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仲 拓磨, 坂野 裕昭, 中村 玲菜, 芝崎 泰弘, 三品 茉琳, 稲葉 裕
2026 年42 巻5 号 p.
609-614
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
母指CM 関節症では第1 中手骨屈曲とMP 関節過伸展によるZ 変形をきたすことがある.Z 変形を第1 中手骨が屈曲した状態でMP 関節が過伸展したものと定義し,Z 変形に影響する因子を調査した.Z 変形を伴わないMP 過伸展変形は,MP 過伸展変形のないものと同様の患者背景で,画像上のパラメーターにも有意差を認めなかった.Z 変形のあるものはZ 変形のないものと比較して高齢で,stage が進行しており,第1 中手骨のvolar tilt,背側脱臼量が有意に大きかった.Z 変形のあるものでは,Z 変形の重症度とvolar tilt に有意な正の相関を認めた.母指CM 関節症に付随するZ 変形に対しては,volar tilt を矯正するアプローチが有効な可能性がある.
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前原 遼, 古月 拓己, 上羽 宏明
2026 年42 巻5 号 p.
615-618
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
手根管開放術(CTR)時にアミロイド沈着を認めたものの心アミロイドーシス(CA)診断に至らなかった症例の中長期的なCA 発症率とその臨床像を報告する.2017 年8 月~2020 年7 月にCTR を施行した74 例中,病理組織検査でアミロイド陽性を認め,CTR 時にCA 診断または既知のCA,遺伝性ATTR 症例を除外し,専門科へ紹介し得た23 例を対象とした.専門科での経過観察を行い,経過観察継続困難であった症例に対しては電話問診を用いてCA や新規心疾患発症の有無を調査した.平均3.0 年の観察期間で23 例中2 例が新規にCA を発症し,うち1 例に治療介入がなされていた.CTR 時アミロイド陽性例は心病変がなくても専門科による経過観察を行うことにより,早期発見・治療介入が可能であることが示唆された.
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吉村 佳晃, 大浦 圭一郎, 岡田 誠司
2026 年42 巻5 号 p.
619-622
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
上腕三頭筋腱皮下断裂の症例3 例を後ろ向きに検討した.全例に手術を行い,上腕三頭筋腱にかけた縫合糸を尺骨近位部にpull out して縫着したものが1 例,suture bridge 法による解剖学的修復を行ったものが1 例,縫合糸アンカーを上腕三頭筋腱にかけ,尺骨近位部にpull out してbridging して補強したものが1 例だった.Pull out のみで修復を行った1 例では術後に骨片の転位を認めたが,最終観察時は全例で疼痛や動作制限を残さず経過良好だった.過去に報告された修復法のうち,suture bridge 法は解剖学的修復が可能で,固定強度も優れているとされている.一方で,アンカーを使用する際に骨折を生じたり,関節内に穿破するといったトラブルが危惧される.今回,著者らが行った打ち込みアンカーを使用せずに縫合糸アンカーのみで修復する方法では,そのようなリスクがより小さいと考えられ,高齢者や骨脆弱性のある患者に対して有効であると考えている.
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荻原 陽, 川崎 恵吉, 明妻 裕孝, 酒井 健, 岡崎 裕一郎, 工藤 理史
2026 年42 巻5 号 p.
623-628
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
母指CM 関節症に対する関節形成術において,従来のMini TightRope™(Arthrex 社,以下TR)は金属ボタンによる皮膚刺激が問題となる.布製ボタンを用いた新しいインプラントMicroLink™(CONMED 社,以下ML)は皮膚刺激軽減が期待され,両者の臨床成績を比較した.対象は手術33 手(ML 群15 手,TR 群18 手)で,疼痛,可動域,握力,ピンチ力,DASH スコア,画像評価などを調査した.成績に有意差はなかったが,TR 群で皮膚刺激3 例,ML 群で大菱形骨腔間距離の消失1 例を認めた.ML は有望な選択肢となりうる.
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加藤 友規, 西塚 隆伸, 中尾 悦宏
2026 年42 巻5 号 p.
629-631
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
不安定な中手骨骨幹部骨折に対する手術症例を調査した.対象は母指を除いた中手骨骨幹部骨折に対し,2020 年7 月~2024 年7 月に当院で観血的手術を行った37 例42 骨折とした.プレート固定15 骨折,スクリュー固定16 骨折,鋼線固定11 骨折であった.骨癒合までの期間は平均13.5(5-32)週であり,全例で骨癒合は得られたが,37 例中32%にあたる12 例で遷延治癒を認めた.アスリート症例である2 例ではプレートの折損も認めた.第2 中手骨の4 骨折と横骨折の4 骨折では,年齢や手術方法にかかわらず全例で遷延治癒となっていた.遷延治癒となる原因として,第2 中手骨骨折であること,横骨折であることなどが挙げられる.初期固定性が高いと考えられるプレート固定での遷延癒合例もみられたが,アスリートや肉体労働者の割合が高かった.骨折部位,骨折型,患者背景などを十分に考慮したうえで,慎重に手術方法および後療法を選択する必要があると考える.
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有澤 信亮, 細川 高史, 田鹿 毅, 筑田 博隆
2026 年42 巻5 号 p.
632-635
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折の治療後の臨床成績評価に医療者側評価と患者立脚型評価があるが,患者満足度との関連は必ずしも明らかではない.橈骨遠位端骨折の治療後3 か月の患者満足度に関連する因子と,受傷前上肢機能と治療後満足度との関連を検討した.橈骨遠位端骨折を受傷し,3 か月以上の経過観察と評価が可能であった保存治療15 例,手術治療19 例の計34 名(平均年齢65.8 歳,男性12 名,女性22 名)を対象として後ろ向きに調査した.受傷前のQuickDASH,Patient-Rated Wrist Evaluation スコア(PRWE),治療後3 か月のnumerical rating scale(NRS)評価による疼痛程度,自動関節可動域,QuickDASH,PRWE,5 段階評価による患者満足度を調査した.患者満足度は,治療後3 か月のNRS 評価による疼痛程度,QuickDASH,PRWE と有意な相関があった.受傷前上肢機能とは相関がなかった.患者満足度は疼痛軽減と機能改善に関連するが,受傷前の上肢機能とは関連しない可能性があり,受傷前の上肢機能を的確に把握し,患者個々の背景を考慮した治療目標設定が満足度向上に重要と考えられる.
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吉川 恵, 松浦 佑介, 山崎 貴弘
原稿種別: 症例報告
2026 年42 巻5 号 p.
636-641
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
上位型腕神経叢損傷の2 例に対し,副神経を肩甲上神経へ,上腕三頭筋外側頭枝を腋窩神経へ,部分尺骨神経を筋皮神経上腕二頭筋枝へ移行するTriple Nerve Transfer を施行した.症例1 は44 歳男性で,プレス機に挟まれ受傷した.MRI でC5,C6 の節後損傷を認めた.3 か月間の入院リハビリテーションに加え,バイオフィードバックを用いた自主練習を行った.術後6 か月で肩外転・外旋,肘屈曲とも良好な回復を得た.症例2 は20 歳男性で,バイク事故で受傷した.MRI でC5,C6 の節前損傷を認めた.入院リハビリテーションは2 週間のみで,バイオフィードバックを併用しなかった.術後6 か月時点で可動域制限があり回復が遷延したが,術後1 年6 か月で可動域が回復した.バイオフィードバックを用いた積極的なリハビリテーションの重要性が示唆された.
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菅原 留奈, 小林 康一, 亀倉 暁, 増山 直子, 深澤 克康, 髙宮 章裕
原稿種別: 症例報告
2026 年42 巻5 号 p.
642-646
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
当院にて入院加療が困難な切断指2 例に対し,外来手術としての再接着を行なった.2 例とも中高年男性で,1 例に高血圧症の既往があった.断端形成を行なった指尖部切断の合併を除き,いずれも単指の不全切断(zone Ⅲ)であった.1 例目は動脈および静脈をそれぞれ吻合し,2 例目は動脈吻合のみ行なった.術中,動脈吻合後にヘパリン2000 単位を急速静注し,術後はバイアスピリン100mg を7 日間内服継続とした.術後安静度は自宅内での日常生活程度の安静を指示し,それぞれ術後5 日目および8 日目で生着を確認し,いずれも部分壊死や萎縮を生じなかった.外来手術での再接着は,術後合併症・阻血への即時の対応が困難であるという欠点はあるものの,瀉血を要さない不全切断において,入院加療が困難かつ術後管理に対する患者理解が得られる場合には,断端形成に代わる一つの選択肢となりうることが示唆された.
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峯 博子, 井上 美帆, 鶴田 敏幸
2026 年42 巻5 号 p.
647-650
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
今回,著者らは鏡視下手根管開放術(ECTR)術後に続発する指腱鞘炎のアミロイド沈着率とアミロイド沈着の有無による手根管症候群(CTS)の重症度の比較を行った.対象は55 例で,アミロイド沈着は25 例(45.5%)に認められた.両群間で年齢,性差,運動神経遠位潜時,第2 虫様筋・短母指外転筋筋力,中指の知覚,ECTR から指腱鞘炎までの期間,両側性の有無,指腱鞘炎の罹患指数,腰部脊柱管狭窄症既往,肩腱板断裂既往を比較すると,性差のみに有意差を認め,沈着群は男性18 例(72.0%)・女性7 例(28.0%),非沈着群は男性10 例(33.3%)・女性20 例(66.7%)であった.その他の項目では有意差を認めなかった.アミロイド沈着はCTS の重症度に影響を及ぼしていないと考えられた.CTS の手術既往がある男性の指腱鞘炎はearly red flag sign と考えられる.
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山田 陽太郎, 夏目 唯弘
2026 年42 巻5 号 p.
651-654
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
手根管症候群(CTS)の正中神経腫大に関連する因子と神経腫大が術後に及ぼす影響を調査した.CTS 患者166 例202 手を対象とし,超音波検査で測定した正中神経断面積(CSA)による診断のカットオフ値(12mm2)で2 群に分け,患者の臨床像および術後成績を比較した.CSA<12mm2 のA 群が51 手,CSA≧12mm2 のB 群が151 手であった.年齢,性別,BMI,腹囲,糖尿病の罹患率については両群で有意差を認めず,罹病期間はA 群がB 群と比較して有意に短かった.電気生理学的重症度はB 群がA 群と比較して有意に高く,術前の握力,ピンチ力,手根管症候群質問表スコアは両群で有意差を認めず,術後評価では握力の変化率のみA 群がB 群と比較して有意に高い結果であった.CTS の神経腫大には罹病期間が関与しており,腫大の程度が大きい症例でも術後の自覚症状や電気生理学的所見は同等に改善するが,握力回復が劣る可能性が示唆された.
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山下 陽輔, 重冨 充則, 上原 和也, 清水 雅大, 吉田 紘二
2026 年42 巻5 号 p.
655-658
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
非結核性抗酸菌による腱滑膜炎と診断した症例の菌種,培養同定率,治療方法,再発の有無を検討し,文献的考察を加えて報告する.対象は非結核性抗酸菌症と診断し,手術加療を行い,術後最低9 か月以上経過観察できた12 例である.抗酸菌培養検査は12 例中5 例で菌が同定された.術後はrifampicin(RFP),ethambutol(EB),clarithromycin(CAM)を中心に多剤併用の化学療法を最低6 か月間行った.本研究の経過観察期間においては12 例中全例で寛解し,再発を認めなかった.臨床的に非結核性抗酸菌症を強く疑う場合には,早期に病巣掻爬,培養検査・病理診断を行い,一般細菌培養が陰性かつ病理検査でびまん性の非乾酪性肉芽腫を認めれば,多剤併用化学療法を最低でも6 か月以上行うことが望ましいと考える.
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玉木 里於, 前田 和茂, 今谷 紘太郎, 沖田 駿治, 楢﨑 慎二, 今谷 潤也
2026 年42 巻5 号 p.
659-664
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折(以下DRF)患者は二次骨折の可能性が高く,本骨折後の骨折リスク評価および予防治療介入が重要である.骨折リスク評価としてはDual-energy X-ray Absorptiometry(DXA)法による骨密度評価が標準基準とされているが,測定可能な施設が限られている.握力は利便性が高く,近年ではActivities of Daily Living(ADL)や死亡率との関連も報告されている.今回,50 歳以上の女性DRF 患者148 例を対象とし,健側握力と骨強度,下肢筋力および運動能力との関連性を調査するとともに,女性のサルコペニア基準である握力18kg を境として各パラメータを2 群間で比較し,健側握力がこれら二次骨折リスク因子の簡易評価ツールになりえるかを検討した.健側握力は全てのパラメータと相関を認めた.さらに,健側握力18kg 未満の症例では全てのパラメータが有意に低下していた.女性DRF 患者において,健側握力は二次骨折リスク因子の簡易的評価ツールとして利用可能と考える.
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大浦 圭一郎, 吉村 佳晃, 岡田 誠司
2026 年42 巻5 号 p.
665-668
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
2019 年から2023 年に手根管開放術を受けた69 例82 手を対象とした.術前後で指尖つまみ力,横つまみ力,指尖つまみ力を横つまみ力で除した値(以下,つまみ力比)はそれぞれ,術前2.5±1.5kg,術後2.9±1.4kg,術前4.0±1.8kg,術後4.2±1.7kg,術前0.60±0.29,術後0.69±0.25 であり,指尖つまみ力とつまみ力比は有意に改善していた.DASH スコアは術前31±22,術後20±19 と有意に改善した.DASH スコア変化量を目的変数とした多変量解析では,低年齢,術前の指尖つまみ力が低いことがスコア改善の有意な因子であった.手をつく動作を控える程度以上のpillar pain が50%の症例に生じたが,術後1 年では2.4%まで減少した.ただし,手をついた際に痛みを感じる程度のpillar pain は術後1 年でも18.3%で残存しており,pillar pain が完全に消失しない症例も少なからずあることが示された.
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酒井 健, 川崎 恵吉, 富田 一誠, 池田 純, 西中 直也, 工藤 理史
2026 年42 巻5 号 p.
669-672
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
舟状骨近位部骨折・偽関節は骨癒合能が低く,難治性骨折である.関節鏡下手術は骨折部・偽関節部の状況を把握でき,症例によっては骨移植の追加や整復位の確認も可能であり,低侵襲に施行可能なため,利点が大きい.今回,舟状骨近位部骨折・偽関節に対して施行した鏡視下手術の治療成績を報告する.対象は骨折線が舟状骨突起より近位に及ぶ近位型症例20 例で,転位や嚢胞形成を認める新鮮骨折が3 例,偽関節例が17 例であった.偽関節例のうち,5 例は術前MRI にて近位骨片が低信号であった.骨癒合は全例で得られ,最終可動域,Mayo Wrist Score,DASH Score も良好であった.近位部であってもポータル位置を工夫し,転位例や,やや骨欠損を認める症例には骨折部を確認することで適切に対応できた.
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中山 祐作, 森谷 浩治, 坪川 直人, 幸田 久男, 黒田 拓馬, 牧 裕
2026 年42 巻5 号 p.
673-677
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
三次元に再構成した健常肢のコンピュータ断層撮影(3D-CT)画像を用いてwatershed line の形態を調査した.2023 年2 月~2024 年8 月に50 歳以上の女性96 例,平均年齢70(51-94)歳,右53 例,左43 例を対象とした.3D-CT 冠状面像でwatershed line の形状,橈骨遠位部の最大横幅に対する最遠位突出点の尺側端からの距離の比率(最突出点位置),尺側成分と橈側成分それぞれの接線同士のなす角度(接線角)を調査した.形状は尺側と橈側両方に遠位凸の頂点を有するB 型(77 例[80.2%]),遠位凸の山なりなD 型(17 例[17.7%]),尺側のみ遠位凸で橈側は平坦なP 型(2 例[2.1%])の3 つに分類された.最突出点位置は中央値36.1%で,橈骨最大横幅の尺側50%以内に最遠位突出点を有するものは89.6%(86 例),接線角の中央値は145.5°であった.Watershed line の形状は多くがB 型であるが,最突出点位置や接線角の個人差が大きく一様の形態ではなかった.
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松浦 真典, 佐藤 光太朗, 村上 賢也, 古町 克郎
2026 年42 巻5 号 p.
678-682
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
当院ではhumpback deformity の少ない舟状骨偽関節に対して,低侵襲な円柱状腸骨移植術を施行しており,その治療成績を報告する.対象は37 手で,平均年齢28.7 歳,平均観察期間9.7 か月であった.手術手技は,手関節掌側からアプローチして,骨トレフィンを用いて円柱状に偽関節部を切除した.腸骨翼の内板から外板に向けて偽関節部より0.5~1mm 大きい骨トレフィンを用いて全層で採骨した.偽関節部に円柱状腸骨を挿入後にheadless screw で内固定した.癒合率は89.1%(33/37 手),平均癒合期間は5.0 か月,平均手術時間は82 分であった.DISI やhumpback deformity の改善には有意差を認めなかった.本術式は掻爬・採骨が容易で,短時間で施行可能であるが,変形矯正効果は限定的である.Humpback deformity の軽度な偽関節例に対して,本法は有効な低侵襲手技と考えられる.
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仲 拓磨, 坂野 裕昭, 中村 玲菜, 芝崎 泰弘, 三品 茉琳, 稲葉 裕
2026 年42 巻5 号 p.
683-686
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定術後の短縮に関わる要因を調査した.橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行い,以下の条件を満たした33 例(平均年齢72.3 歳)を対象とした.条件は1)骨密度測定あり,2)術後2 週以内のCT 撮影あり,3)術後6 か月以上観察,4)尺骨遠位部骨折(茎状突起骨折を除く)の合併なし,とした.術後から術後6 か月でのUlnar variance の変化量(ΔUV)と,対象患者の背景,骨折型(AO 分類),X 線パラメーター,骨密度(YAM),CT での遠位尺側のスクリューと関節面の距離(JSD),掌側皮質の連続性との関連を調査した.JSD は関節面の穿破のあった2 例を除き,平均0.9mm であった.ΔUV と年齢,骨折型,骨密度,掌側皮質の連続性には相関を認めなかったが,ΔUV とJSD に相関を認めた.掌側ロッキングプレート固定術後の短縮を防ぐには,軟骨下骨直下にスクリューを挿入することが重要である.
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新美 雄大, 根本 充, 熊澤 憲一, 伊藤 里沙子, 吉沢 明成
原稿種別: 症例報告
2026 年42 巻5 号 p.
687-692
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
壊死性筋膜炎は,浅筋膜を中心に皮膚・皮下組織に壊死を引き起こす細菌感染症である.発症後急激に進行し,致死率が約30%と高く,四肢に発生した壊死性筋膜炎では感染を制御し救命するために大切断が行われることも少なくない.開放創を伴わない軽微な外傷を契機に発症した上肢壊死性筋膜炎を3 例経験し,いずれも溶連菌が起因菌であったにもかかわらず,それぞれ異なる臨床経過を辿ったので報告する.従来,壊死性筋膜炎は稀な疾患とされていたが,近年は劇症型溶血性レンサ球菌感染症罹患数の増加に伴い,多様な病態を伴って死に至る症例が増えている可能性がある.壊死性筋膜炎を疑う症例では,早期からの病態把握に努め,大切断を考慮しながら診療に当たるべきである.
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佐柳 潤一, 鈴木 浩司, 中川 玲子, 堀木 充
2026 年42 巻5 号 p.
693-698
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
当院で手術加療を行った手根骨病変に伴う長母指屈筋腱(以下FPL)皮下断裂に関し,後方視的に調査したので報告する.2004 年以降に治療を行い,術後3 か月以上経過観察が可能であった5(男2,女3)例を対象とした.手根骨病変は舟状骨偽関節1 例,Kienboeck 病2 例,関節リウマチ2 例で,手術時年齢は平均62.2 歳であった.FPL 皮下断裂を来した時点で,関節リウマチ2 例の罹病期間は平均25.5 年であった.舟状骨偽関節1 例とKienböck 病2 例の罹病期間は不明であった.舟状骨偽関節1 例で長掌筋腱を用いた腱移植と舟状骨部分切除+関節包修復を行った.Kienboeck 病2 例では環指浅指屈筋腱を用いた腱移行と月状骨部分切除+関節包修復を行った.関節リウマチ2 例では長掌筋腱を用いた腱移植を行い,1 例では舟状骨部分切除+関節包修復を追加した.全例で手根骨病変に対する手術加療は行わなかった.治療成績は最終観察時%Total Active Motion でexcellent 3 例,good 1 例,fair 1 例であり,全例で合併症を認めなかった.
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長沼 靖, 佐竹 寛史, 根本 信太郎, 仁藤 敏哉, 土屋 匡央, 髙木 理彰
2026 年42 巻5 号 p.
699-701
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行った65 例65 手を対象に,単純X 線正面像およびCT 水平断像の遠位橈尺関節形状と,プレート設置面と橈骨尺側切痕とのなす角を調査した.手術時年齢は平均65.9 歳,性別は男6 例,女59 例,罹患側は右36 例,左29 例,使用インプラントは単軸型の近位設置型31 例,遠位設置型33 例(リムプレート11 例を含む),多軸型の近位設置型1 例であった.遠位橈尺関節形状はX 線正面像で平行線,CT 水平断像でC 型が多かった.遠位橈尺関節内にスクリューが突出した1 例は,単軸型の遠位設置型プレートを使用し,遠位橈尺関節形状は,X 線正面像は遠位が尺側に向かい,CT 水平断像はski slope 型であった.プレート設置面と橈骨尺側切痕のなす角は平均80.9°であった.橈骨尺側切痕はCT 水平断像で背側が橈側に傾き,遠位橈尺関節形状によりその傾きは異なっていた.尺側骨片を固定するスクリュー長や刺入方向の参考になると考えられた.
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川野 健一, 田尻 康人, 星川 慎弥, 原 由紀則
2026 年42 巻5 号 p.
702-708
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
特発性前骨間神経麻痺の診療経過を調査し,その治療方針を検討した.1992 年~2024 年に当科を受診した150 例が対象である.男性76 例,女性74 例で,年齢は14~69(平均45.7)歳,患側は右側55 例,左側83 例,両側12 例,経過観察期間は0~96(平均21.7)か月であった.これらの症例について,初診時の臨床所見,治療経過,治療成績などを後ろ向きに調査し分析した.手術の積極的な動機となる神経束のくびれの存在を術前に知る有力な手がかりは見いだせなかった.保存療法例においても,発症後2 年で70%以上が筋力M3 に,50%以上がM4 に回復した.保存療法例において,発症後9 か月以後にM0 の症例の最終成績は比較的不良であった.6 か月以後にM0 の症例については,神経線維束間剝離術が保存療法よりも有効であった.現時点での当科の治療方針として,発症後9 か月まで経過をみて筋力回復のない症例に対しては,神経線維束間剥離術を検討することにしている.
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武重 宏樹, 洪 淑貴, 大塚 純子
2026 年42 巻5 号 p.
709-714
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
小児橈骨遠位骨幹端骨折におけるPeterson 分類Ⅰ型骨端線損傷は報告が少ないが,骨端線早期閉鎖を生じると,関節面の形態変化,続発性手根不安定症や変形性手関節症のリスクがある.本損傷の合併頻度および骨端線早期閉鎖の発生率とその臨床像について後方視的に検討した.103 例中14 例に本損傷を認めた.年齢,性別,受傷機転,治療法に有意差は認めなかった.初診時に10 例で骨端線損傷が見逃されていた.骨端線早期閉鎖は2 例に生じ,1 例は骨性架橋切除術を,1 例は経過観察を行った.本損傷は単純X 線像で見逃されやすく注意を要する.Peterson 分類Ⅰ型損傷は決して稀ではなく,成長障害を引き起こす可能性があるため,受傷時から本損傷の存在を念頭に置き,早期閉鎖が生じた際は年齢・性別・骨性架橋の位置等を考慮し,将来的な橈骨遠位関節面の変形を予測しながら治療方針を決定すべきである.
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松田 匡弘, 森 詩乃
2026 年42 巻5 号 p.
715-719
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
母指CM 関節症に対する第1 中手骨矯正骨切り術(以下AOO)後の痛みに対する破局的思考,および運動に対する恐怖感の変化について調査したので報告する.2020 年1 月~2023 年3 月にAOO を施行した63 例中,評価可能であった12 例15 指を対象とした.内訳は男性4 例,女性8 例で,年齢は平均62.5(48-71)歳であった.調査時期は術前,術後6 か月,術後1 年とした.破局的認知尺度(PCS),運動恐怖(TSK-11)を評価した.結果は術後の中手骨角,亜脱臼率,橈側外転,Visual Analogue Scale,Tip pinch,Hand20,Quick Dash,Nelson Hospital Score,TSK-11 で改善を認めたが,PCS は改善を認めなかった.術後PCS はHand20 と相関を認めた.身体所見やX 線所見だけでなく,補助的検査としてPCS 評価も有用と考えられた.
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中村 壮臣, 川野 健一, 原 由紀則, 星川 慎弥, 林 洸太, 田尻 康人
原稿種別: 症例報告
2026 年42 巻5 号 p.
720-724
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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鎖骨骨幹部偽関節に伴う胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome:TOS)は報告が少ない.過去20 年間に当院を受診した鎖骨骨幹部偽関節に起因するTOS の3 例について,その治療経験を報告する.いずれも他院から紹介された症例であり,患者は51 歳男性,55 歳男性,56 歳女性であった.過剰に増殖した仮骨や不安定な骨折部が,腕神経叢や鎖骨下動静脈を圧迫し,症状を呈していた.いずれの症例においても,手術により肋骨切除なしの仮骨除去および内固定を行うことで,異常感覚や筋力低下などの症状は比較的速やかに改善し,最終診察時には健側と同等となった.骨折部位と可動性の有無により,若干の異なる症状を呈していた.骨折の診断確定までに時間を要していた点や過去の偽関節の既往があった点は興味深い.鎖骨骨幹部骨折を保存的に加療する場合には,TOS 発症リスクについての十分な理解と慎重な経過観察が求められる.
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西脇 正夫, 松尾 知樹, 田崎 憲一, 三戸 一晃
2026 年42 巻5 号 p.
725-730
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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背側転位型橈骨遠位端骨折変形治癒に対して,Stellar 2 またはP を用いてcondylar stabilizing 法による楔状開大式矯正骨切り術を行った18 例の治療成績を調査した.正面像で関節面とプレート遠位端,側面像で関節面と遠位スクリューがなす角度が適切となるよう,遠位スクリュー孔を作製後に骨切りを行い,遠位スクリュー挿入後にプレート中枢部分を掌側皮質に密着させることにより整復した.骨切り部には,楔形の人工骨ブロックを16 例,仮骨を2 例で挿入した.術直後の単純X 線パラメータは術前より大きく改善し,最終調査時にはほとんど矯正損失なく全例癒合し,手関節可動域健側比は全方向平均89%以上,握力健側比は平均83%であった.抜釘時に長母指伸筋腱断裂に対する腱移行,尺骨突き上げ症候群に対するWafer 法がそれぞれ1 例で行われた.背側転位型変形治癒に対する矯正骨切り術では,角度固定型プレートを用いて関節面との位置関係が正しくなるように遠位スクリューを挿入すれば,背屈・橈屈変形はほぼ解剖学的に整復できる.
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藍澤 一穂, 小暮 敦史, 本宮 真, 渡辺 直也
2026 年42 巻5 号 p.
731-736
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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前腕の持続末梢神経ブロックは,手外科領域の術後リハビリテーションにおいて運動麻痺を生じずに除痛を得られる点で有用である.一方で,前腕へのカテーテル留置においては神経への侵襲的な操作や薬剤の漏出,感染などの合併症が問題となり,その手技の一貫性にも問題がある.今回,著者らは2 方向からの液性剥離(hydrodissection)を用いて安全性・確実性が高い持続末梢神経ブロック手技を開発したので,その手法と有用性について報告する.
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藤澤 拓真, 入江 徹, 三好 直樹, 奥山 峰志, 奥原 一貴, 高橋 裕貴
原稿種別: 症例報告
2026 年42 巻5 号 p.
737-744
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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前腕広範囲骨欠損に対して,同側前腕から骨間動脈を血管茎とした有茎骨移植術を用いて骨再建を行った3 例を報告する.症例1:右前腕開放複合損傷.橈骨の骨欠損6cm に対して,尺骨を有茎骨移植して再建した.症例2:右前腕開放複合損傷後に陳旧性Monteggia脱臼骨折が発覚し,肘関節固定術を行ったが偽関節となった.尺骨の骨欠損5.5cm に対して,橈骨を有茎骨移植して再建した.症例3:左肘関節リウマチ.肘人工関節の再置換術後を2 回行った後に感染に至り,インプラントを抜去した.肘関節の欠損10cm に対して,尺骨を有茎骨移植して関節固定を行った.それぞれ術後3.5 か月,4 か月,3 か月で骨癒合が得られた.本法は手技が容易で,移植骨の採取部位や長さの自由度も高く,前腕の広範囲骨欠損に対する再建方法の選択肢と考える.
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前田 隆浩, 本間 友康, 石井 秀明, 吉澤 秀, 辻 收彦, 池上 博泰
2026 年42 巻5 号 p.
745-750
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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MP 関節周囲骨折ではMP 関節屈曲位での外固定が推奨されるが,実臨床では十分な屈曲位が保持されていないことも多い.本研究では,2010 年~2023 年に当院で治療した中手骨および基節骨骨折のうち,MP 関節周囲骨折88 手を対象とした.再診時のX 線側面像よりMP 関節屈曲角度を測定し,外固定方法,年齢,スプリント設計との関連を解析した.結果,屈曲60°以上が得られていた症例は38%であり,指固定範囲,スプリント角度,年齢との有意な関連が認められた.本研究により,より良好な外固定の工夫の必要性が示唆された.
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小川 崇文, 久島 雄宇, 平本 剛士, 市川 武, 近藤 晋哉, 尼子 雅敏
2026 年42 巻5 号 p.
751-754
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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母指CM関節症へのSuture button suspensionplastyにおける第2中手骨のボタン設置位置は,近位1/3以内が従来推奨されるが,その臨床的根拠は乏しい.本研究では,ボタン設置位置が第2中手骨長の近位1/3より遠位にある群と近位にある群に分け,術前後のVisual Analog Scale,関節可動域(掌側・橈側外転健側比),握力(健側比),key pinch力(健側比)の術後改善率を比較した.すべての検討項目が術前と比して術後1年に有意に改善していた(p<0.05).また,術前後の改善率では両群間に有意差を認めなかった.術後合併症を生じた症例は認めなかった.よって,ボタン設置位置と術後成績との関連性は低く,ボタン設置位置を第2中手骨の近位4割以下に留めておけば,臨床上支障はないと考えられた.また,ボタン設置位置を厳密に第2中手骨の1/3以内に留めるために,複数回のドリリングを行うことは,骨折のリスクとなるため避けるべきであると考えられた.
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福島 太朗, 笠島 俊彦, 本谷 和俊, 岩崎 倫政
2026 年42 巻5 号 p.
755-758
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
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母指CM 関節症に対する関節形成術として,著者らは従来Modified Thompson 法(MT 法)を行っていたが,最近では遊離長掌筋腱と骨核腱球を使った関節形成術(PL 法)を行っており,それらの成績を比較検討した.MT 法を行ったのは12 名15 手,全例女性,平均年齢68.7 歳,PL 法を行ったのは10 名12 手,全例女性,平均年齢72 歳であった.両群とも術後,掌側・橈側外転可動域およびvisual analogue scale は有意に改善した.ピンチ力も術後1 年で改善傾向であり,Hand20 のスコアは有意に改善した.Trapezial-resection space ratio(TSR)は両群とも術直後から術後6 か月にかけて低下したが,その後は維持されていた.PL 法は廃棄するはずの大菱形骨・長掌筋腱をスペーサーとして活用することで術後鋼線固定期間の短縮を可能にし,皮切がCM 関節背側のS 字状皮切と長掌筋腱採取部の小皮切のみであるため,橈骨神経浅枝症状発症リスクも低減できる.PL 法は低侵襲でありながら,MT 法と同等の成績を期待できると考える.
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山本 悠介, 鈴木 浩司, 佐柳 潤一, 中川 玲子, 堀木 充
2026 年42 巻5 号 p.
759-762
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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母指CM 関節脱臼は稀な外傷であり,安定化手術においては背撓側靱帯(DRL)の縫合のみで良好な結果が得られるとの報告がある.本研究では,DRL 縫合術を施行した7 症例を対象に,術後6 か月時点での脱臼率と年齢などの因子との関連を検討した.その結果,脱臼率は年齢と有意に相関し,特に40 歳以上では成績が不良であった.DRL 縫合術は有用であるが,40 歳以上では前斜走靱帯(AOL)再建を含む追加術式が必要となる可能性が示唆された.
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堀 裕介, 頭川 峰志, 廣川 達郎, 長田 龍介, 里見 昌俊, 堀川 鹿乃子
2026 年42 巻5 号 p.
763-767
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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伸筋腱皮下断裂Zone 7 に対するwide awake local anesthesia no tourniquet(WALANT)による腱再建術は,従来の方法よりも術後成績が良いと仮説を立て,後ろ向きに比較検討を行った.術後4 か月以上経過観察可能であったZone 7 での伸筋腱皮下断裂に対する腱再建術の最終成績を,WALANT 群52 手112 指と従来法(非WALANT 群)19 手40 指の2 群間で後ろ向きに比較した.最終MP 関節伸展不足角度はWALANT 群で14.1±14.6 度,非WALANT 群で20.5±16.0 度であり,WALANT 群で伸展不足角度は有意に小さかった.MP 屈曲角度はWALANT 群で78.6±14.0 度,非WALANT 群では70.8±16.2 度であり,WALANT 群で屈曲角度は有意に大きかった.WALANT 群では術中リハビリテーションによるフィードバックが患者や作業療法士の動機付けに優れ,効果的であったことが示唆された.
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吉澤 貴弘, 山田 賢治, 西村 圭司, 関谷 繫樹
2026 年42 巻5 号 p.
768-773
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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病期がEaton-Littler 分類stage ⅠおよびⅡの母指CM 関節症に対する,AI-Wiring System(AI-ピンシングル1.0)を利用した第1 中手骨外転対立位楔状骨切り術(abduction-opposition wedge osteotomy:以下AOO)の術後6 か月経過時の成績を報告する.対象は2023 年4 月~2024 年4 月までの1 年間に,AI-ピンシングル1.0 を2 本と軟鋼線を固定に用いてAOO を施行した6 例7 手(男性1 例1 手,女性5 例6 手,平均63.8 歳)であった.臨床評価項目として,Visual Analogue Scale,DASH,ピンチ力(サイドピンチ)を評価し,術前と比較した.画像評価は,単純X 線撮影での骨癒合状態,CM 関節の適合性改善の有無を評価した.臨床評価はすべての項目で術前よりも術後で改善し,画像評価では全例で骨切り部の骨癒合が得られ,CM 関節の適合性も改善していた.AI-ピンシングル1.0 と軟鋼線によるAOO は固定力に問題なく,全例で良好な成績が得られた.
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白戸 力弥, 山中 佑香, 五嶋 渉, 織田 崇, 和田 卓郎
2026 年42 巻5 号 p.
774-778
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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多指駆動型筋電義手を適用した外傷性片側前腕切断患者5 例を対象に,上肢および手の特異的患者立脚型評価尺度である日本語版Disability of the Arm,Shoulder,and Hand(DASH)およびMichigan Hand Outcomes Questionnaire 日本語版(MHQ-J)を用いて,装着訓練前後の各スコアを比較し,多指駆動型筋電義手の有用性を検討した.その結果,DASH の機能障害/症状および仕事スコアと,MHQ-J の切断側の総得点,機能,ADL,仕事および両手ADL スコアが有意に改善した.また,MHQ-J の切断側の疼痛,外観,満足度スコアにおいても改善傾向を示した.これらより,多指駆動型筋電義手は切断患者の上肢の主観的機能や症状の改善,および健康関連QOL の向上に有用である可能性が示唆された.
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名倉 一成, 金谷 貴子, 筒井 美緒, 藤田 昌秀, 乾 淳幸, 美舩 泰
2026 年42 巻5 号 p.
779-781
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
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超音波検査(US)による母指球筋の筋厚値と手根管症候群質問票との関連性を検討した.手根管症候群(CTS)で手術加療を行った32 手を対象とし,術前にUS にて母指外転筋(APB),母指対立筋(OPP)の筋厚値を測定し,手根管症候群質問票(CTSI-JSSH):症状の重症度スコア(SS),機能的状態のスケール(FS),total(SS+FS)と各筋厚値との相関を検討した.APB がCTSI-FS に負の相関性を示し,APB の筋萎縮はOPP よりも先行して日常生活動作機能低下に影響している可能性を示唆していた.
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月村 悦子, 佐藤 光太朗, 松浦 真典, 村上 賢也
2026 年42 巻5 号 p.
782-784
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
近年,術者の術中被曝量が問題となっており,放射線照射時間の最適化が求められている.今回,著者らは橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定術を施行した60 例を対象に,整形外科専攻医と専門医間での放射線照射線量と照射時間について比較検討を行った.その結果,専攻医の平均照射線量は7.61mGy,平均照射時間は354 秒であり,専門医の平均照射線量は5.21mGy,平均照射時間は227 秒であった.平均照射線量,平均照射時間ともに専攻医の方が有意に多かった.専攻医は専門医に比べて手技が不慣れな分,手術中の透視時間が長くなる傾向にあるため,被曝量の低減を図る工夫が必要である.
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尾下 遼, 竹下 歩
2026 年42 巻5 号 p.
785-789
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
当科で手術を施行した弾発指において,エコー下で指を他動屈曲した際,屈筋腱に3 型の滑走障害を認めた.本研究では,エコー所見での滑走障害の型と,臨床症状での重症度分類との相関について検討し,エコー所見での弾発指の重症度分類を提案することを目的とした.対象は当科で弾発指に対して経皮腱鞘切開術を行った162 例188 指とした.母指群62 指と手指(示指-小指)群126 指に分けて調査を行った.術前にエコーで滑走障害の型を評価し,臨床症状の重症度分類である名越らの分類の分布を解析し,Spearman の順位相関係数を用いてエコー所見と臨床症状との相関の有無を検定した.滑走低下,滑走分離,滑走停止の順に重症度が高くなる傾向を認め,滑走障害の型と臨床症状の重症度の相関を検討したところ,ともに正の相関が認められた.以上の結果から,エコーを用いた動的な評価で重症度分類を行うことができる可能性があると考える.
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赤羽 美香, 岡田 和子, 納村 直希, 島貫 景都, 多田 薫, 出村 諭
2026 年42 巻5 号 p.
790-793
発行日: 2026年
公開日: 2026/02/24
ジャーナル
認証あり
橈骨遠位端骨折後の骨密度検査率と骨粗鬆症の治療率は,過去に実施した調査ではいずれも低値であった.そこで,橈骨遠位端骨折後の二次骨折を予防するための取り組みとして,骨粗鬆症に対して適切な治療介入を行うための診療プロトコルを作成し,多施設で運用を開始した.今回,その短期成績を評価した.50 歳以上の橈骨遠位端骨折例140 例を対象に,診療プロトコルに沿って骨密度検査や脆弱性骨折の既往を評価し,骨粗鬆症の診断を行った.骨粗鬆症患者に対しては薬物治療を導入した.その結果,115 例が骨粗鬆症と診断され,骨粗鬆症患者に対する治療率は93%となっていた.1 年以上経過観察可能であった76 例中,二次骨折は脊椎骨折1 例のみで,1 年間の二次骨折の発生率は1.3%であった.診療プロトコルに基づく多施設での継続的な取り組みは,二次骨折予防に有効である可能性が示唆された.
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