小学校におけるSTEAM教育の展開に向け,探究/創造型のプロジェクトにおいて児童がどのようにデザイン思考を働かせていたかを把握するための測定尺度の開発を試みた。スタンフォード・デザイン・ガイド,実践スタンフォード式デザイン思考等の文献より,デザイン思考5Stepsの「共感」,「問題定義」,「発想」,「プロトタイプ」,「テスト」の定義に沿って予備質問項目を準備した。H県K市において森山らの提唱するJ-STEAMの枠組みに基づいて実践された石野らによるSTEAM教育に参加した児童を対象に調査を実施した。確認的因子分析の結果,5Stepsの構成に即した5因子25項目のモデルの適合度は十分に高かった。また,構成概念妥当性及び基準関連妥当性も一定程度,確認することができたため,これを「デザイン思考尺度」と命名した。ただし,本研究では,調査対象者数が必ずしも多くないため,その妥当性の検証は継続的に進めていく必要がある。