日本緑化工学会誌
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山火事跡地におけるワラビ群落の土壌保全機能について
深山 貴文後藤 義明
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キーワード: 山火事, ワラビ, 被覆量, 侵食
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2000 年 26 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

本研究では山火事跡地におけるワラビ被覆量の季節変化を定量的に把握し, 被覆量と侵食土砂量の関係を求めることを目的とした。毎月1回の現地調査から, プロット内の現存量と枯死体量を月毎に推定した。被覆量と侵食土砂量の関係は人工降雨実験によって求めた。その結果, 本試験地のワラビ被覆量は11月から翌年4月まで, 300g/m2程度であると推定された。また, 夏期には500g/m2以上の被覆量となると見積もられた。人工降雨装置による実験の結果, 被覆量が300g/m2以上になると侵食土砂量は裸地の5%未満に減少することが分かった、また, 被覆物も斜面全体に分布していることが分かった。これらの結果から山火事跡地のワラビ群落の土壌保全機能はワラビ枯死体の堆積によって発揮され, 群落全体において年間を通じて土壌侵食を抑制すると考えられた。

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