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白幡 毅士, 小滝 優平, 湯浅 悠介, 伊藤 博紀, 齋藤 光, 千馬 誠悦
2025 年42 巻3 号 p.
207-212
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
手指化膿性PIP 関節炎は,早期に関節破壊や骨髄炎へ進展する可能性があるため,感染制御を目的とした外科的介入が推奨されている.一方で,術後の安静や関節固定はPIP 関節の拘縮を生じ,把持機能に深刻な影響を及ぼす可能性がある.本研究の目的は,術後早期に運動療法を導入することの有効性を臨床成績から検討し,運動開始時期が手指機能の回復に与える影響を明らかにすることである.対象は関節滑膜切除術を施行した10 例とし,術翌日から自動運動訓練を開始した早期運動群(5 例)と,術後10 日以上の安静期間を経て訓練を開始した安静群(5 例)に分けて比較検討を行った.その結果,最終観察時において,早期運動群は安静群に比して%TAM,PIP 関節の屈曲・伸展可動域,およびStrickland 評価においていずれも良好な成績を示した.手指化膿性PIP 関節炎に対する関節滑膜切除術後には,早期の自動運動療法導入が関節機能の回復に有効である可能性が示唆された.
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冨岡 立
2025 年42 巻3 号 p.
213-216
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
上腕骨骨幹部骨折症例において,受傷早期に超音波画像診断装置(US)を用いて橈骨神経を評価し,治療方針決定における有用性を検討した.対象は2009 年4 月~2024 年10 月に当院で手術した上腕骨骨幹部骨折36 例36 肢である.術前に橈骨神経麻痺を認めたのは4 例(11%)であった.このうち2 例ではUS 所見に異常を認めず,橈骨神経を展開せずに手術を行い,いずれも術後に麻痺は完全に回復した.残る2 例は1 例に神経嵌頓像,1 例に神経途絶像を認め,神経を展開すると,いずれも術中所見と一致していた.それぞれ神経嵌頓の解除,神経縫合を行い,いずれも機能回復が得られた.術前に麻痺がなかった32 例は,全例US にて異常を認めず,神経を展開することなく手術を行い,術後に新たな橈骨神経麻痺を生じた症例はなかった.上腕骨骨幹部骨折において,受傷早期にUS による橈骨神経の評価を行うことで,早期外科的介入が必要な橈骨神経損傷を的確に選別できる可能性が示唆された.
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萩原 祐介, 吉田 竜
2025 年42 巻3 号 p.
217-221
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
手根管症候群(CTS)とばね指は高頻度に合併し,双方の腱滑膜には病理組織学的な類似性が見られることが報告されている.ばね指治療ではPIP 関節の屈曲拘縮が問題となることが多い.本研究の目的は,CTS と中指ばね指の合併例において術中に中指PIP 関節他動伸展角度を段階的に計測し,両疾患間の機能的な関連性の有無と,拘縮改善に寄与する手術操作を明らかにすることである.同時手術を施行した18 例18 指を対象とし,CTS 手術では腱滑膜切除,ばね指手術では腱周囲の剥離も行い,それぞれの操作前後で他動伸展角度を測定した.術前平均-7.8°であったPIP 関節伸展角度は,CTS 手術後に12.3°,ばね指手術後に15.1°の改善幅を示し(いずれもp<.01),全例で0°以上の伸展を得た.これらの結果から,CTS とばね指は屈筋腱と腱滑膜を介して機能的に関連し,PIP 関節の拘縮を伴うCTS 手術では屈筋支帯切離に加え,虫様筋付着部から浅指屈筋筋腹までの滑膜切除と腱剥離が有効である可能性が示された.
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高橋 都香, 堺 慎, 柴田 定, 眞壁 光
2025 年42 巻3 号 p.
222-226
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
手根管症候群に対して術中に組織生検をし,病理学的検討を行った症例について検討した.47 例50 手(男性12 例,女性35 例,平均年齢73.1 歳)に対し,手術時に屈筋腱滑膜もしくは横手根靱帯の生検を行い,アミロイド沈着の有無を評価した.47 例中16 例(17 手),34.0%にアミロイド沈着を認めた.男性,両側例,高齢者で有意に沈着率が高かった.アミロイド陽性群のうち1 例は当院循環器内科,6 例は大学病院神経内科へ紹介となった.術中の組織生検は心アミロイドーシスの早期診断に役立つ可能性があり,他科との連携が重要である.
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竹内 久貴, 塚本 義博, 光澤 定己
2025 年42 巻3 号 p.
227-230
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
トランスサイレチン(TTR)型心アミロイドーシスは進行性かつ致死的だが,治療可能な疾患となり,早期診断の重要性が高まっている.本研究は,その早期診断を目的に,Donnelly らの基準を参考に患者選択的に滑膜生検を行い,TTR アミロイド陽性率を調査した.両側性手根管症候群(CTS)は両側ともBland 分類“Moderate”以上と定義し,2023 年7 月~2025 年2 月に手術を行ったCTS 患者16 例中,基準を満たし生検に同意した8 例を対象とした.TTR 陽性は2 例(25%)であった.本結果は,Donnelly らの報告(10.2%)より高値であったが,本邦の既報(平均37.8%)と比べるとやや低値であった.近年,ばね指も新たなリスク因子として注目されており,今後はこれらを含めた基準の構築が望まれる.
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村上 裕子, 土田 芳彦, 佐藤 和生
2025 年42 巻3 号 p.
231-234
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
Pink Pulseless Hand を伴う小児上腕骨顆上骨折に対して,血管の展開をするかどうかは議論が分かれる.今回,著者らが経験したPPH 6 例の治療および術後の経過について検討した.Gartland 3 型が5 例,Gartland 4 型が1 例で,神経麻痺は3 例に認めた.全例で前方の皮下出血を認めた.徒手整復で整復位が得られず前方を開けたものが3 例,ピンニング後に血管展開したものが2 例で,動脈のテザリングを2 例,スパスムを3 例に認めた.全例で術翌日には橈骨動脈の触知が可能となり,合併症は認めていない.血管を展開する手技は容易で短時間で行える方法であり,循環障害によって起こりうる重篤な合併症を確実に避けるために,徒手整復不能,神経麻痺,前方の皮下出血などが認められる症例に対して積極的に行うべきと考える.
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小林 一貴, 亀田 拓哉, 伏見 友希, 佐藤 俊介, 佐々木 信幸, 松本 嘉寛
2025 年42 巻3 号 p.
235-243
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
舟状骨偽関節により長母指屈筋(flexor pollicis longus:FPL)腱断裂を生じることが報告されているが,その頻度についての報告はない.本研究では,舟状骨偽関節におけるFPL 腱断裂の頻度および腱移行術による治療成績について検討した.2002 年1 月~2024 年10 月に当科で診察した舟状骨偽関節症例60 例61 手において,FPL 腱断裂は3 例3 手(4.9%)に認められた.手術時年齢は平均69.6 歳であり,腱再建として腱移行術を2 例,母指指節間関節固定術を1 例で施行した.舟状骨偽関節に対し,偽関節手術を1 例,遠位骨片切除を1 例で実施し,関節固定術の1 例では未治療とした.術後観察期間は平均11 か月であり,腱移行術を実施した2 例で再断裂を認めず,最終観察時の母指全関節自動可動域(total active motion:TAM)は%TAM が平均85.0%であった.舟状骨偽関節によるFPL 腱断裂は稀ではあるが,その原因として考慮する必要があり,腱再建においては腱移行術が有用であった.
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木下 理一郎, 浜田 佳孝, 堀井 恵美子, 外山 雄康, 澤田 允宏, 齋藤 貴徳
2025 年42 巻3 号 p.
244-248
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
保存療法無効であったMP 関節変形性関節症の9 例9 手(平均72.6 歳)に対し,Self Locking Finger Joint(SLFJ)を用いた表面置換型人工関節置換術(SRA)施行例を後ろ向きに検討した.術後は早期よりInterphalangeal Joint Active Motion 法で自動運動を開始した.MP 関節の可動域,疼痛,外観が改善し,患者満足度は高かった.インプラントの緩みや関節の亜脱臼は認められなかった.MP 関節変形性関節症の手術例は稀である.活動性も高く,関節の安定性,インプラント自体の安定性や支持性も重要である.MP 関節のSLFJ の短期成績は,関節リウマチに比べて変形性関節症で安定していた.若干手技が煩雑であるものの,SLFJ を用いたSRA はMP 関節変形性関節症の治療に有望な選択肢である.
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福原 宗, 森谷 浩治, 牧 裕, 幸田 久男, 黒田 拓馬, 坪川 直人
2025 年42 巻3 号 p.
249-252
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート(PLP)固定後に,舟状骨の亜脱臼が報告されている.本研究では,その原因とされている掌側舟状骨窩(VSF)骨片を有する橈骨遠位端骨折に対するPLP 固定の臨床成績を調査した.2012 年7 月~2023 年6 月に橈骨遠位端骨折に対して観血的整復内固定を施行した1227 例から,VSF 骨片を有し,関節可動域などを評価できたPLP 固定施行の26 例を対象とした.掌側月状骨窩(VLF)骨片の合併を26 例中23 例で認め,使用したPLP は近位設置型が5 例,遠位設置型が8 例,関節縁型が13 例であった.手関節および前腕の可動域は平均で背屈59°,掌屈55°,橈屈19°,尺屈36°,回外87°,回内73°,握力の対健側比は77%であった.術直後と最終診察時の平均矯正損失は尺骨変異が+0.7mm,掌側傾斜が+1.7°,橈骨遠位端尺側傾斜が+0.7°であり,術後に舟状骨の亜脱臼を認めた症例はなかった.VSF 骨片を有した橈骨遠位端骨折では,合併するVLF 骨片の固定を意図して80%の症例で関節縁型を含めた遠位設置型のPLP が使用されていた.このようなプレート選択であってもVSF 骨片の転位や舟状骨の亜脱臼は認めておらず,臨床成績も良好であった.そのため,VSF 骨片を有した橈骨遠位端骨折においても,合併するVLF 骨片に則した治療で問題は生じにくいと考える.
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大原 建, 中島 貴子, 照屋 裕紀
2025 年42 巻3 号 p.
253-255
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
高齢者橈骨遠位端骨折は日常的に遭遇する骨折であり,非手外科専門医や専攻医が対応することも多い.高エネルギー外傷では遠位骨幹部に骨折が及ぶこともあるとされるが,低エネルギー外傷で受傷した場合にも,時折,遠位骨幹部に転位のない縦割れが及ぶ症例を経験する.その場合,縦割れを避け,ロングプレートによる内固定が必要となり注意を要する.当院で手術加療を行なった,日常生活動作で受傷した高齢者橈骨遠位端骨折67 例を後ろ向きに調査した.その結果,遠位骨幹部に縦割れが及ぶ症例は4 例6.0%であった.縦割れ部位はColles 骨折で掌側,Smith 骨折で背側にあり,転位方向の対側に生じる可能性が示唆された.縦割れがある症例は,ない症例と比較して高齢で骨密度が低い傾向があった.遠位骨幹部に縦割れが及ぶ症例は珍しくなく,見逃しに注意を要し,ロングプレートの準備が重要である.
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松本 聖志朗, 上村 卓也
2025 年42 巻3 号 p.
256-261
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
これまで橈骨遠位端骨折の治療成績の多くは医療者側からの患者評価(Clinician-reported outcome)によって検証されており,患者自身が生活動作や満足度を評価する患者立脚型評価(Patient-reported outcome)によって検証された報告は少ない.本研究では,橈骨遠位端骨折の掌側ロッキングプレート固定術後に単純X 線画像上で矯正損失を生じた20 例(AO 分類C2:8 例,C3:12 例)を対象に,矯正損失が患者のADL にどのように影響するかを患者立脚型評価の質問細項目別に検証した.矯正損失を生じた20 例は,術後平均8.3 か月でHand20 が平均14.4 点,Quick DASH が平均10.5 点であり,全ての細項目が平均2.0 点以下の低値であった.橈骨遠位端骨折の手術治療では,術後矯正損失が生じても患者立脚型機能評価はそれほど悪化せず,患者満足度は比較的高かった.特に握力を要する日常動作や力仕事・重労働の細項目が悪化傾向であった.
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木下 理一郎, 浜田 佳孝, 堀井 恵美子, 外山 雄康, 澤田 允宏, 齋藤 貴徳
2025 年42 巻3 号 p.
262-266
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
重度変形を伴う関節リウマチの伸筋腱断裂において,一期的に伸筋腱再建とMP 関節人工関節置換術を施行した9 例9 手を対象に後ろ向きに検討した.全例でMP 関節伸展方向への機能的可動域の改善,外観の改善が得られた.関節可動域は伸筋腱断裂本数に比例して不良であった.手術侵襲が大きくなるという欠点はあるが,術中に再建のバランス決定が容易であることや,治療期間短縮が可能という利点があり,特に環小指までの伸筋腱断裂例において有用性が示唆された.
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中山 圭太, 三浦 俊樹
2025 年42 巻3 号 p.
267-270
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
びらん性関節症(erosive osteoarthritis:EOA)は,急性発症し,強い炎症症状を伴う手指変形性関節症の亜型とされる.本研究では,EOA と診断され,3 年以上経過観察が可能であった22 人(35 指)を対象に,症状およびX 線所見の経時的変化を後向きに検討した.DIP 関節では全例において保存治療で疼痛が消失し,X 線所見上91%がリモデリング,9%が強直した.PIP 関節では21%で手術を要したが,保存治療可能であった患者のうち79%が疼痛軽減,X 線所見上58%がリモデリング,16%が強直した.疼痛軽減はリモデリングに一致または先行していた.EOA の多くは保存治療により症状の改善とX 線上のリモデリングが期待できる.
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村松 慎也, 大村 威夫, 杉浦 香織, 松山 幸弘
2025 年42 巻3 号 p.
271-274
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
本邦では肘部管症候群(CuTS)の最多原因として変形性肘関節症(肘OA)が知られている.著者らは肘OA を部位別に評価し,CuTS の発症,重症度,術後予後との関連性を検討した.肘部管症候群と診断し,手術加療を行った症例のうち,術後1 年まで経過観察可能であった101 例を対象とした.肘内側,外側,尺骨神経溝についてKellgren-Lawrence 分類(KL 分類)を用いた肘OA の重症度,McGowan 分類を用いたCuTS の重症度で層別化し,これらの関連性を検討した.McGowan 分類Ⅱ,Ⅲ期はⅠ期に対して,いずれの部位でも有意にOA が重度であった.CuTS の進行に伴い,carrying angle は内反傾向にあったが,有意差はなかった.また,内側OA の重症化とともにcarrying angle は有意に減少した.本結果より肘OA とCuTS の発症,重症化との関連が示され,外反による尺骨神経の牽引より,肘OA による尺骨神経溝の骨棘や癒着等による影響が示唆された.
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稲葉 尚人, 関 敦仁, 林 健太郎, 阿南 揚子, 高木 岳彦, 高山 真一郎
2025 年42 巻3 号 p.
275-278
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
少関節炎型若年性特発性関節炎(o-JIA)では,慢性的な関節炎によって単純X 線で骨化核の早期成熟を生ずるため,手関節発症例では手根骨発現の左右差が特徴となる.本研究では,手関節発症のo-JIA7 例7 手を対象として,初診時の単純X 線像(手関節正面像)を調査した.出現している手根骨の骨化核の面積を計測し,左右差のある手根骨の個数を調べた.さらに骨年齢,carpal length を調べ,健側と比較した.結果,全例で手根骨骨化核の早期成熟が見られ,左右差のある手根骨は平均3.7(2~5)個であった.患側の骨年齢は健側より平均1.7 歳高く,carpal length は患側が平均-2.97SD,健側が平均-0.65SD と,患側で有意に低下していた(p<0.001).手根骨の骨化核の早期成熟は,若年性特発性関節炎(JIA)診断における重要な手がかりとなる可能性がある.
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服部 勇介, 川口 洋平, 遠藤 浩二郎, 加藤 健太, 岡本 秀貴
2025 年42 巻3 号 p.
279-283
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
腱滑膜巨細胞腫は手指に好発する良性の軟部腫瘍であるが,局所浸潤性が高く,再発することが多い.本研究は手指に発生した腱滑膜巨細胞腫の術前MRI 画像から再発リスク因子となる所見を後ろ向きに検討することを目的とした.2008 年4 月~2022 年10 月に当院で初回辺縁切除を行い,病理診断にて腱滑膜巨細胞腫と診断された54 例54 指を対象とした.再発例は5 例(9%)であった.MRI 画像は腫瘍最大径を含む水平断像を用いた.それぞれの画像で腫瘍の長径,指の断面積に対する腫瘍面積の占拠率(面積占拠率),骨全周に対する腫瘍の占拠角度(骨占拠率),屈筋腱または伸筋腱全周に対する腫瘍の占拠角度(腱占拠率)を計測し,非再発群と再発群で比較した.再発群は非再発群と比べ,すべての項目で高い値を示し,このうち腱占拠率で有意差を認めた(81.2 vs 55.4%,p<0.05).腫瘍の腱占拠率は,術前MRI において有効な再発リスクの指標となり得ると考える.
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國分 直樹
2025 年42 巻3 号 p.
284-289
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
開放骨折などの軟部組織損傷を伴い,高度の粉砕・転位を認め,外固定による整復位保持が困難な橈骨遠位端骨折に対し,創外固定を用いた二期的手術を行った11 例の治療成績を報告する.初回手術では創外固定を設置して可能な限り関節面を整復し,手指運動の妨げになる合併損傷は可能な限り修復および内固定を行った.術後は早期より手指可動域訓練を開始し,軟部組織の状態が改善した後に二期的に内固定術を行った.結果,全例で骨癒合が得られ,有意な矯正位の損失は認めなかった.臨床評価では,関節可動域は手関節背屈64°,掌屈53°,前腕回内82°,回外83°,握力対健側比は87%,DASH score は8.8 点と機能回復は良好であった.また,感染や手指拘縮などの合併症も認めなかった.本法は,適応を慎重に選択し,手術侵襲を最小限に抑えることで,高度の粉砕・転位を伴う橈骨遠位端骨折に対する有用な治療選択肢の一つとなると考える.
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内堀 和輝, 吉本 裕哉, 高見 英臣, 丹羽 智史, 藤原 祐樹, 太田 英之
2025 年42 巻3 号 p.
290-293
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折のうち舟状骨骨折の合併例は4.7~5.4%程度と稀であり,本邦でのまとまった報告は少ない.今回,我々はその疫学的特徴,および手術治療成績を調査した.2008 年11 月1 日~2023 年10 月31 日に当院で橈骨遠位端骨折と舟状骨骨折の両方の病名登録がされた35 例を対象とし,患者背景および手術治療成績について調査した.患者背景としては,若年男性が多く,18 歳以上が23 例,18 歳未満が12 例であった.受傷機転として単純転倒は4 例のみであった.橈骨遠端骨折は18 歳以上の症例の95.7%(22 例)が関節内骨折であったのに対し,18 歳未満の症例では50%(6 例)が関節外骨折であった.舟状骨骨折は転位のない腰部骨折が大部分を占めていた.35 例中,舟状骨骨折に対して手術を行い,当院で3 か月以上経過観察ができた症例は22 例であった.骨癒合は全例で得られていた.患者背景については概ね既存の報告と同様であった.一方で,若年患者では橈骨遠位端関節外骨折の割合も多く,舟状骨骨折を見逃すリスクが大きく,注意が必要である.
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大屋 博充, 白川 哲也, 村上 裕子
2025 年42 巻3 号 p.
294-299
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
Central slip および関節面を含む停止部が外傷等により欠損した場合,腱および関節面の再建を要するが,確立された方法はまだない.本研究はcentral slip 停止部骨欠損を関節包付hemi hamate autograft で再建した症例の臨床成績を明らかにするものである.対象は33 歳および57 歳の男性2 例2 指で,いずれも示指であった.手術は,有鉤骨遠位関節面とCM 関節関節包を含む骨片を採取し,欠損部に合わせて形成・移植後,ミニスクリューにより固定し,central slip と関節包を縫合した.最終経過観察時のtotal active motion(以下TAM)は135°および218°,%TAM は51.9%および83.2%であった.PIP 関節痛やdonor site の疼痛はなかったが,関節症性変化を1 例で認めた.本術式は骨および腱の同時再建を可能とし,donor site の合併症も少なく,適応症例において有用な治療選択肢となり得る.
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三戸 一晃, 西脇 正夫, 堀内 行雄
2025 年42 巻3 号 p.
300-305
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
背尺側骨片を伴う橈骨遠位端骨折に対して中空スクリューを用いたWire fixation via cannulated screw(WVC 法)を考案し,その有用性を検討した.対象は半年以上経過観察可能であった5 例とした.本法はGlobal Form®(ネクスメッドインターナショナル社)を用い,中空スクリューを介して背尺側骨片を縫合糸で固定し,かつスクリューによる有効なsubchondral support にて矯正損失を最小限に抑える方法である.評価項目は各臨床所見に加え,術後6 か月目の転位程度である.術後半年目でのCT にて骨片の転位はみられなかった.最終経過観察時点におけるDASH の平均値は14.2,手関節可動域の平均値は回内87°,回外86°,伸展45°,屈曲49.6°,握力の平均値は健側比56.3%,矯正損失の平均値はvolar tilt(VT)-0.64°,radial inclination(RI)-0.54°,ulnar variance(UV)+1.82mm であった.WVC 法は背尺側骨片を伴う橈骨遠位端骨折の治療において有用な選択肢となりうると考える.
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上野 幸夫, 川崎 恵吉, 稲垣 克記, 越塩 涼介, 岡野 市郎, 工藤 理史
2025 年42 巻3 号 p.
306-310
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
128 手の橈骨遠位端骨折に合併する豆状三角骨(PT)関節の適合性を,Tajima 評価基準を参考に術前後のCT 矢状断で評価した.適合群と不適合群で,撮影時手関節角度と受傷時X 線パラメーター(ulnar variance:UV,palmar tilt:PT)および関節内骨折や尺骨骨折の有無について比較した.不適合群は術後CT で適合性の変化を調査した.PT 関節不適合は25 手(19.5%)でみられ,開大型9 手,非平行型7 手,重なり型9 手であった.2 群間比較で,撮影時手関節角度や関節内骨折および尺骨骨折の有無について有意差はなかった.X 線パラメーター(UV,PT)について,不適合群は適合群より有意にUV は大きくPT は小さかった.また,不適合群25 手中15 手(60.0%)は,術後の適合性が改善していた.PT 関節不適合群の特徴として,橈骨の短縮や背側転位が挙げられる.
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橋本 哲, 中島 武馬, 園畑 素樹
2025 年42 巻3 号 p.
311-314
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
大腿四頭筋の筋力低下は変形性膝関節症の発症リスクの一つであるが,母指手根中手関節症(CMOA)と母指球筋の筋力低下の関係についての報告はない.今回,特発性手根管症候群手術症例患者226 例268 手(CTS 群)を対象に,短母指外転筋(APB)の筋力低下とCMOA との関連について評価した.また,CTS 群と傾向スコアマッチングで年齢,性を調整した橈骨遠位端骨折患者群(Fx 群)の2 群間でCMOA の有無を比較した.CTS 群において,CMOA の重症度と電気生理学的重症度・短母指外転筋徒手筋力テストに有意な相関を認めた.CTS 群はFx 群と比してCMOA の割合が有意に多かった.よって,APB は母指CM 関節の安定化の役割を果たしており,APB の筋力低下により母指CM 関節の不安定化が生じ,CMOA の一因になる可能性が示唆された.
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千葉 恭平, 河野 正明, 永原 寛之
2025 年42 巻3 号 p.
315-320
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
認証あり
舟状骨窩と月状骨窩間に矢状方向の骨折線を有し,両窩骨片を有する橈骨遠位端骨折において,掌側ロッキングプレート固定後に橈骨舟状骨間に関節症性変化を生じた症例を経験した.舟状骨窩と月状骨窩間のvolar tilt(VT)の矯正損失量が異なることに起因する可能性があると考え,調査した.2018 年4 月~2024 年6 月に当院で診断したAO 分類C 型の橈骨遠位端骨折355 手のうち,舟状骨窩骨片と月状骨窩骨片を有し,掌側ロッキングプレート固定翌日と癒合後に単純CT 像を撮影していた26 例を対象とした.CT でのMPR 矢状断像で舟状骨窩と月状骨窩のVT(S-VT,L-VT)を計測し,術翌日と癒合後で両窩間の矯正損失量を統計学的に比較検討した.S-VT が平均-2.7±3.3°,L-VT が平均-1.0±2.7°で,S-VT の方が背側傾斜方向へ有意に矯正位を損失していた(P<0.05).舟状骨窩と月状骨窩のVT の矯正損失量には差異があることが明らかになった.さらなる検証を要するが,術後関節症性変化の一因である可能性がある.
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西川 惠一郎, 徳武 克浩, 岩月 克之, 山本 美知郎
2025 年42 巻3 号 p.
321-325
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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類骨骨腫は主に若年に発症する良性骨腫瘍で,上肢に発生することは比較的稀である.疼痛を主訴に受診し,発生場所は単純X 線だけでは判断できないことが多い.本研究の目的は,上肢の類骨骨腫で手術を行った症例を収集し,臨床経過および画像的特徴と治療成績を調査することである.上肢の類骨骨腫に対して手術を行い,病理診断できた11 例を対象とした.発症から手術まで平均19(2-42)か月を要した.全例に単純X 線,CT,MRI を行ったが,単純X 線だけで診断できた症例は4 例(36%)であった.上肢の類骨骨腫は他の疾患と症状が類似していること,解剖学的構造が複雑であることから診断が難しい.そのため,誤診や診断の遅れにつながっている.手術ではen bloc 切除術が行われるが,小さい骨の場合には搔爬術を選択せざるを得ないことがある.強い疼痛が継続する場合には上肢でも類骨骨腫を疑い,CT を考慮する必要がある.
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脇 智彦, 佐々木 亨, 黒岩 智之, 二村 昭元, 藤田 浩二
2025 年42 巻3 号 p.
326-329
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
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神経伝導検査(NCS)で重症と診断された手根管症候群(CTS)症例における術前要因と術後成績の関連を検討した.当院で手術を行ったCTS 症例322 例のうち,Bland 分類grade 4~6,かつ6 か月以上フォローできた176 例203 手を対象とした.術後に再評価を行い,grade が2 段階以上改善した症例を改善群(171 手),1 段階以下の症例を非改善群(32 手)とし,術前時点の年齢・性別・合併症・患者立脚型評価・筋力・NCS 結果(複合筋活動電位(CMAP)など)について2 群間の比較とロジスティック回帰分析を行った.年齢,性別,合併症などは2 群間に差を認めなかったが,術前NCS 項目に有意差を認めた.ロジスティック回帰分析では「女性」(オッズ比2.61)と「術前CMAP 波形が導出可能」(同6.76)が改善群に関連する独立した因子であった.重傷CTS 症例において,年齢や合併症は術後NCS の改善度に大きな影響を与えず,術前にCMAP が計測可能な症例では術後NCS の改善が期待できる.
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大石 崇人, 大村 威夫
2025 年42 巻3 号 p.
330-335
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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外固定で整復位を保持できない手指基節骨骨折43 指に対する,軟部組織との干渉を低減する工夫を行ったK-wire による内固定(LIFE-K 法:L 群)の成績について報告する.L 群15 指と通常のピンニング(C 群)28 指を比較した.平均年齢(歳):L 48.3/C 36.2,平均最終total active motion(°):L 207.4/C 229,平均PIP 伸展角度(°):L -5/C -7,平均%握力:L 75/C 84,合併損傷同指開放や不全切断(%):L 53.3/C 25.0 であった.統計学的にL 群で年齢が有意に高く,握力が有意に低かった.本法の利点はK-wire が安価で,骨頭軟骨や側副靱帯付着部などからも挿入および長期の留置が選択可能であり,緊急手術や5 指すべてに骨折があっても使用可能な点である.簡便に行える内固定法の一つとして習得しておくことは有用と思われた.
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深澤 真弓, 神田 浩里, 岡 雅博, 下江 隆司, 松山 雄樹, 山田 宏
2025 年42 巻3 号 p.
336-339
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールが,メノポハンドの疼痛を緩和させるという報告が散見されるが,未だその除痛機序は不明である.本研究では,ラット後根神経節の小型神経細胞にホールセル・パッチクランプを行ない,エクオールの疼痛抑制機序を調査した.Voltage clamp 法では,エクオール投与により,痛みを伝達する無髄C 線維を持つ小型神経細胞の内向きナトリウム電流が有意に抑制された.また,current clamp 法では,エクオール投与により,小型神経細胞の静止膜電位が有意に低下し,活動電位の発火閾値が有意に上昇した.また,外向きカリウム電流の部分的な抑制が見られたが,input resistance やrheobase には有意差がなかった.本研究から,エクオールは小型の感覚神経細胞に対して抑制性の作用を有することが示された.電位依存性ナトリウムチャネルへの直接的な作用に加え,GPR30 等のG タンパク共役型受容体等も関与して抑制作用を示している可能性がある.
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山木 良輔, 福本 恵三, 小平 聡, 小池 智之, 岡田 恭彰
2025 年42 巻3 号 p.
340-344
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
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骨性マレット指の評価に際し,末節骨形状を加味した正確な測定方法を調査し,術後成績に影響を与える因子の検討を行った.対象は38 例39 指(示/中/環/小指:6/8/11/14 指)で,平均年齢36.4 歳であった.X 線側面像にて,末節骨体部背側皮質を末節骨軸と定義し,末節骨軸と骨折面のなす角や遠位指節間関節の角度,骨折面の長さ(骨折長),背側骨片関節比率を計測した.骨折長と術後3 か月時の伸展角度に相関を認め,骨折長が短いほど伸展ラグが大きかった.骨性マレット指の治療に際して,従来の予後不良因子に加え,骨折長が有用な指標となる可能性がある.
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瀬川 武司, 髙田 秀夫, 橋本 二美男
2025 年42 巻3 号 p.
345-348
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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母指CM 関節症に対する装具は多くの既製品が販売されているが,水仕事ができないものやサイズが少なく適合性に難があるものが多かった.3D プリンターを使用して熱可塑性ポリウレタンエラストマー素材の軟性装具を作製した.胸髄損傷のため車椅子を使用する女性に発症した母指CM 関節症に対して使用したところ,良好な成績を得た.データ共有で多施設間でも再現性が高く,手作業で作製する場合と比較して厚みなどの加工が容易であり,熟練を要することなく作製することができるため,今後の発展に期待できる.
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佐藤 光太朗, 村上 賢也, 月村 悦子, 松浦 真典
2025 年42 巻3 号 p.
349-351
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
ジャーナル
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固有示指伸筋腱(EIP)は,長母指伸筋腱(EPL)断裂や母指対立再建術において腱移行に用いられるが,破格が存在すると術式の変更を要することがある.本研究では,実習用解剖体188肢を用い,EIP の破格の有無を調査した.正常なEIP は155 肢(82.4%)で,欠損例は5 肢(2.7%),太さ2mm 以下の腱は4 肢(2.1%)に認められた.そのほか,重複腱や中指への腱の分岐など様々な破格が存在した.EIP を用いた腱移行術においては,破格の存在が術中の対応を困難にする可能性があり,十分な術前評価および術中の対応が必要であると考えられた.
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岡田 恭彰, 福本 恵三, 小平 聡, 小池 智之, 桑本 博, 吉村 柚木子
2025 年42 巻3 号 p.
352-359
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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側屈変形を伴う変形性指節関節症に対する矯正骨切り術の治療経験を報告する.対象は5 例5 指で,中指PIP 関節尺屈3 例,母指IP 関節橈屈1 例,示指DIP 関節尺屈1 例であった.骨切りにより側屈変形を矯正し,headless compression screw で固定後,弛緩した側副靭帯を縫縮することで側屈変形,側方不安定性の改善が得られた.側方不安定性の改善により運動時 VAS,pinch力,Hand20,関節面の適合性の改善を認めた.本術式は摘み動作が必要な橈側指に有用と考えられるが,長期的な経過観察が必要である.
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大野 義幸, 山本 恭介
2025 年42 巻3 号 p.
360-364
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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母指CM 関節固定術において外反母趾用に開発されたリングピン®(帝人ナカシマ)を用いたtension band wiring(以下TBW)(R 群)7 手と従来のTBW(T 群)7 手とを比較検討した.両群とも背側アプローチで,骨接合面の処理はCup and cone 方式で行い,大菱形骨から第1 中手骨に向けてbi-cortical にリングピン,またはKirschner-wire を刺入し,0.7mm 軟鋼線で締結してTBW 固定した.術後合併症では浅橈骨神経障害がR 群の1 手(抜釘後に発生)にあった.R 群で1 手,T 群で2 手の計3 手が偽関節となった.T 群1 手の偽関節で再手術(腸骨移植併用)を要したが,他の2 手は疼痛少なく経過観察中である.最終的に両群全手で疼痛改善した.骨癒合率,平均骨癒合期間はR 群で86%,2.5 か月,T 群で71%,2.8 か月であった.最終調査時のNumerical rating scale,ピンチ力,握力,DASH score で両群間に有意差はなかった.Back out はR 群ではなく,T 群では高頻度に生じ,抜釘率はR 群で43%,T 群で100%であった.リングピンを用いたTBW は推奨できる.
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早川 光, 花香 恵, 寺本 篤史, 射場 浩介
2025 年42 巻3 号 p.
365-367
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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当院は北海道の日高支庁にあり,周辺地域は競走馬の全国生産8 割を占める国内最大の産地である.一方,本邦では海外と比較して馬関連外傷の報告は少ない.今回,馬関連外傷における上肢外傷について調査した.2019 年~2023 年に当科を受診した上肢および上肢帯の外傷患者は1047 例であり,その中で競走馬に関連した外傷は123 例であった.傷病名は骨折が95 例であり,指節骨骨折,中手骨骨折が多い傾向にあった.骨折以外の外傷は28 例であり,肩関節脱臼が多い傾向にあった.受傷機転は落馬,手綱による牽引,蹴りが多かった.治療方法は保存治療が65 例,手術治療が58 例であった.馬関連外傷の特徴的な受傷機転として手綱による牽引が挙げられ,今後は手部や上肢の外傷予防の観点から装具についての検討が必要であると考えられた.また,馬関連外傷患者は,受傷機転にかかわらず強い外力により発生した可能性に留意し,診察する必要性がある.
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伊原 公一郎, 栗山 龍太郎, 坪根 徹, 富永 康弘
2025 年42 巻3 号 p.
368-370
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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手の軟部腫瘍は日常よく遭遇し,その解剖学的な特徴から小さなものでも切除の対象になることが多いとされる.2011 年1 月~2024 年12 月の14 年間に当院で手術した手関節以遠発生の軟部腫瘍について調査した.ガングリオンなどの腫瘍類似疾患も含めたが,手指DIP 関節の粘液嚢腫,手掌線維腫症は除外して検討した.症例は150 例で,男性71 例,女性79 例,年齢は3~85 歳であった.発生部位は手関節34 例,手掌25 例,手背8 例,手指81 例であった.腫瘍の種類はガングリオン33 例,腱鞘巨細胞腫24 例,類上皮嚢腫14 例,グロムス腫瘍12 例,脂肪腫11 例,血管腫10 例,神経鞘腫7 例などであり,悪性は類上皮肉腫1 例で0.7%であった.何らかの疼痛を有していたものは62.3%で,術前診断と病理診断が一致したのは68.7%であった.腫瘍の種類,有痛性の割合,術前診断の的中率,悪性腫瘍が稀なことは過去の報告に類似しており,悪性の可能性の否定できない手指軟部腫瘍には切除生検が勧められる.
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松岡 将之
2025 年42 巻3 号 p.
371-375
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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橈骨遠位端骨折において,掌側月状骨窩(以下VLF)骨片の整復と固定性は治療成績に大きな影響があり,VLF 骨片が小さい月状骨窩骨片最小長軸長(以下MLLF)が8mm 未満の症例に対しては通常の掌側ロッキングプレートでは十分な固定が得られず,成績不良となる可能性が高い.今回,そのような症例に対して,Acu-Loc2 プレートのスーチャーホールに掌側靭帯を縫合して,VLF 骨片を安定化させた方法で行った8 例8 手について治療成績を検討した.全例で術後経過中に骨折部が転位の増悪を示すことなく骨癒合が得られ,手関節の機能に対しても良好な成績であった.MLLF 8mm 未満の小さいVLF 骨片に対する治療方法には,リムプレートやspring wire fixation 法などの様々な方法が提唱されているが,Acu-Loc2 プレートに存在するスーチャーホールを使用して掌側靭帯に縫合することでも,VLF 骨片に対して十分な固定性が得られる可能性がある.
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