本研究ではフィンランドの手工科教育の現状と課題を調査し,日本の技術科で検討されるべき点をまとめた。手工科教育は19世紀後半にフィンランド人のウノ・シュウグネウスが産み出し教科として確立され,世界中に広まった。近年フィンランドの学習指導要領にあたる全国教育課程基準が改定され,この新基準そった教育が始まっている。一方これを対象とした調査・検討した先行研究は見当たらない。本研究では文献による調査と現地での学校訪問や教師への聞き取りなどからフィンランドの手工科教育の現状を調査した。調査の結果,手工科ではものづくりを中心に取り組み,子ども主体の活動が行われていることが分かった。また施設設備は日本に比べ充実しており塗装室や溶接室といった環境が整備されているという点も明らかとなった。このことから,我が国でも子ども主体の活動を核とした学習内容・方法の検討をすべきことが示唆される。