日本緑化工学会誌
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土壌水分の変化が窒素の無機化と炭酸ガス放出におよぼす影響: 山火事後9年が経過した表層土について
タンジャ マハマドゥ嶋 一徹千葉 喬三
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2000 年 26 巻 4 号 p. 280-288

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抄録

瀬戸内沿岸の花歯岩地帯に位置する山火事後の荒廃林地において表層土を用いた培養試験を行った。その結果, 土壌水分と窒素の無機化速度および炭酸ガス放出速度の間には密接な相関があることが示された。比較的高い含水比で培養した土壌では窒素の無機化速度も高くなっていた。培養初期に乾燥させたのち含水比を最大容水量の70%まで増加させると, 乾燥処理が強いほど初めの3日間に窒素の無機化速度も大きく増加したが, その後減少に転じて, 最終的にはどの処理でも同程度の無機化速度となった。窒素の無機化速度に及ぼす乾燥処理期間の影響は, 培養初期に14日間乾燥させた場合に比べて7日間で顕著に現れた。炭酸ガス放出速度は乾燥処理時の水分に応じて高くなっていた。また, 培養期間中の窒素の無機化速度の低下にともなう炭酸ガス放出速度の増加が認められ, 窒素の無機化にともない有機化速度が増加したことを示唆していた。

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