抄録
ループスアンチコアグラント(LA)検査の中のカオリン凝固時間(KCT)混合試験に用いるコントロール血漿(C血漿)は,各施設で健常者から採血したプール血漿を採用しているのが現状である.我々は,KCT混合試験に必要な良質C血漿を得る方法について検討した.健常者から真空採血管を用いて1分毎に10本まで連続採血を行った.駆血帯を用いて採血した場合,採血本数が進むにつれてKCTが短縮し,TATが上昇した(特に3/9例で著増).駆血帯を外して採血をした場合と比較して,駆血した場合にTATは有意に上昇し,駆血時間延長により凝固活性化を生じたと考えられた.また,TATが上昇し,KCTが短縮した血漿をKCT混合試験のC血漿として用いるとLA陽性検体を偽陰性判定する可能性が示唆された.以上,KCTおよびTATを測定し,凝固活性化を生じた血漿は除外してプールC血漿を作製する必要があると考えられた.