日本官能評価学会誌
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研究報文
「デザイン・構成美」評価用語の選定と実物サンプル評価によるその有効性
西藤 栄子田川 高司
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1999 年 3 巻 2 号 p. 105-114

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1. 緒言

ある特定のモノ(ここでいうモノとは人が生活に用いる身近な器具や服飾製品などの商品を指すものとする)に対して, 人々が望んでいる印象を明らかにすることができれば, その情報は売れるモノをデザインするのに有効な情報となる。本研究では, モノに望まれる印象を明らかにしてデザインに組み込むための方法について, 知見を得ることを目的としている。

研究内容には2つあり, 第1は, モノの「デザイン・構成美」に関する印象をできるだけ的確に捉えるために, デザインや構成の分野で用いられている多くの「デザイン・構成美」表現用語を精査・分類して, その中から代表語を「デザイン・構成美」に関する印象の評価用語として選定する。また「デザイン・構成美」の印象評価の領域における評価の構造について知見を得ることをである。第2には, 選定した評価用語を用いて実物サンプルの印象測定を行い, 得られた評定値をもとに, 個人差を捉えるINDSCALモデル多次元尺度法で分析して, モノの印象に強く影響する評価内容を把握すること, さらにはこの得られた結果によって, 選定した評価用語の有効性を明らかにすることである。

さて, あるモノが「美しい」「好ましい」などの印象や感動を人に与える理由については, いろいろの分野で取上げられ, 研究されてきた(Birkhoff 1933, 増山 1989a, 増山 1989b, 増山 1989c, Garner & Clement 1963, Chipman 1977, Yodogawa 1982)。また, 商品等の実際的な感性評価にはSD法などを用いた先駆的な研究が利用されている(Osgood et al.1957, 増山と小林 1989, 増山 1996, 岩下 1983)。

モノをデザインするプロセスは, 消費者の要求に基づくコンセプトをもとに, イメージを創造してそのイメージを具体的な造形にするのが一般的である(森ら 1995a)。イメージ用語(表現用語)はデザインコンセプトを認識し, 表現するのに便利であり, 具体的形態へ導くためのキーワードとして重要である。しかし一方, 複雑で多岐にわたるために, より適切で集約された用語を評価用語として選定する必要がある。本研究で収集した美しさの表現用語数でも1,078語に上った。デザイン用語に関するこれまでの研究には, 家庭用電話機を例にしてデザインコンセプトに使われる用語を階層化し, デザインコンセプトを具体化して, 適切なデザイン解を導くための思考過程モデルの作成を試みた研究(小内ら 1989, 森 1995b), デザインの思考過程をイメージ用語によってモデリングした研究(渡辺ら 1989), デザイン評価における言葉のあいまいさをファジィ理論によってモデリングした研究(中村 1989)など, 多くの報告がある。これらはいずれもあいまいな表現用語を基に, より適切なデザイン解を導くための方法論であり, 用語のあいまいさを問題としている。

心理学分野では性格や感情を研究するために, 関連する表現用語の意味構造を研究している(青木 1971a, 青木 1971b, 青木 1972, 伊藤 1986, 寺崎ら1992)。本研究でもそれと同様に「デザイン・構成美」に関する表現用語の意味構造を検討することは, モノ(商品)の印象評価やデザインのための重要な手がかりになると考える。本報ではさらに, 選定した評価用語を用いて実物サンプルを評価すると, モノの種類によって印象に強く影響する評価内容を把握できることを明らかにする。

なお本研究は, さまざまな形や色合いで構成されたモノが, 人間に与える感性的な印象を, より基本的な立場から見直そうとして開始した研究(あらゆる商品の形が多角形や円, 弧などの部分から成り立つとして, 基本的図形が与える印象を分析するにあたって(西藤と田川 1997, 西藤と田川 1998), 「デザイン・構成美」の評価内容を明らかにし, 評価用語を選定しようとして着手したものである。

2. 方法

分析の手続きはStep1からStep7のとおりである

Step 1 「デザイン・構成美」に関連する表現用語の収集

「デザイン・構成学」に関連する著書(三井 1996, 伏見と中村 1979, 小林 1978)と学術雑誌(例えば, デザイン学会誌 1980~1997, 文部省科研費研究報告書 1995)からこの分野に関連する表現用語を収集した。さらにこれら収集用語をおぎなうために, 用語事典(梅澤ら 1990)によって, 当該分野の表現用語としてふさわしいものであるにも関わらず収集されていない用語がないか検討した。

Step 2 デザイン・構成美に関する用語の選択基準と選択

収集された用語のなかで明らかに同義語・類似語であるものについては表現の明確な用語を選択し, 788語に整理した。

次のステップ(KJ法によって意味類似にもとづくマップを作成する)での被験者の負担・能力を配慮し, できる限り適切な用語を選択するために, 森らの報告(前掲, 渡辺ら 1989, 森 1995b, 小内ら 1989)を参考にし, 大学研究室の研究者2名と学生(大学院生, 学部生)5名の計7名で用語の整理を行った。整理の方法は, 前掲論文(青木 1971a)で多数の表現用語をいくつかに分類しながら整理しているものを参考にした。

この実験は大学研究室の研究者2名と学生(大学院生, 学部生)5名の計7名で, 1997年4月上旬に行った。

以下の基準を設定して, これらの用語から227語を選択した。

1. 出現頻度ができるだけ高く, 内容が明確であること。

2. 難しい専門的な用語は避ける。

3. 同一方向の用語を用いて測定する方が, 分析にかけやすいこと, 肯定語の方が概念の収斂度が高く, 性格などではとりわけ肯定語に対する反応の方が被験者は反応しやすいという報告があることなどを参考にして(伊藤1986), 本研究でも対をなす表現用語はできるだけ肯定語を選択することとした。

Step 3 KJ法による選択用語の分類

Step 2 で選択した用語の意味内容を知るためにKJ法によってマップを作成した。この実験は, 判定者(研究者2名と学生6名)計8名で, 協議しながら行った。実施時期は1997年4月末であった。

Step 4 KJ法のマップから代表語選択

作成したマップをもとに, 各グループを代表する用語76語を選択した。用語数は, 次のステップで用語の意味類似によるグループ化を行う際に被験者の負担が大きくならないように配慮した。

Step 5 デザイン・構成美に関連する用語の意味類似によるグループ化

Step 4 で選択した76語を1語ずつカードにして76枚を1組とし, 各被験者に渡して, 意味内容が類似する用語をグループ化させた。このとき, 被験者には, 1)いくつのグループに分けても良いこと, 2)各グループにグループ化されたカードの枚数はいくつになってもよいこと, 3)どうしてもグループ化できないと思われるものがあれば, 無理にグループ化しなくても良いこと, 4)ただし, 全グループ数が1または2グループというようなわずかのグループ数, または各グループのカード枚数が1~2枚ばかりになるようなことをできるだけ避けて欲しいと断った。

被験者は男女の学生(女子21名, 男子16名, 年齢19~22歳)計37名で, 実施時期は1997年5月であった。

Step 6 類似率をもとにしたクラスタ分析と多次元尺度法による用語の分類

各被験者が76語のグループ化を行った結果, グループ化された数が最も小さいグループ数は4で, 最大は18であり, グループ化された数の平均は12であった。また1グループのカード枚数は最小2枚から最大23枚で構成されていた。

各被験者がグループ化したデータをもとに, グループ化された用語間の類似率Sjkを次式によって算出した。

Sjk = Njk/n (1)

ここで, Sjkは用語jと用語kの類似率, Njkは用語jと用語kが同じグループに組み込まれた頻度, nは総被験者数である。

なお, この類似率は用語jと用語kが同じグループに組み込まれている頻度であり, いずれの被験者もグループ化しなかった場合, 類似率Sjkは0となる。用語jと用語kの意味内容が似ているとする被験者が多いほど, グループ化される頻度は高く, Sjkは大となる。

76語すべての組み合わせについての類似率を算出し, 次にこの類似率を(2)式によって距離に変換した。

Pjk = 1 - Sjk (2)

このようにして得られた76×76のマトリックスデータをインプットデータとし, 前述のように用語のグループ化を行ったために, 新たに併合されるクラスタの平方和を最小にするという基準でクラスタを形成する実用的なWard法によってクラスタ分析を行って, 76語を分類した。なお, この場合の基本クラスタの抽出は, KJ法の結果と, 同時に行った因子分析(主因子法・Varimax回転)結果も参考にして, 距離係数15.6の位置で分割することによった。各基本クラスタの代表語を「デザイン・構成美」に関する印象の評価用語として選定した。一方, 変数間の内部関連に着目した多次元尺度法(プログラムのモデルはALSCAL:SPSS統計パッケージ使用)によって, 1)選定した評価用語を少数の最適次元(基本次元)にまとめ, 2)評価用語を空間布置することによって, 評価用語間の関連と「デザイン・構成美」に関する印象評価の最適な次元を検討した(西里 1975, 印東 1973, 高根 1980)。

なお, 多次元尺度法(ALSCAL)では, 1次元から6次元まで分析し, Kruskalのストレスを算出して, X軸に次元を, Y軸には各次元のストレスをプロットし, 屈曲点のある次元(次元数を増やしても, 以下それほど大きな減少のない次元)を最適次元数に決定した。得られた最適次元内に用語を系統的にまとめて各次元の内容を検討し, さらにその座標上に用語を布置して, 基本クラスタの内容と比較し, 「デザイン・構成美」印象評価の構造を検討した。

Step 7 実物サンプルの印象測定による「デザイン・構成美」の評価構造の検証

最終的に選定した33語で実物サンプルの「デザイン・構成美」の印象測定を行い, 多次元尺度法で分析することによって, 選定した評価用語(33語)はモノの「デザイン・構成美」の内容を充分に捉えることができて, しかもそれぞれのモノの印象評価に強く影響する内容を把握できることを明らかにした。

ここで選んだモノ(商品)は, 用途の異なる身近な生活用品4種で, 1)鞄 2)置き時計 3)花瓶 4)電気スタンドであった。それら 4種は, デザインの異なるもの3つずつ選定して, 刺激(計12刺激)とした。33語を評価用語として, 被験者に「まったくそう思わない(1点)~非常にそう思う(7点)」の7段階で評定を求めた。得られたデータは, 0から1の範囲で基準化した。そして1)1つは4種の刺激をまとめて(33語×刺激(4×3=12)×被験者数), 評価用語間のユークリッド距離を(3)式によって算出した(0から1の範囲で基準化)。

  

Dijは用語XiとXiの距離, nは評価用語の数である。このデータをもとに, 多次元尺度法(ALSCAL)を用いて分析し, 「デザイン・構成美」評価領域における最適次元(構造)を検討した。次元数の決定は, 前述のとおりである。2)もう1つは4種の刺激ごとに評価用語聞の距離行列を算出して, これをインプットデータとしてINDSCALモデル多次元尺度法で分析した。各次元の重みを算出して, その重みの大きさから, 「デザイン・構成美」に関する印象に影響する評価内容(次元)を把握した。なお重み付けユークリッド距離は(4)式で算出した。

  

Dαijは刺激αでの用語間(XiとXj)の距離, Wαnは刺激αの場合の次元nにおける重みである。

実験は1998年6月から7月にかけて, 各刺激について男女の学生(男子18名, 女子22名)計40名を被験者にして実施した。

3. 結果および考察

3―1 デザイン・構成美に関連する用語の収集と選択

著書, 学術雑誌からデザイン・構成美に関連する用語として1,078語を収集した。それらは, 「大きい」「小さい」「重い」「軽い」「明るい」「暗い」「あでやかな」「あっさりした」「飽きる」など, モノの形態, 人間の感覚や心理, 感情を表現する用語であった。

これらの用語について同義語・類似語を整理して788語を選択した。次に行うKJ法で被験者の負担軽減のために前述のように文献を参考にして, 判定者7名で整理した。結果の一部をTable 1に示した。それらは1)「彩りの良い」「大きい」「きめがあらい」「材質感の良い」など形態や材質の表現, 2―1)「清らかな」「ロマンティックな」「ユーモラスな」「おとなしい」など感性表現, 2―2)「高級感のある」「豪華な」「親しみやすい」「好きな」「似合う」など満足感・充足感を表現すると考えられる用語であった。これらの用語から, さらに Step 2の基準で227語を選択した。

Table 1

The selected terms for sensory evaluation of design. (From step 1 to step 4)

3―2 KJ法によるマップの作成

Step 2で選択した227語について, KJ法によるマップを作成し, Fig. 1の結果を得た。なお, 図には227語中, 各下位グループの代表語76語が記入されている。

1つは機能を表現するグループで, 下位グループ[精密] [生産] [幾何学的美] が融合した中位グループ『精密感』と, 『実用性・機能美』が融合して, 上位グループ《精密感・機能美》を形成する。

「身近な」「親しみやすい」などの[親しみやすさ] と「快適な」「満足感のある」の[快適性・満足感] から成る『親しみやすさ・満足感』, 『独創性』『新鮮さ』『時代性』『動感』『力強さ』『目立ち』『落ち着き』『洗練性』と, [統一感] [テクスチャ(質感美)] [色彩感]の融合した『形態感』, これらが一体となってもう1つの上位グループ《感性美》となる。そしてこの2つの上位グループがさらに融合して {デザイン・構成美} を形成する。なお文中, { } は最上位グループ, 《 》, 『 』は中位グループ, [ ]は下位グループを示し, 「 」内は代表語である。

このマップをもとに, 各下位グループを代表する用語76語を選択した(Fig. 1記述用語)。

Fig. 1

Classification map of the selected terms for sensory evaluation on design by KJ method.

3―3 類似率をもとにしたクラスタ分析と多次元尺度法による用語の分類

76語を変数として類似率を算出し, それをもとにクラスタ分析を行った。因子分析結果も参考にして, 距離係数15.6で分割し, 12の基本クラスタを得た(Fig. 2)。それらは, 第1クラスタ『機能美』から第12クラスタ『目立ち』までの基本クラスタからなっている。階層構造は第1クラスタ『機能美』と第2クラスタ『精密感』が融合して上位クラスタ《精密感・機能美》を形成する。一方, 第3クラスタ『やさしさ・かわいらしさ』から第6クラスタ『上品・エレガンス(洗練性)』が融合して【洗練性】を形成し, 第7クラスタから第12クラスタが階層的に融合して【力強さ・親近感・高級感】を形成する。さらにこれらは上位クラスタ《感性美》となる。

抽出した各基本クラスタの内容を充分表現している代表語33語を最終的に評価用語として選定した(Table 2, 選定語に網掛け印しを付記)。

選定した33語を変数として, 同様にクラスタ分析した結果, 階層構造は「似合う」が独立で抽出された以外は先の76語の場合とほとんど同じであった。

さて, 多次元尺度法では, 用語間の距離に最も適合するように, 用語を少数の最適次元にまとめて分類でき, それは各次元で系統的にまとめられる。また少数の次元空間における用語の空間配置を求めることができる。そこで, 選定した33語に対して多次元尺度法で分析して, 得られた最適次元の空間座標に評価用語を空間布置して, 評価用語の最適次元の内容を検討した。次元数の決定は, 1次元から6次元まで分析を行い, Kruskalのストレスを算出して屈曲点の認められる次元3を目安にして, 最適次元数は3次元とした。なお1次元から6次元のストレスは, 0.589, 0.370, 0.263, 0.206, 0.166, 0.133であった。選定した33語の3次元座標値から各次元の内容を見てみると(Table 3), 次元1では, プラス側が【精密感・高級感】, それに対してマイナス側が【親近感】。次元2では, プラス側には, さまざまの感性美を表現する用語が集まっているので【感性美】, それに対してマイナス側は【機能美】。次元3では, プラス側には「肌触りの良い」, 「きめが細かい」といった材質感や, 感性を意味する用語が集まっており, 材質感や感性美のなかでもとりわけ【やさしさ・清楚】を示している。一方マイナス側は, 【力強さ, 派手】である。

これらの解釈については, さらに求めた意味空間に用語を布置して再検討した。33語をこの3次元空間に布置してみると(Fig. 3), 各基本クラスタごとにまとまって, 大きなズレはなかった。すなわち, 次元1:精密感・高級感/親近感, 次元2:感性美/機能美, 次元3:材質感や感性美のなかの, 清楚/力強さ・派手と解釈できる。「デザイン・構成美」の印象評価の最適次元(基本次元)は, 大きく眺めるとこれら3次元にまとめることができる。また用語の空間布置によって, 各次元に対する前述の解釈は妥当であることがわかった。なおFig. 3には, 先に抽出したクラスタ名を記述している。

以上の結果をもとに, 33評価用語の構成をFig. 4に表した。なお, 33語のクラスタ分析では「似合う」が独立で抽出されたが, KJ法, 76語のクラスタ分析, 33語の意味空間布置(Fig. 3)などの結果を考慮して, 『満足感・高級感』の下位項目とした。図中基本クラスタを本研究では「評価分類項目」と定義し, 33語を「デザイン・構成美」の評価用語とした。

Fig. 2

Hierarchial structure of 12 basic clusters for sensory evaluation on design by cluster analysis.

Table 2

12 basic clusters of 76 selected terms for sensory evaluation of design.

Table 3

Coordinates of 33 terms by multidimensional scaling.

3―4 実物サンプル評価による「デザイン・構成美」の最適次元(構造)の検討

まず, 選定した33評価用語でモノ(刺激4種:鞄, 置き時計, 花瓶, 電気スタンド, 各刺激, 異なるデザイン3個, 計12個)の印象を測定して得られたデータ(刺激4種×評価用語33語×被験者40名)をもとに, 4種の刺激をまとめて(3)式によってユークリッド距離を算出し, 多次元尺度法で分析した。最適次元数の決定は先と同様に1次元から6次元までのKruskalのストレスを算出した。その結果は, 0.460, 0.224, 0.113, 0.083, 0.066, 0.055であって, 3次元めで屈曲点が認められ, 次元数は3次元であることを確かめた。各次元の座標値から各次元の意味内容をみると(Table 4), 次元1は, 親近感・躍動美・カジュアル性/精密感・高級感, 次元2は機能美と時代性/感性美なかでも創造性・洗練性, 次元3は材質感や感性美のなかの目立ち(派手)/同, 洗練性(清楚)であった。これらの内容は先の類似率を基にして得られた3次元の内容(Table 3)と比較すると, 各次元でプラス側とマイナス側の内容が逆転するだけで, 違いはなかった。12評価分類項目は3次元意味空間にまとめられる。

Fig. 3

Plot of coordinates of 33 evaluation terms in the dimensional space by multidimensional space by multidimensional scaling.

dimension 1: high-class image, precise feeling/a sense of intimacy,

dimension 2: Kansei / function,

dimension 3: refinement (neat) / conspicuous (gay)

Fig. 4

Construction of 33 evaluation terms on design.

Table 4

Coordinates of 3 dimensions obtained by multidimensional scaling based on sensory evaluation of designed articles.

3―5 モノの種類別「デザイン・構成美」印象評価に影響する評価内容の把握

本項では, 33評価用語を用いるとモノの印象に強く影響する「デザイン・構成美」評価内容を把握できることを確かめた。4穫の刺激ごとに評価用語間の距離行列を算出し, これをインプットデータとして個人差を捉えるINDSCALモデル多次元尺度法で分析した。

得られた最適次元数は3次元であり, (3)式によって求めた意味空間布置と, (4)式による(INDSCALモデル多次元尺度法で得られた)各次元の内容が同じであることについては, 2つのモデルから得られた2組の3次元を変数として, 正準相関分析を行って確かめた。その結果, 2つのモデルから得られた各次元の正準相関係数は, 0.993, 0.979, 0.959であって, 非常に高い値を示した。この結果によって, 各次元の内容はほとんど一致していることを確かめた。

さて, 4種の刺激共通の意味空間に各刺激の重みWαnを布置した(Fig. 5)。それぞれの刺激からこの空間をみると, 同時に得られる各刺激の重みWαnだけn次元を伸ばしたり収縮したりしていることになる。本実験で用いた鞄では次元1の重みWα1が大きく, 次元1(親近感・躍動美・カジュアル性/精密感・高級感)の区別が, 「デザイン・構成美」の印象評価に強く影響することがわかる。本実験刺激の置き時計や電気スタンドでは, 次元2 { 機能美/感性美(創造性・洗練性)} の区別が大きく影響する。花瓶では次元3 { 感性美, なかでも目立ち(派手)/ 洗練性(清楚)} の区別が, 印象評価に強く影響することがわかる。

以上, 最終的に選定した33評価用語を用いて印象測定し, 得られた評定値をもとに, 個人差を捉えるINDSCALモデル多次元尺度法で分析すると, モノの種類によって, 「デザイン・構成美」に関する評価に強く影響する内容を把握できることを確かめた。このようにして得られた情報はデザインの際に有効な手がかりになる。

Fig. 5

Weight (Wαn) of 4 stimuli in the dimensional space.

dimension 1: a sense of intimacy / high-class image, precise feeling,

dimension 2: function / Kansei,

dimension 3: conspicuous (gay) / refinement (neat)

4. 結論

「デザイン・構成美」に関する用語の収集(1,078語), 整理を行い, 整理した227語について, KJ法を用いてマップを作成し, 各グループから代表語76語を選択した。76語のグループ化によって類似率を算出し, それを距離に変換した。クラスタ分析と多次元尺度法を用いて, 「デザイン・構成美」評価領域における用語を分類して内容を検討した。KJ法と, 同時に行った因子分析結果も参考にして, 「デザイン・構成美」表現用語は12基本クラスタからなることがわかり, それらは, 第1クラスタ『機能美』から第12クラスタ『目立ち』で構成されていた。各基本クラスタ(評価分類項目)の下位クラスタから評価用語33語を選定した。

多次元尺度法ではKruskalのストレスを算出して3次元(次元1:精密感・高級感/親近感・躍動美, 次元2:感性美/機能美, 次元3材質感や感性美のなかの洗練性(清楚)/ 目立ち(派手)を得ることができた。12評価分類項目は, これら3次元(最適次元)にまとめられることがわかった。

さらに選定した33評価用語で実物サンプル4種(鞄, 置き時計, 花瓶, 電気スタンド, 各刺激, 異なるデザイン各3個, 計12個)の「デザイン・構成美」に関する印象測定を行い, それをもとに多次元尺度法で最適な次元を再検討して, 前述の3次元であることを確かめた。また各種刺激を33評価用語で評価し, 個人差(刺激間の差)を捉える多次元尺度法(INDSCALモデル)で分析することによって, モノの種類ごとに「デザイン・構成美」の印象評価に強く影響する内容を把握できること明らかにした。このことによって, 選定した評価用語の有効性を確かめた。

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