日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
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総説
母指再建における遊離複合組織移植―近年の進歩―
松末 武雄
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2025 年 41 巻 6 号 p. 608-620

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抄録

母指欠損,特に爪を含めて欠損した場合,現代の再建治療の中心は足趾を用いた遊離複合組織移植である.現在も母指再建方法は進化を続けており,より整容と機能に優れた方法,そしてよりドナー部合併症が少ない方法が追及されている.母指欠損は以下のように6 つのタイプに分類される.(A)爪欠損を伴わない指腹部欠損,(B)爪母は残っているが爪床を含む末梢組織が欠損,(C)指腹は温存されているが爪母を含む背側組織が欠損,(D)末節骨レベルで爪と骨および指腹軟部組織が欠損,(E)MCP 関節機能は残っているが基節骨レベルで欠損,(F)MCP 関節を含めて欠損.本稿では,足趾をドナーとする遊離複合組織の近年の報告を中心に,タイプ(D)と(E)に対する再建法を解説し,それらを基とした,より末梢の欠損であるタイプ(B)(C)や,より中枢の欠損であるタイプ(F)の再建法について言及する.これらの解説を通じて,整容と機能の向上に向けた母指再建方法の進歩について概説する.

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