日本血栓止血学会誌
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特集:「血栓止血の臨床─研修医のために I 」
9.ビタミンK欠乏症の臨床
白幡 聡
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2007 年 18 巻 6 号 p. 584-587

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抄録
Point
1) ビタミンK欠乏性出血症は,主として新生児,幼若乳児,肝・胆道疾患患者,重症下痢が遷延している患者,抗生剤を長期間投与されている患者にみられる.
2) 出血は消化管出血が多く,ついで皮下出血,鼻出血,血尿がみられる.注射・採血部位あるいは手術創の過剰出血で気づかれることもある.但し,幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症では,頭蓋内出血の頻度がきわめて高い.
3) 検査所見では,PTとAPTTの著しい延長とPIVKA-IIの増加が特徴的である.ビタミンKの投与2~4時間後にPTとAPTTが短縮されれば,診断が確定する.
4) ビタミンKの投与により速やかに出血傾向は改善するが,新生児と幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症では,頭蓋内出血により予後不良のケースがあるので,予防が重要である.
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© 2007 日本血栓止血学会
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