日本血栓止血学会誌
Online ISSN : 1880-8808
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原 著
わが国におけるインヒビター保有先天性血友病患者に対するバイパス止血療法の現状
田中 一郎天野 景裕瀧 正志岡 敏明酒井 道生白幡 聡高田 昇高松 純樹竹谷 英之花房 秀次日笠 聡福武 勝幸藤井 輝久松下 正三間屋 純一吉岡 章嶋 緑倫
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2007 年 18 巻 6 号 p. 627-639

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抄録
わが国におけるインヒビター保有先天性血友病患者に対するバイパス止血療法の現状と問題点を探る目的で,国内の代表的な血友病診療施設9施設にアンケート調査を行った.調査内容はインヒビター治療製剤の選択の他,バイパス止血製剤の投与方法や保険適応外使用,モニタリング検査,副作用などであった.このうち,治療製剤選択に関する設問では5 Bethesda単位(BU)/ml未満のローレスポンダーおよび現在5 BU/ml未満,5-10 BU/ml,10 BU/ml超のハイレスポンダーの4つの場合に分けて,それぞれ軽度出血,重度出血および手術時における製剤選択について質問した.その結果,5 BU/ml未満のローレスポンダーの軽度出血時および現在5 BU/ml未満のハイレスポンダーの重度出血や手術時において,バイパス止血療法を選択するのか,インヒビター中和療法を選択するのかで意見が分かれた.今後,わが国のガイドラインを作成するにあたり,これらの意見を集約していく必要がある.
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© 2007 日本血栓止血学会
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