日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
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総説
  • 佐々木 裕美
    2026 年42 巻4 号 p. 392-398
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    橈骨遠位端は骨巨細胞腫(Giant Cell Tumor of Bone:GCTB)の好発部位である.本稿では橈骨遠位端に生じるGCTB の治療選択における現状を解説する.GCTB の治療法として,デノスマブによる薬物療法,局所補助療法を併用した病巣掻爬,そして関節温存が困難な場合のEn bloc 切除が挙げられる.特にデノスマブは術前の使用に慎重な検討が必要であり,適応が限られる.掻爬術後の再発予防には局所補助療法や骨セメント充填が有効とされるが,橈骨遠位端では再発率が高い.また,En bloc 切除後の再建には自家骨を用いた関節形成術や関節固定術が報告されている.術後成績では関節固定術が安定した機能を提供する一方で,関節形成術は手関節可動域の維持が可能であるが手関節不安定症などの合併症が課題とされる.これらの治療法のメリットとデメリットを踏まえ,個々の患者に適した術式の選択が求められる.

  • 河村 太介
    2026 年42 巻4 号 p. 399-406
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    橈骨手根関節症の原因として,舟状骨月状骨解離に伴って特徴的な病期の進行が見られるSLAC(scapho-lunate advanced collapse)wrist や,舟状骨偽関節に引き続いて生じるSNAC(scaphoid non-union advanced collapse)wrist が有名である.単純X 線,CT により変性に至っている部位を正確に診断することで適切な術式選択が可能となる.手術治療は,温存可能な関節が残存している症例では除神経術,橈骨茎状突起切除,部分関節固定術,近位手根列切除術から適切な術式を組み合わせて選択する.関節温存が不能な症例に対しては全人工関節固定術,人工手関節置換術が選択される.

学術集会発表論文
  • 澁谷 純一郎, 高原 政利, 佐竹 寛史
    2026 年42 巻4 号 p. 407-411
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    橈骨遠位端骨折手術症例における手根管症候群(CTS)と術前のしびれや神経伝導検査の異常との関連を調査した.術前に神経伝導検査を施行した101 例を対象とした.術前のしびれの有無と短母指外転筋遠位潜時(APB-DL)遅延(4.3ms 以上を遅延と定義)の有無に基づき4 群に分類した.術前CTS 群(しびれあり・APB-DL 遅延あり)2 例,潜在群(しびれなし・APB-DL 遅延あり)7 例,疑い群(しびれあり・APB-DL 遅延なし)11 例,正常群(しびれなし・遅延なし)81 例であった.術後に手根管開放術を必要としたのは4 例(4%)であった.内訳は術前CTS 群1 例,潜在群2 例,正常群1 例であった.術前のしびれの有無と術後手根管開放術の要否に有意な関連は認められなかった.一方で,術前APB-DL 遅延があると術後手根管開放術が有意に多く施行された.術後に手根管開放術を必要としたAPB-DL の閾値は4.9ms であり,この値を基に術後CTS の危険性を評価できる可能性がある.

  • 眞木 成美, 松浦 佑介, 山崎 貴弘, 武田 拓時, 橘川 薫
    2026 年42 巻4 号 p. 412-417
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    FRACTURE は腱を鮮明に描出する撮像シーケンスである.2022 年1 月~2024 年6 月の手術施行27 例を対象に,FRACTURE と術中所見との正診性および腱の幅の正確性を検討した.腱断裂症例の正診率は,従来評価法60%からFRACTURE 93%に向上し,腱の幅においては,FRACTURE 測定値と術中写真測定値との相対誤差±20%以内が73.7%を占め,相関分析で両測定法間に強い正の相関を認め,Bland-Altman 分析で両測定法間の一致性が示された.FRACTURE は腱評価における臨床的有用性が高いことが示唆された.

  • 鈴木 誠人, 建部 将広, 倉橋 俊和
    2026 年42 巻4 号 p. 418-422
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    当院で行ったTerrible triad injury(TTI)25 例の臨床成績を調査し,術式と治療方針を考察した.側副靱帯はend point のない完全断裂に対して靱帯縫合術を行った.両側側副靱帯(LCL,MCL)の縫合を16 肘,LCL のみの縫合を5 肘,MCL のみの縫合を2 肘,修復を行わなかった症例を2 肘認めた.鉤状突起(CP)骨折の骨折型はRegan-Morrey(RM)分類1 型:10 肘,2 型:12 肘,3 型:3 肘であった.RM 分類1,2 型では22 肘ともCP の修復を行わず,3 型では3 肘全例で骨接合術が施行された.最終診察時の平均可動域は屈曲137.8°,伸展-8.0°,回外79.6°,回内77.2°で,Mayo Elbow Performance Score は92.4 点であった.本研究では,RM 分類3 型以外ではCP 骨折の修復は行わなかったが,良好な成績が得られており,LCL,MCL,橈骨頭を適切に治療すればCP の修復は必須ではないと考えられる.

  • 佐藤 大祐, 佐藤 光太朗, 村上 賢也, 月村 悦子, 松浦 真典, 三又 義訓
    2026 年42 巻4 号 p. 423-426
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    当院で手根管開放手術を行った75 歳以上の症例(A 群)の臨床像に関して調査を行い,64 歳以下の症例(B 群)と比較して手術の有用性を検討した.単純X 線画像上,母指CM 関節症等の関節症性変化を認めた割合はA 群が41.5%であり,B 群に比べて有意に高値を示した.母指対立機能評価でKapandji のstage 分類2 以下を示した割合はA 群が48.9%,B 群が15.4%であった.A 群では,術前に運動神経遠位潜時が導出不能であった罹患手の2/3 が術後に導出可能となった.術前に遠位潜時が導出可能であった場合は術後1 年で有意に改善した.改善率は34.2%であり,B 群と比べて有意差は認められなかった.後期・超高齢者では短母指外転筋筋力の正確な評価が困難となる可能性がある.電気生理学的に重症な症例では改善が不十分となる可能性を踏まえた上で,手根管開放手術は後期・超高齢者においても有用な方法であるものと思われた.

  • 伊藤 修司, 山本 宗一郎, 山上 信生, 沖田 聡司, 内尾 祐司
    2026 年42 巻4 号 p. 427-430
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    当科では骨軟部腫瘍の診療と手外科診療を同一班で行っている.また,近隣に骨軟部腫瘍を専門に行う施設がないため骨軟部腫瘍症例の疫学調査に適している.本研究の目的は,手術を施行した肘関節以遠の骨軟部腫瘍の症例を調査し,その特徴を明らかにすることである.2005 年1 月~2024 年2 月に当科で手術を施行した109 例(男性48 例,女性61 例,平均48±20 歳)を対象とした.骨腫瘍が23 例,軟部腫瘍が86 例で,そのうち転移性腫瘍を含む悪性腫瘍は4 例(3.7%)であった.肘関節または前腕の腫瘍が35 例,手関節または手掌・手背の腫瘍が30 例,手指の腫瘍が44 例であった.肘関節または前腕の軟部腫瘍では脂肪腫や神経鞘腫が多く,手指の骨腫瘍では内軟骨腫が多かった.手指の軟部腫瘍では腱滑膜巨細胞腫が多かった.良性腫瘍のうち2 例に再発を生じていた.多くが良性腫瘍であるが,まれに転移性骨腫瘍を含む悪性腫瘍や再発する症例があることに注意を要する.

  • 藤田 昌秀, 筒井 美緒, 名倉 一成
    2026 年42 巻4 号 p. 431-433
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    関節内陥没骨折を伴うPIP 関節内骨折11 例14 指に対する手術方法,治療成績について検討した.手術は関節面をHintringer 法で整復,鋼線固定を追加し,DDAⅡを設置した.全例に骨癒合を認め,最終平均可動域はPIP 関節が伸展-6°,屈曲82°,DIP 関節が伸展-1°,屈曲49°であった.DDAⅡを用いた指PIP 関節内骨折の手術治療成績は総じて良好であった.

  • 野本 尭, 松浦 佑介, 山崎 貴弘, 鍋島 欣志郎
    原稿種別: 症例報告
    2026 年42 巻4 号 p. 434-438
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    両側母指CM 関節症Eaton 分類Stage 4 に対し,denervation 手術を施行した1 例を報告する.症例は70 歳男性で,格闘技の指導をしており,関節を温存するdenervation 手術を選択した.左手から施行し,橈骨神経浅枝関節枝,外側前腕皮神経,前骨間神経,後骨間神経を切離し,術後は外固定せず疼痛に応じて使用を許可した.疼痛は軽減したが,母指CM 関節掌側の動作時痛が残存していた.正中神経に対して診断的神経ブロックをすることで疼痛消失を確認し,正中神経由来と考えられる支配神経を追加で切離した.右手でも橈骨神経浅枝関節枝,外側前腕皮神経,前骨間神経,後骨間神経,正中神経由来と考えられる支配神経を切離し,初回手術12 か月後の最終経過観察時にnumerical rating scale(NRS)は術前両側8 点から両側1 点,QuickDASH は術前43.2 点から0 点に改善を認めた.経過中に変形性関節症の進行は生じなかった.長期成績は不明であるが,denervation 手術はEaton 分類Stage 4 に対しても良好な成績をもたらす可能性がある.

  • 木村 圭吾, 鈴木 拓, 清田 康弘, 松村 昇, 佐藤 和毅, 岩本 卓士
    2026 年42 巻4 号 p. 439-441
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
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    胸郭出口症候群術後の成績不良因子を明らかにするため,当科で内視鏡補助下第1 肋骨切除術を施行し,術後1 年以上の経過観察が可能だった88 例を後ろ向きに検討した.因子候補は性別,年齢,BMI,術前DASH スコア,待期期間,鎖骨下動脈の狭窄,精神疾患の罹患,手術アプローチ,喫煙歴,他疾患の罹患の10 項目とし,単変量解析とロジスティック回帰分析を実施した.術後成績はRoos,Derkash 基準により4 段階で評価し,「優」「良」を良好群,「可」「不可」を不良群と定義した.良好群は71 例(81%),不良群は17 例(19%)であった.単変量解析で成績不良と弱い関連を認めた因子を用いたロジスティック回帰分析では,喫煙歴(P=0.01),精神疾患の罹患(P=0.02),他疾患の罹患(P=0.04)が術後成績不良と有意に関連した.

  • 加内 翔介, 市川 裕一, 西田 淳, 畠中 孝則, 辻 華子, 山本 謙吾
    2026 年42 巻4 号 p. 442-444
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    Sauvé-Kapandji(以下S-K)法において,尺骨近位断端部の不安定性を予防するため制動術を加えることがあるが,骨切りをより遠位に設定することで制動術を省略できる可能性が報告されている.本研究では,制動術を行わずに遠位骨切りを施行したS-K 法の術後成績を後方視的に検討した.2015 年4 月~2023 年3 月に当科で施行された遠位橈尺関節症に伴う伸筋腱断裂10 例(10 手)を対象とした.術後の合併症,断端部の疼痛,X 線評価およびDASH スコアを指標とした.断端部での疼痛や伸筋腱断裂は認めず,全例でDASH スコアは有意に改善した.また,骨切りラインと術後1 年のDASH スコアとの間に有意な相関はなかった.遠位骨切りにより,制動術を省略しても良好な成績が得られる可能性が示唆された.

  • 金谷 耕平
    2026 年42 巻4 号 p. 445-448
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    腱性槌指に対してシーネ固定を行う際のテーピング法に小工夫を加え,その治療成績を従来法と比較した.2018 年5 月~2024 年6 月に腱性槌指で当科を受診した19 例20 指を対象とした.軽い伸展位となるように弯曲させたアルフェンスをDIP 関節背側に設置し,末節部および中節部でテーピングしたものをU 群,U 群に指長軸方向のテーピングを追加したものをT 群とした.U 群は11 例11 指で,男性8 例,女性3 例,T 群は8 例9 指で,男性4 例,女性4 例であった.シーネ固定は8~10 週を目安とし,以後は4 週間の夜間装具とした.最終観察時の平均伸展ラグは,U 群が-13 度,T 群が-4 度,Crawford の評価では,U 群がExcellent 2 指,Good 2 指,Fair 6 指,Poor 1 指,T 群がExcellent 6 指,Good 2 指,Fair 1 指であった.シーネ固定法の伸展不足角残存の要因の一つとして,テーピングのずれや緩みによる固定位の保持不良が考えられるが,長軸方向のテーピングの追加によりそのリスクを減少できる可能性がある.

  • 早田 司, 志村 治彦, 佐々木 亨, 藤田 浩二, 二村 昭元
    2026 年42 巻4 号 p. 449-454
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    手関節におけるdistraction plate 固定は,内固定が困難な関節内粉砕骨折や骨粗鬆症による著明な骨欠損を伴う骨幹端粉砕骨折に用いられるが,本邦において報告が少ない.Distraction plate 法における合併症や治療成績について,当院の経験を報告する.対象は当院で手術を施行した3 例で,受傷時の平均年齢は85.3 歳,全例女性であった.待期期間は平均6 日.Zimmer Biomet 社のA.L.P.S. 腓骨遠位コンポジットロッキングプレートを用いた.経過観察期間は平均14.3 か月であった.最終可動域において掌屈はやや不良であったが,機能的可動域を獲得できていた.合併症は遷延癒合を1 例に認め,Q-DASH は平均22.7 点であった.内固定が困難な関節内粉砕骨折や著明な骨欠損を伴う骨幹端粉砕骨折に対して,distraction plate 固定は合併症率が少なく,治療成績は良好であった.今後,有用な選択肢の一つとなりうるが,その適応については議論の余地がある.

  • 前川 勇人, 飯田 昭夫, 河村 健二, 面川 庄平
    2026 年42 巻4 号 p. 455-458
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    CT 画像から舟状大菱形小菱形骨間(STT)関節症の舟状骨の位置,舟状骨と有頭骨の動態の特徴を調査した.対象はSTT 関節症患者14 例と健常者5 例である.解析は手関節3 肢位(最大橈屈位,最大尺屈位,中間位)のCT を用いた.手関節中間位における舟状骨の位置と,手関節橈屈位から尺屈位における舟状骨,有頭骨の回転方向と回転角度を算出し,STT 関節症例と健常例で比較した.また,関節症の進行との関連を調査した.舟状骨はSTT 関節症において健常者に比べて中間位で背屈,尺屈していた.手関節橈尺屈運動に伴い舟状骨は逆ダーツスロー方向に回転し,回転軸は関節症の進行とともに掌背屈方向から橈尺屈方向へ変化した.有頭骨の橈尺回転角度はSTT 関節症で有意に減少した.舟状骨の回転軸周りの回転角度は関節症進行に伴い減少するが,早期関節症での舟状骨回転角度は健常より増大傾向であった.STT 関節症において舟状骨は伸展尺屈し,関節症の進行とともに舟状骨動態が変化することが明らかになった.

  • 加地 良雄, 山口 郁子, 山口 幸之助, 岡 邦彦, 宮本 瞬, 石川 正和
    2026 年42 巻4 号 p. 459-462
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    近年,橈骨遠位端骨折(DRF)後の骨粗鬆症(OP)治療が重視され始めているが,全てのDRF 患者にOP 治療を行うと費用が膨大となることを指摘する報告もある.本研究では,DRF 患者の骨密度を診断基準に照らし合わせた場合,どれくらいの症例がOP および重症OP と診断されるかを調査した.さらに,腰椎,大腿骨の骨密度も治療が必要な程度に低下しているのかを調査した.DRF 受傷時に腰椎,大腿骨の骨密度検査を受けた94 例を診断基準にあてはめると,OP なし,OP,重症OP と診断される症例の比率はそれぞれ24.1%,34.5%,41.4%であった.つまり,DRF 患者の大多数にOP 治療が必要となり,そのうち半数以上の患者には重症OP の治療が必要になるという結果になった.一方で,腰椎,大腿骨の骨密度平均YAM は,重症OP の大腿骨頸部を除くと全て70%以上であり,積極的な治療が必要かどうかは疑問が残る結果となった.今後は費用対効果を考えた治療方針を模索していく必要があるかもしれない.

  • 小川 高志
    2026 年42 巻4 号 p. 463-467
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    粉砕を伴う第5 手根中手関節(CM 関節)脱臼骨折に対するbridging plate 固定術の有用性を検討した.2020 年~2024 年に本術式を施行した8 例を対象に,骨長の変化,機能成績,合併症を後方視的に評価した.平均矯正損失は0.37mm,健側との差は1.10mm で有意差を認めず,全例で骨癒合を得た.機能面では握力健側比が89.1%,percent total active motion が96.4%と良好であり,3 か月未満で抜釘した症例ではさらに優れた成績が得られた.深部感染が1 例みられ,再脱臼はなかった.Bridging plate は骨長の維持,整復位の保持,機能温存に優れ,粉砕性第5CM 関節脱臼骨折に対する有力な治療選択肢と考えられた.

  • 髙須 勇太, 津田 歩, 林原 雅子, 津田 公子
    2026 年42 巻4 号 p. 468-472
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    Dupuytren 拘縮に対する部分腱膜切除術後の屈曲拘縮再発予防に向けた取り組みの成績を報告する.対象は7 例13 指,平均年齢70 歳で,術後経過観察期間は平均11 か月であった.術前のMeyerding 分類はGrade 1 が1 例,2 が2 例,3 が4 例であった.術直後より患指のMP 関節以遠を伸展位で固定し,3 日以内に夜間のみの固定とした.抜糸後よりトラニラスト内服およびヘパリン類似物質外用の使用を開始し,装具療法と併用して6 か月間継続した.MP 関節の伸展角度は術前平均-46°から術後平均2°に減少し,最終診察時には平均-2°になっていた.PIP 関節では術前平均-35°から術後平均-6°に減少し,最終診察時には平均-17°になっていた.後療法完遂は,装具6 例,内服5 例,外用7 例で,再発は1 例(1 指)に認めた.Dupuytren 拘縮に対する部分腱膜切除術後は,屈曲拘縮再発の再発を予防するために,早期からの装具療法および薬物療法の継続が重要である.

  • 銭谷 俊毅, 花香 恵, 高島 健一, 齋藤 憲, 寺本 篤史, 射場 浩介
    2026 年42 巻4 号 p. 473-476
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    小児ばね指の治療方針として,経過観察のみ,装具療法,マッサージ,手術などがあるが,その有用性については一定の見解がない.当院では,明らかな機能障害がなく,保護者の希望がない場合には,就学前(5〜6 歳)までは経過観察のみとする方針としている.本研究では,2010 年〜2022 年に小児ばね指と診断し,2 年間の経過観察で改善を認めなかった25 例30 指を対象とし,その後の自然経過について後方視的に検討した.観察のみで自然治癒を認めたのは16 指(53%)で,治癒時の平均年齢は6 歳9 か月であった.手術に移行した症例は9 指(30%)であり,手術時年齢は平均6 歳3 か月であった.全例で健側と同じ可動域を獲得し,術後成績は良好であった.5 指(17%)で軽度の伸展制限の残存を認めたが,保護者が経過観察の継続を希望した.X 線所見で異常を認めた症例はなかった.以上より,小児ばね指に対して就学前まで経過観察を行うことは,選択可能な治療方針の一つと考えられた.

  • 朝永 育, 田口 憲士, 西 亜紀, 松林 昌平, 辻本 律, 尾﨑 誠
    2026 年42 巻4 号 p. 477-481
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    橈骨遠位端骨折に尺骨遠位端骨折を合併する症例では,橈骨を掌側ロッキングプレートで安定に固定すれば,尺骨の固定は不要とされることが多い.しかし,骨折線が骨幹部に及ぶ橈骨遠位端骨折では,前腕全体の安定性に関して尺骨の固定がより重要である可能性がある.本研究では,骨幹部に及ぶ橈骨遠位端骨折にBiyani 分類3 型の尺骨骨折を合併した7 例を対象に,尺骨の固定方法と橈骨の骨癒合との関連を後ろ向きに検討した.尺骨にプレート固定を行った3 例では全例で良好な骨癒合が得られたのに対し,髄内鋼線固定または保存療法を行った4 例中2 例で橈骨に偽関節を認め,追加手術を要した.これらの結果から,骨幹部に及ぶ橈骨遠位端骨折においては,尺骨の安定性が橈骨の骨癒合に影響する可能性が示唆された.

  • 岩崎 弘英
    2026 年42 巻4 号 p. 482-485
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    当科における橈骨遠位端骨折(DRF)患者の骨粗鬆症治療の現況を報告する.50 歳以上のDRF 患者35 名,non DRF 患者35 名における腰椎,大腿近位部,前腕遠位部の骨密度,若年成人平均値(YAM)を測定した.DRF 群,non DRF 群共に,橈骨遠位のYAM は有意差をもって大腿近位部,腰椎より低値であり,群間比較での橈骨遠位YAM に有意差は認められなかった.50 歳以上のDRF 患者123 名の受傷前後の骨粗鬆症治療歴,受傷後のDXA 検査率,腰椎,大腿近位部YAM を調査した.受傷前の骨粗鬆症治療率は23.6%であり,受傷後の骨粗鬆症検査率は84.6%で,腰椎81.0%,大腿近位80.1%であった.受傷後の骨粗鬆症治療率は82.1%であった.腰椎もしくは大腿近位部YAM が80%以上では骨粗鬆症治療介入率は18.8%であり,80%以下では97%であった.DRF は骨粗鬆症診療の契機として重要である.

  • 川崎 恵吉, 酒井 健, 明妻 裕孝, 久保田 豊, 岡野 市郎, 工藤 理史
    2026 年42 巻4 号 p. 486-490
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    Eaton Stage Ⅳの母指CM 関節症では,CM 関節に加えてSTT 関節,特に舟状小菱形骨間(STd)関節の変性が疼痛の原因となりうる.著者らは,術前にCT およびMRI でSTd 関節の変性を確認した症例に対し,従来の大菱形骨切除に基づくLigament Reconstruction Tendon Interposition(LRTI)法およびSuture-Button suspensionplasty(SBS)法を併用したHybrid 原法に加え,小菱形骨近位部(STd 関節面)切除とソフトアンカーを用いた腱球挿入によるHybrid 変法を施行してきた.今回,Hybrid 変法を施行し,12 か月以上経過観察が可能であった21 手の臨床および画像所見を後方視的に検討した.術後には,Visual Analogue Scale やDASH スコアが有意に改善し,握力,つまみ力,外転可動域も向上した.画像評価においては,小菱形骨腔距離の保持とともに,dorsal intercalated segment instability(DISI)変形の進行抑制が認められた.本術式は,STd 関節の変性を伴うEaton Stage Ⅳの母指CM 関節症において,有効な選択肢となりうると考えられた.

  • 福田 誠, 柴田 将伍, 千葉 紀彦, 安田 匡孝
    2026 年42 巻4 号 p. 491-496
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,橈骨遠位端骨折(DRF)に対するプレートの固定方法の違いによる手関節の関節可動域(ROM)への影響を明らかにすることである.手術を行った344 例を対象とし,掌側ロッキングプレート固定群(V 群)296 例,背側ロッキングプレート固定群(D 群)31 例,掌背側から固定した群(VD 群)8 例,Acu-Loc2 とそのFrag-Loc compression screw を用いた群(VF 群)9 例に分け,手関節のROM を調査した.掌屈角度にてV 群とD 群間に有意差を認め,回外角度にてVD 群とV 群およびD 群間で有意差を認めた.本研究においてD 群のみ掌屈制限がみられたが,これはD 群で使用した内固定材のほとんどが背側用のロッキングプレートで,VD 群ではfragment specific fixation 用の比較的小さくlow profile なプレートであったことが影響している可能性が考えられる.また,VD 群で認められた回外制限には,骨折型が影響している可能性が考えられる.

  • 井上 美帆, 峯 博子, 鶴田 敏幸
    2026 年42 巻4 号 p. 497-501
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    指尖部は精緻な感覚と運動機能を担う重要な部位であり,同部の切断に対する治療は機能性と審美性に対する配慮が必要である.著者らは指尖部切断に対して末節骨骨接合と神経血管柄付き前進皮弁を用いた再建術を行い,良好な結果を得たためこれを報告する.対象は3 例3 指(右母指2 例,左中指1 例)で,手術時年齢平均49.7±9.7 歳,全例Ishikawa subzone 分類2,損傷形態はCrush であった.受傷当日にcomposite graft で一時的に創閉鎖し,その後二期的に末節骨は接合し,神経血管柄付き前進皮弁を両側より作成し指尖部を再建した.全例で皮弁は生着した.最終調査時,Numeric rating scale は安静時平均0.3,動作時平均1.0.Semmes-Weinstein monofilament test は3.61 が2 例,4.31 が1 例,握力健側比は平均85.5%,関節可動域(%Total Active Motion)は平均81.0%であった.Quick-Disabilities of The Arm,Shoulder and Hand は平均19.7,Hand20 は平均40.2 であった.本法は術後管理が比較的簡便で,指尖部の萎縮は生じず指長や知覚も獲得でき,指尖部切断に対する術式の一つとして有用と考える.

  • 岡田 純幸, 細川 高史, 筑田 博隆
    原稿種別: 症例報告
    2026 年42 巻4 号 p. 502-506
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    母指の腱性槌指は比較的稀であり,その治療成績に関する報告は少ない.小児例の腱性槌指の報告についてはさらに稀である.今回,小児の母指腱性槌指の2 例を経験し,腱縫縮による手術治療を行ったので報告する.症例1 は7 歳女児,症例2 は11 歳男児で,母指腱性槌指の診断にて全身麻酔下に腱縫縮術と鋼線によるIP 関節の仮固定を行なった.術後8 週で鋼線を抜去し,関節可動域訓練を開始した.症例1 で末節骨の骨端線閉鎖を認めたが,共に蟹江の評価基準は優であった.腱性槌指の治療法は装具による保存治療が原則であるものの,小児例の保存治療は外固定の常時装着が困難となることも予想されるため,手術治療も選択肢の一つとなると考えられた.

  • 岩城 啓修, 平瀬 雄一, 金原 由季
    2026 年42 巻4 号 p. 507-509
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    著者らはBouchard 結節に対して人工関節置換術を行っている.その中には複数指のBouchard 結節に対して複数指同時手術を行った症例が存在する.今回,著者らが行った複数指同時手術例の経時変化を調査し,単数指手術症例と比較検討した.対象は複数指同時手術を行い,3 年以上の経過観察が可能であった39 例79 指とした.2 指同時手術は38 例,3 指同時手術は1 例であった.術後経過観察期間は平均47.0 か月であった.結果は複数指同時手術の術後6 か月時でPIP 関節自動屈伸可動域,運動時visual analog scale,DASH score,握力,側屈が有意に改善し,3 年以上経過時では側屈以外は有意に改善していた.単数指手術との比較では,術後3 年以上経過時で側屈のみ有意に劣っていたが,その他の項目では有意差を認めなかった.複数指同時手術を希望される場合,側屈に注意は必要であるが,行ってもよい手術方法であると考えられた.

  • 肥留川 恒平, 助川 浩士, 水橋 智美, 小川 元之, 井上 玄, 髙相 晶士
    2026 年42 巻4 号 p. 510-513
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    胸郭出口症候群(TOS)は神経・血管の圧迫により多彩な症状を呈するが,診断に用いられる徒手検査には再現性や信頼性に課題がある.本研究では,各検査肢位が肋鎖間隙に与える構造的影響を,新鮮凍結屍体4 体8 肢(全例女性,63~97 歳)で定量的に評価した.肋鎖間隙に可塑性ポリエチレン樹脂を挿入し,各肢位を再現して硬化模型を作成し,最狭窄部の厚さを計測した.上肢下垂位を基準とし,頭部回旋を加えるAdson 様・Reverse-Adson 様,肩関節外転180°のWright 様,外転90°+肘屈曲90°のRoos 様肢位との差分を算出して比較した.Wright 様およびRoos 様肢位では有意な狭小化が認められたが,Adson 系では有意差はなかった.特にWright 様肢位は肋鎖間隙への影響が大きく,有用性が示唆された.一方,構造的変化と症状の一致は常に得られるとは限らず,画像診断や神経学的所見との統合的評価が今後も重要である.

  • 藤巻 亮二, 関 広幸, 西山 雄一郎, 小久保 哲郎, 三尾 健介, 鈴木 禎寿
    2026 年42 巻4 号 p. 514-518
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究では当院における骨性マレット指に対する微小スクリュー固定法の成績を調査し,その問題点を中心に考察した.本法にて手術した41 例42 指を対象とした.骨片に十分な大きさのあるもの(2mm≦骨片の背側長)を本法の手術適応とし,さらに初期転位が比較的大きいもの(2.5mm<骨片間のgap)は手術適応から除外した.調査項目は1.骨癒合,2.蟹江の機能評価,3.抜釘の有無,4.経過中の骨片の転位,5.中枢骨片の骨吸収の5 項目とした.骨癒合は41 指で得られた.蟹江の機能評価では優29 指,良5 指,可6 指,不可2 指であった.抜釘は21 指に行った.骨片の転位は3 指に認め,いずれも骨片の術前転位が大きい症例であった.中枢骨片の骨吸収は10 指に認めた.適応を限定した骨性マレット指に対する微小スクリュー固定法の成績はおおむね良好であったが,骨片の転位や骨吸収を認めた症例があることから,適応や手術手技について今後も検討が必要と考えられる.

  • 竹内 隆二, 石垣 大介
    2026 年42 巻4 号 p. 519-523
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    2020 年1 月~2022 年12 月に当科で治療した50 歳以上90 歳未満の橈骨遠位端骨折患者を,ロコモティブシンドローム(ロコモ)指導を行う群と行わない群に割り付け,180 日以上経過観察後にロコモ25 でロコモ度を評価した.指導あり群は25 例,なし群は49 例だった.指導あり群に対しては,初診時にロコモパンフレットを用いた指導を行った.初診時に非ロコモだった人数は指導あり群が10 例,なし群が23 例だったのに対し,最終経過観察時はあり群が17 例,なし群が34 例と両群で改善が認められた.また,ロコモ25 の中央値は,あり群の初診時は7 点,最終経過観察時は4 点と有意に改善した.なし群は初診時7 点,最終経過観察時5 点と,改善していたが有意差は認められなかった.単回指導であっても,ロコモ指導がロコモ度の改善に寄与することが示唆された.

  • 舩本 知里, 太田 壮一, 貝澤 幸俊
    2026 年42 巻4 号 p. 524-527
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    絞扼性末梢神経障害は麻痺が進行してからでは回復が難しい.麻痺が顕在化する電気生理学的な検査閾値が予め分かれば,しびれ感だけの症状であっても,検査上その閾値より低い値であれば,麻痺の増悪する前段階として手術加療を勧めやすい.今回,尺骨神経の複合筋活動電位(CMAP)の振幅値を調査し,Wartenberg 徴候(WS)の出現する閾値を検討したので報告する.当科で尺骨神経神経伝導検査を施行した71 例を対象に,WS と尺骨神経のCMAP 振幅値とを比較した.WS 陽性27 例,陰性44 例で,振幅値はWS 陰性例で平均8.5±0.4(4.3-14.7)mV,WS 陽性例で平均4.8±0.5(0-11)mV であった.WS 陽性例で振幅値は有意に低下していた.WS 陽性例の振幅値の95%信頼区間上限値は6.2mV であった.CMAP 振幅値6.2mV 以下に振幅値が低下すると,軸索損傷を主体とする骨間筋麻痺が顕在化する可能性が高くなると考えられた.

  • 田中 宏昌, 矢﨑 尚哉, 野村 貴紀, 石原 典子
    2026 年42 巻4 号 p. 528-530
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    手根管症候群(CTS)は心アミロイドーシスより5-10 年程度先行して発症するとされ,手根管開放術の際に屈筋腱滑膜を採取し,検査することは心アミロイドーシスの早期発見に有用と言われているが,そのリスクファクターに関する検討の報告は少ない.今回,手根管開放術を施行した手根管症候群患者の屈筋腱滑膜の病理学的検査を施行した33 例を対象とし,リスクファクターについて検討したので報告する.対象は平均年齢68.2 歳,男性12 例,女性21 例であった.アミロイド沈着を認めたのは33 例中16 例であり,3 例が心アミロイドーシスの診断を受け,治療が開始された.手根管症候群手術の際の腱滑膜のスクリーニング検査は,心アミロイドーシスの早期診断に有用である.

  • 西村 圭司, 吉澤 貴弘, 山田 賢治, 関谷 繁樹
    2026 年42 巻4 号 p. 531-533
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    尺骨茎状突起骨折に対する手術法として,キルシュナー鋼線(K-wire)と軟鋼線を用いたTension band wiring(TBW)法が一般的であるが,経過中の鋼線の皮下への突出や,固定の緩みなどが問題であった.今回AI-ピンシングル1.0 を用いたTBW 法を行い,治療成績をK-wire を用いたTBW 法と比較検討した.AI-ピンシングル1.0 を用いた症例群は,K-wire を用いた症例群と同等の骨癒合が得られ,術後の疼痛が少なく,関節可動域が改善する傾向がみられた.

  • 儀間 朝太, 大城 亙, 岳原 吾一
    2026 年42 巻4 号 p. 534-538
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    小児上腕骨内側上顆骨折は小児肘関節周囲骨折の中で比較的頻度が高く,しばしば同側上肢の骨折を合併する.2015~2024 年に当院で手術を行った内側上顆骨折26 例(男性16 例,女性10 例)のうち,合併骨折を伴った7 例について検討した.内訳はWatson-Jones 分類type Ⅰ 2 例,Ⅱ 3 例,Ⅳ 2 例,合併骨折は外側上顆裂離骨折3 例,外側顆骨折1 例,橈骨近位骨幹部骨折1 例,橈骨頚部骨折1 例,肘頭骨折・外側顆骨折合併1 例であった.全例,内側上顆をTension Band Wiring 法で固定し,合併骨折のうち3 例は経皮的鋼線固定術を追加し,4 例は保存治療を行った.全例,約3 週間の外固定を行った.内側上顆の抜釘は平均3.4 か月で行った.最終観察時肘関節の可動域は平均伸展-8.6°,屈曲136.4°であり,偽関節例,外反不安定性などの合併症はなかった.合併骨折を伴った内側上顆骨折には,内側上顆の強固な固定と合併骨折の安定化を行うことで良好な成績が期待できる.

  • 中島 沙弥, 堀井 恵美子, 外山 雄康, 浜田 佳孝, 木下 理一郎, 齋藤 貴徳
    2026 年42 巻4 号 p. 539-542
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    比較的稀な豆状三角骨関節症による屈筋腱皮下断裂について,自験例3 症例と,過去10 年間の症例報告から臨床像と病態を検討した.自験例は全例女性で,年齢は70~86 歳であった.腱再建は腱移行または腱移植を行い,1 例で豆状骨切除を行った.術後は全例,良好な機能回復が得られ,ADL 障害はなかった.文献では23 症例25 手が報告されており,91%が女性で,平均年齢72 歳(中央値)であった.腱再建は23 手で腱移行や腱移植などを行い,豆状骨切除は15 手で行われていた.腱の再建方法の違いや豆状骨切除の有無にかかわらず治療成績は良好であった.腱に関しては,再建方法にかかわらず積極的な手術治療が推奨されるが,豆状骨切除の必要性については各症例ごとに検討が必要である.

  • 牛島 貴宏, 小川 光, 曽根崎 至超, 石河 利之, 小島 哲夫
    2026 年42 巻4 号 p. 543-547
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    比較的稀な遠位上腕二頭筋不全断裂に対して手術治療を行った症例の臨床的特徴と治療成績を報告する.対象は5 例で,患者背景,症状,MRI 所見,断裂形態,術後成績などを調査した.手術は肘前方から展開し,断裂した腱と橈骨粗面への付着部を同定し,スーチャーアンカーを挿入し縫合した.後療法は約4 週の外固定を行った後に可動域訓練を開始した.平均年齢は58.2 歳,男性労働者で,利き手側が3 例,非利き手側が2 例であった.全例で上腕二頭筋腱に沿って圧痛を認め,可動域は疼痛により前腕回内や肘伸展が制限される症例が多かった.MRI では腱付着部にT2 強調像で高信号を認めた.術中所見は橈骨粗面の近位側から断裂したもの(長頭)が4 例,遠位側から断裂したもの(短頭)が1 例であった.術後の可動域は全例で改善し,最終観察時のDASH は6.2 であった.男性労働者の遠位上腕二頭筋腱不全断裂の治療成績は良好であった.本研究では不全断裂は長頭に多く発生しており,繰り返す慢性的な負荷により損傷を生じると考えられた.

  • 鈴木 浩司, 佐柳 潤一, 中川 玲子, 堀木 充
    2026 年42 巻4 号 p. 548-551
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    母指CM 関節症に対する関節形成術10 例を対象に,遊離長掌筋腱とsuture tape を用いたハイブリッド腱を第1・第2 中手骨にSwiveLock で固定し,術後の骨孔拡大をCT で評価した.第1 中手骨では縦径4.3±0.8mm(拡大率49.1±22.0%),横径3.4±0.2mm(同15.0±4.8%)であり,第2 中手骨では縦径5.4±0.7mm(同58.1±17.0%),横径5.0±0.6mm(同46.0±15.0%)と,特に第2 中手骨の拡大が著明であった.骨孔拡大と術前の第1 中手骨角(68.9±3.7°),CM 関節亜脱臼率(37.5±9.2%)との間に相関はなかった.第1 中手骨の沈下はΔTSR 0.006 と軽微であり,骨孔拡大にもかかわらず術後の再建関節の安定性は維持されていた.

  • 村井 玲那, 大石 崇人, 大村 威夫
    2026 年42 巻4 号 p. 552-555
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    手根管症候群における術中検体のアミロイド沈着や術後の心不全・心アミロイドーシス発症に関する報告が散見される一方,患者背景が近似することの多い手指屈筋腱腱鞘炎(ばね指)では術中検体のアミロイド沈着の報告はみられるが,症例報告を除けば心アミロイドーシス発症等の長期的な予後についての報告はない.当院でばね指に対して手術加療および腱鞘でのアミロイド沈着の染色を行い,術後10 年以上経過を追跡しえた症例において,心アミロイドーシスの発症ならびに心不全症状の発生を調査した.経過を追跡しえた患者24 名中アミロイド陽性者は17 名(70.8%),心不全発症者は1 名であり,心アミロイドーシスの発症者はおらず,心不全の発症にアミロイド陰性群との有意差はなかった.トランスサイレチン(ATTR)型アミロイド陽性者は2 名で,いずれも高齢男性で手根管症候群の既往歴があった.ばね指と心不全・心アミロイドーシス発症に関しては,今後も症例を重ねて検討していく必要がある.

  • 村上 賢也, 佐藤 光太朗, 松浦 真典, 月村 悦子, 三又 義訓
    2026 年42 巻4 号 p. 556-559
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    横手根靭帯(Transverse Carpal Ligament:TCL)における筋組織の存在は,正中神経運動枝の解剖学的変異との関連性が指摘されている.手根管症候群に対して手根管外鏡視開放術を施行した200 手を対象に,TCL の表層および層内における筋組織の存在,形態,分布様式を調査した.筋組織はTCL 表層に76 手(38%),層内に75 手(37%)存在し,49 手(25%)では認めなかった.性別・年齢による有意差はなかった.筋組織の厚さは菲薄群76 手(50%),中等度群64 手(42%),肥厚群11 手(7%)で,表層性・層内性で同様の分布傾向を示した.Transligamentous type の運動枝変異を6 手に認め,全例でTCL に筋組織が存在していたが,筋組織の局在部位および厚さには一定の傾向を認めなかった.TCL においては高頻度に筋組織の存在が認められ,その形態学的特徴は多様である.手術操作に際しては,筋組織の存在様式にかかわらず,正中神経運動枝損傷に注意を要する.

  • 高木 知香, 坂野 裕昭, 勝村 哲, 坂井 洋, 仲 拓磨, 稲葉 裕
    2026 年42 巻4 号 p. 560-563
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    橈骨遠位端骨折の術後成績に影響を与える因子を調査した.対象は掌側ロッキングプレートで手術を行った178 例178 手で,説明因子として年齢,受傷機転,骨折型,尺骨茎状突起骨折の有無,受傷から手術までの待機期間,整復位,術後成績として掌背屈回内外可動域,握力健側比,Mayo wrist score,Visual Analog Scale,qDASH score を調査した.説明因子と術後成績の関連を術後3,6,12 か月で調査した.さらに非高齢者(64 歳以下)と高齢者(65 歳以上)に分けて検討した.掌背屈可動域は3 か月で年齢,待機期間と,6 か月で年齢,待機期間,骨折型と,12 か月で年齢,骨折型と有意な相関を認めた.握力は全ての時期で整復位と,qDASH score は6,12 か月で年齢と有意な相関を認めた.非高齢者では年齢と整復位のみ有意な相関を認めたのに対して,高齢者では早期の掌背屈可動域には待機期間が,術後12 か月の握力には整復位が影響を与えていた.橈骨遠位端骨折の手術は可及的早期に良好な整復位で行うことで,より良い術後成績を得られる.

  • 瀧川 直秀, 江城 久子
    2026 年42 巻4 号 p. 564-566
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    母指CM 関節固定術は確実な除痛効果と握力やピンチ力の改善が得られるため,若年例に適用されると報告されているが,外固定期間の長さや偽関節などが懸念されるところである.著者らは2023 年9 月以降,若年例を中心としたピンチ力を必要とする患者に対して,CM 関節固定術専用のロッキングプレートであるCMFiX プレート®を使用して橈骨からの骨移植を併用した関節固定術を9 例9 手(全例女性,平均年齢61 歳,Eaton 分類stage Ⅱが1 例,stage Ⅲが8 例)に行った.全例で骨癒合を認め,平均骨癒合期間は7.6 週であった.術後のピンチ力,握力,DASH score は改善し,短期成績は概ね良好であった.CMFiX プレート®はCM 関節固定術用にアナトミカルにプレベンディングされており,関節固定部分にラグスクリューを挿入できる利点を有する.術後外固定を2 週間として治療を行い,全例で骨癒合が得られ,本法は有用な術式の一つであると考えられた.

  • 辻 英樹, 松井 裕帝, 恩田 和範
    2026 年42 巻4 号 p. 567-570
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    Suspension をより確実にするためにMini TightRope®︎(以下MTR)にDEX FiberTaKTM を併用した鏡視下母指CM 関節形成術の術後成績を調査した.対象は20 例20 手(男性5 例,女性15 例)で,平均年齢66.1(52-81)歳,Eaton stage 2:2 手,3:17 手,4:1 手であり,術後平均観察期間は11.2 か月であった.手術は鏡視下大菱形骨部分切除後,MTR によるsuspension を行う.この縫合は仮縫合にとどめ,部分切除したCM 関節腔よりDEX FiberTakTM を第2 中手骨基部にアンカリングし,引き出したSuture Tape をMTR のボタンと長母指外転筋腱に縫着後,仮縫合のMTR を本縫合する.動作時Visual Analogue Scale,DASH,Hand20,握力,ピンチ力は術後有意に改善し,最終の母指列は術直後より短縮したものの術前と同等であった.背側亜脱臼は術直後よりやや戻ったものの術前より有意に整復されていた.本法の短期成績は臨床評価,X 線評価とも良好であったが,今後の長期追跡調査が必要である.

  • 坂井 洋, 坂野 裕昭, 勝村 哲, 高木 知香, 仲 拓磨, 稲葉 裕
    2026 年42 巻4 号 p. 571-575
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    母指CM 関節症に対して手術を行った74 例を対象とし,関節鏡所見とEaton 分類との関係を調査した.関節面のほぼ全体に関節軟骨を認めた症例(phase 1)が2 例,関節面全体の1/2 以上の軟骨が残存していた症例(phase 2)が1 例,関節面全体の1/2 以上の軟骨が消失していた症例(phase 3)が37 例,関節面全体の関節軟骨が消失し,象牙化に近い状態であった症例(phase 4)が34 例であった.滑膜炎は,炎症性滑膜なし(grade A)が16 例,炎症性滑膜あり(grade B)が36 例,関節面を確認できないほどの滑膜炎(grade C)が13 例,滑膜にピロリン酸Ca の沈着(grade D)が9 例であった.Eaton 分類stage Ⅱにはphase 1〜4 が全て含まれていた.単純X 線所見のみでは関節軟骨の状態を判断することができないため,可能であれば関節鏡で関節軟骨の状態を確認してから治療方針を決定することが望ましいと考える.

  • 筒井 完明, 荻原 陽, 天野 貴司, 川崎 恵吉, 工藤 理史
    2026 年42 巻4 号 p. 576-580
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    肘頭骨折に対するロッキングプレート固定は良好な成績が報告されているが,術後合併症として近位骨片の脱転が指摘されている.本研究では,その要因の一つである近位骨片の二重骨折に着目し,その特徴と治療成績を検討した.対象は62 例62 肘であり,二重骨折は全体の24.2%に発生していた.二重骨折の有無の比較では,二重骨折を有する群(15 例)は非保有群(47 例)に比べて平均年齢が高かった.また,二重骨折を有する症例10 例に対してX 線評価を行った結果,肘頭頂部から骨折線までの距離は平均18.6mm,最近位スクリューまでの距離は平均12.2mm であり,近位骨片の脱転を生じた例では,骨折線とスクリュー間の距離が短い傾向を示した.二重骨折を有する症例では,術前画像評価と適切な固定法の選択が重要であると考えられた.

  • 田中 秀明, 飯田 博幸, 橋野 悠也, 入舩 拓
    2026 年42 巻4 号 p. 581-583
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下手根管開放術(endoscopic carpal tunnel release:ECTR)は良好な成績が報告されているが,カニューラ挿入時の正中神経への圧迫が懸念される.当院では従来の4mm 関節鏡用のカニューラに加え,1.9mm NanoScope™に合わせた小径カニューラを導入している.本研究は無作為比較対照試験として,小径カニューラの有効性を評価した.両手根管症候群50 人100 手を対象にカニューラ挿入時の疼痛発生頻度を調査し,従来カニューラで25 手,小径カニューラで7 手に疼痛を認めた.小径カニューラは挿入時の正中神経へのダメージを軽減する可能性が示唆された.

  • 松浦 真典, 佐藤 光太朗, 村上 賢也, 佐藤 大祐, 月村 悦子
    2026 年42 巻4 号 p. 584-588
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    小児上腕骨顆上骨折のピンニング後に,内反傾向を示した群(内反群)と示さなかった群(正常群)に分けて後ろ向きに検討した.対象は伸展型上腕骨顆上骨折の41 例で,最終調査時のCarrying Angleにより内反群21 例,正常群20 例に分類した.術直後から術後12 週までのBaumann 角を経時的に評価したところ,内反群では術中整復不良により術直後からすでに内反傾向を認め,鋼線抜去・外固定終了後にさらに内反変形が進行した.術直後に内反を認める症例では,外固定期間の延長が検討されるべきである.

  • 佐藤 宗範, 高群 浩司, 松下 隆
    2026 年42 巻4 号 p. 589-592
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり

    第5 中手骨頚部骨折に対する観血的整復固定術において,側方からプレートを設置して治療した6 名について検討した.手術は尺側から皮膚切開し,小指外転筋を剥離した中手骨側面に整復後プレート固定を行った.術後6 か月時点で骨長短縮は平均0.9(0-3)mm であり,転位角度は掌側転位5 度以内,側方転位7 度以内であった.可動域はMP 関節可動域が健側比平均76(52-95)%,%Total Active Motion は平均94%であった.本術式は強固な固定を得られるとともに,伸筋腱との癒着が起こりにくい手術法であり,良好な成績が得られた.今後さらに症例を重ねて検討する必要がある.

抄録集
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