1999 年 25 巻 4 号 p. 305-310
厚層基材吹付工により硬岩法面に導入された外来草本群落とイタチハギ群落の植生遷移の相違を明らかにするため, 本四連絡橋尾道~今治ルートの伯方島において24年間にわたる追跡調査を行った。その結果, 厚層基材吹付工を適用した場合は, 一次植生として外来草本群落よりもイタチハギ群落を造成した場合の方が植生遷移が早まる傾向があり, これまでに報告されている種子散布工等の簡易な植生工法とは異なる植生遷移をすること示唆された。また, イタチハギ群落は外来草本群落と比較して鳥類や小動物の生息環境として働いており, 低木林造成が鳥散布種子や貯食散布種子による常緑広葉樹の自然侵入促進に寄与していることが確かめられた。