抄録
本研究では,問いの生成支援という側面に着目し,STEM教育における協調問題解決活動の効果的な活用のあり方について知見を得ることを目指す。目的の達成のために,小6・中1を対象とした学校外の科学教室において,「知識構成型ジグソー法」を用いて4つのSTEM授業を実践し,児童生徒に授業前後に本時の課題への解答を書かせると共に,授業後に見えてきた問いを記述させる実践研究を行った。1)理解深化,2)問いの生成数,3)問いの内容,4)生成した問いと授業デザインとの関係という4つの観点から児童生徒の学習成果を分析した結果,教師が設定した課題を協調的に解決させる授業によって児童生徒の理解深化を促進することで,児童生徒の問いの生成を効果的に支援しうることを確認できた。一方で,児童生徒が生成する問いの個数や内容は授業によって異なり,問いの生成と授業デザインの関係については継続的な研究が必要であることが示唆された。