傾向が認められたものの,真菌相の群集構造にはあまり影響しなかったものと判断された。周辺の自然的立地(南公園・立花山)と比較した結果,本屋上緑化地の真菌相は門レベルでは概ね類似した割合傾向ではあったが,属レベルで見ると自然的立地とは異なる,独特の群集構造を形成していることが明らかになった。アクロス福岡の屋上緑化地は,地上部の樹々の成長に加え,分解者そして菌根共生としての植栽基盤中の真菌相も含め,成熟した都市の森になりつつあると判断された。

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