2020 年 62 巻 3 号 p. 257-265
2020年度からの小学校でのプログラミング教育の必修化に向けて,本研究ではブロック型プログラミング言語のScratch2.0でのプログラミングにより,制御ロボットを活用した授業の実践と検証を行った。順次・繰り返し・分岐の3つの基本処理を用いて,制御ロボットを迷路図上のスタートからゴールまで移動させるプログラムの作成を題材とし,5年生30名を対象に,6時間の授業を行った。そして,迷路を用いた事前・事後テストとアンケート調査から,プログラムを構成する基本処理を論理的に活用するプログラミング的思考や児童の興味・関心の度合いを検証した。事後アンケート調査結果から,ほとんどの児童が興味・関心を持って授業に取り組んだことが言える。事前・事後テストの結果から,制御ロボットを活用しない先行研究に比べて,特に分岐処理の理解度について大幅な改善の傾向が見られており,プログラミング的思考の育成に効果的であることが示された。