日本産業技術教育学会誌
Online ISSN : 2434-6101
木電池を利用した技術教材の開発
市川 太智鄭 基浩
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 59 巻 3 号 p. 179-185

詳細
抄録

木材はストローを束ねたような多孔質の構造であり,スギのような低比重材は空隙率が高いことから,繊維飽和点から2倍以上の重量の水を保持できる。また,液体注入メカニズムにより仮道管内部への塩分の注入が簡単にでき,かつ,表面張力と毛細管現象により長期間の水の保持も可能である。この特徴に着目し,木材を化学電池の容器に用いる事で,非常用の電源として活用可能な複合型教材を提案することを本研究の最終目的とした。そこで,電極として銅板と亜鉛板を,電解液として食塩水を用いた木電池を開発し,教材化にむけて最適発電条件の究明と教材開発を行った。その結果,木電池は電圧が約770mVで20日以上も発電し6 個直列にすることでLEDの点灯も可能であった。また,教材例として提案した1石トランジスタAMラジオは長時間木電池で駆動でき,かつ良い受信性能から教材として高い可能性を示唆した。

著者関連情報
© 一般社団法人日本産業技術教育学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top