平成20年告示中学校学習指導要領において,「C 生物育成に関する技術」が必修化された。これは昭和52年告示中学校学習指導要領により「栽培」が選択履修とされて以来,33年ぶりのことである。しかし,長期間選択履修であり,履修率が低かったことなどから,教員の指導経験の不足,教材教具の整備不足といった課題も明らかとなっている。そこで,本研究では特に農地などの確保が難しい都市部の学校に着目し,教育環境の現状と教員の生物育成学習に対する意識調査を行うと共に室内でも栽培学習が可能な植物工場題材の可能性をたずねた。その結果,施設設備が不十分であると考える教員が依然として多いこと,植物工場に対して肯定的な教員は生物育成と社会とのかかわりや新しい技術開発などの項目を指導している割合が高く,社会との生活を理解させ生活に結びつけることやイノベーションに寄与する能力を育成することを重視していることが明らかとなった。