抄録
帰化植物であるオオオナモミは, 各地のダム湖冠水面に侵入し, 単一植生に近い草原を形成している。ここでは, そのオオオナモミ草原表土のダム湖冠水面緑化への利用可能性を明らかにするため, 宮城県の釜房湖において実験を行い, 表土中のシードバンク, 表土撒き出しにより形成される植生と表土採取地の植生変化, さらにオオオナモミ排除策としての刈り込みの効果について確認した。その結果, オオオナモミ草原表土には, 在来種を含む豊富なシードバンクが形成されており, 撒き出しにより植生再生が図れること, 表土採取地においても植生が再生されることが確認された。また, 再生される植生ではオオオナモミが優占するが, 刈り込み管理が, その抑制に有効であることが確認された。