日本血栓止血学会誌
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原 著
ループスアンチコアグラント検査における陰性コントロール血漿の問題点
―真空採血管を用いた連続採血の検討―
表 美香吉田 知孝朝倉 英策御舘 靖雄水谷 朋恵森下 英理子山崎 雅英中尾 眞二
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2004 年 15 巻 3 号 p. 278-285

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抄録
ループスアンチコアグラント(LA)検査の中のカオリン凝固時間(KCT)混合試験に用いるコントロール血漿(C血漿)は,各施設で健常者から採血したプール血漿を採用しているのが現状である.我々は,KCT混合試験に必要な良質C血漿を得る方法について検討した.健常者から真空採血管を用いて1分毎に10本まで連続採血を行った.駆血帯を用いて採血した場合,採血本数が進むにつれてKCTが短縮し,TATが上昇した(特に3/9例で著増).駆血帯を外して採血をした場合と比較して,駆血した場合にTATは有意に上昇し,駆血時間延長により凝固活性化を生じたと考えられた.また,TATが上昇し,KCTが短縮した血漿をKCT混合試験のC血漿として用いるとLA陽性検体を偽陰性判定する可能性が示唆された.以上,KCTおよびTATを測定し,凝固活性化を生じた血漿は除外してプールC血漿を作製する必要があると考えられた.
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© 2004 日本血栓止血学会
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